島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

2019年春 弦楽器フランス&イタリア買い付けレポート Part5

皆さま、Bonjorno!!
グランフロント大阪店店長の古西です。
本日よりクレモナ入りするシマムラストリングス秋葉原店店長の糸山と私は、クレモナ入りの前に是非お会いしたい方がいるため、先にブレシア入りを敢行。
ブレシアは、イタリア共和国ロンバルディア州にある都市で、その周辺地域を含む人口は約20万人。ロンバルディア州では2番目に人口の多い都市であります。
サッカーでも有名なブレシアは、かの有名なロベルト・バッジョ氏も現役最後に所属していたチームでもあります。

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サッカーの話題はさておき、今回のブレシアでの目的は、Fillippo Fasser(フィリッポ、・ファッサー)氏の工房を訪れるためです!
ブレシアのfantasista、ファッサー氏の作品は数々のプロフェショナルプレイヤーに愛用されており、今ではオーダーして4年待ちという状況です。

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ファッサー氏は、Gasparo da Salò,(ガスパロ・ダ・サロ)やGiovanni Paolo Maggini(ジョヴァンニ・パオロ・マッジーニ)といったブレシア派と呼ばれる楽器製作に陶酔している、数少ない製作家です。
中でも、彼の製作するヴィオラには世界一流のプレーヤー達が魅了されており、クラシック音楽界の第1線で活躍する多くの音楽家達によって愛用されております。

工房ではファッサー氏の楽器を愛用するプロフェッショナル・プレイヤーの写真がずらり。
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2008年VSA(バイオリン・ソサエティ・オブ・アメリカ)コンペティション ヴィオラ部門においてシルバーメダルを受賞。

主な使用アーティスト: Yuri Bashmet, Luca Ranieri, Moshe Friedman, Danilo Rossiほか多数。
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今回は挨拶とオーダーしているチェロの状況を伺う程度でしたが、工房に入ると気になるチェロが。
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チェリスト、Antonio Meneses氏が愛用している、2012年製のファッサー氏のチェロです。
このジョバンニ・パオロ・マッジー二モデルは、なんと現在とあるチェリストの意向により委託販売中との事です。
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何とも言えない異彩を放ったチェロであり、品格が備わり、非常に惹きつけられる風貌です。では早速選定開始です。
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正直一言、、、、驚愕です。
活字にするのが難しいほど、なかなか出会うことのできない特別なサウンド。
価格も勿論高額ではありますが、新作のチェロとしては世界最高峰の素晴らしいチェロです。
やはり素晴らしい楽器に出会うとなかなか手放せません。長い時間ファッサー氏のプライベートホールで堪能させていただきました。

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モデルであるジョバンニ・パオロ・マッジー二はストラディバリウスやガルネリに大きな影響を与えた、楽器製作の歴史において重要な人物です。

ダブルパーフリングが魅力的ですね。
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今回は長い時間吟味した結果、このコンテンポラリー最高峰のチェロを、日本の皆さまへご紹介することにしました。

Filippo Fasser, Italy - Brescia, 2012, Violoncello Model ; Giovanni Paolo Maggini
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上質なチェロをお探しの方、ご興味のある方は是非お問い合わせください。

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ファッサー氏については、過去の訪問時のブログもご覧ください。

ブレシアをあとにし、向かったのは楽器の聖地クレモナ。
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到着後、久々のクレモナの空気を感じながら、街並みを横目に、チェックインを済ませた我々は、ヴァイオリニスト:坂本瑠美さんと合流をしアトリエへ。
onedayonemusic11.wixsite.com

イタリアでのコンサート&マスタークラスの為、ボローニャを訪れておられるそうで本日はご一緒に工房を訪問です!
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まず1件目はValerio Ferron(ヴァレリオ・フェロン)氏です。
フェロン氏は、クレモナのバイオリン製作学校を卒業後、いくつかの名工のもとで学び自らのスタイルを完成させ、弱冠24歳でイタリア国内のコンクールで3冠を獲得し成功を手にしています。
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  • 2010年 Pisogne楽器製作コンクール バイオリン部門 第1位および音響特別賞受賞
  • 2011年 Pisogne楽器製作コンクール ヴィオラ部門 第1位
  • 2011年 Pisogne楽器製作コンクール チェロ部門 第1位

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フェロン氏のバイオリンは、アジアでは当社がはじめて仕入れを行い話題となりました。
今回は以前よりオーダーしておりました、ガルネリ・デル・ジェス1740年製作"Ysaye"(イザイ)モデルを選定に訪れました。

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ガルネリ・デル・ジェス1740年製作"Ysaye"(イザイ)は、1896年よりベルギーのヴィルトーゾEugene Ysaye(ウジェーヌ・イザイ 1858年生-1931年没)によって演奏されておりました名品です。
イザイはこの名器の中に小さなラベルを貼り、"Ce DEL Jesus fut le fidele compagnone de ma vie"(このデル・ジェスは私の生涯の良き伴侶であった。)とフランス語で書き残しています。
その後も、数々の名人によって使用され、-1998年-2001年 Isaac Stern(アイザック・スターン 1920年生-2001年没)-2003年-2009年 Pinchas Zukerman(ピンカス・ズーカーマン)-2010年-Sergey Khachatryan(セルゲイ・ハチャトゥリアン)・・・と、錚々たる面々によって演奏されている名器です。

なんと、今回は我々が入手したこの作品を、チューリッヒ歌劇場のコンサートマスターの方に演奏して頂いた動画が公開されております!是非、ご覧ください。

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じっくり選定をさせていただき、演奏者にとって重要な、より音つくりの可能性を広げてくれる1本を選定することができました。

Valerio Ferron, Italy - Cremona, 2019, Model; Guarneri del Gesu 1740 "Ysaye"

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表板
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美しい1枚板の裏板です!

過去に訪問した際のブログも是非ご覧下さい。

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選定後は奥様のアレクサンドラさんとも一緒に皆で食事に。相変わらず結構なボリュームです!
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次にに訪れたのはアンドレア・シュッツ氏のアトリエです。
シュッツ氏とはかれこれ15年近いお付き合いとなります。
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アトリエに入ると、私たちの目的をすでに熟知いただいており、多数楽器を揃えていただいておりました。
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今回はマエストロのもとで研磨を積む方々の、バイオリン、チェロをじっくり選定させていただきました。
なかなか仕入れることが難しいチェロですが、いつもながら確かな技術と、クオリティーを提供してくれます。
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重厚な低音から落ち着いた高音域まで、非常にクオリティーの高いチェロを仕入れることができました。それではご紹介です。

Andrea Solzi、Italy - Cremona, 2019 Violoncello

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Andrea Solzi チェロの表板
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Andrea Solzi チェロの裏板
続いてバイオリンの選定です。毎回Diego Plaza氏のバイオリンは人気でありすぐにSold Outですが、今回も期待を膨らませ選定です。私が隣でコンクール受賞作品である、コントラバスに惚れ込んでいる間、隣で糸山が「このバイオリン凄い!」と一言!
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Diego Plaza氏は毎回素晴らしバイオリンを仕入れることができていますが、今回のバイオリンは更にクオリティーが増しています!
抜群の音量感と伸びやかな中高音域。どれをとっても満足の逸品です。

Diego Plaza, Italy - Cremona, 2019

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Diego Plaza, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの表板
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Diego Plaza, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの裏板
更に3名の素晴らしい製作家のバイオリンも仕入れることができました!!
ご紹介致します!

Andrea Solzi, Italy - Cremona, 2019

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Andrea Solzi, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの表板
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Andrea Solzi, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの裏板

Lorenzo Locatelli, Italy - Cremona, 2019

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Lorenzo Locattelli, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの表板
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Lorenzo Locattelli, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの裏板

Luca Maria Parlato, Italy - Cremona, 2019

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Luca Maria Parlato, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの表板
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Luca Maria Parlato, Italy - Cremona, 2019 ヴァイオリンの裏板

ここまで1本1本検品も含めて細かく確認しながら、長時間選定させていただき満足のいく仕入れができた我々は、少し休憩をとりながら最終チェックを行い一息。

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シュッツ氏の若かりし頃の写真を眺めながら周囲を見渡すと、マエストロがおもむろにチェロを我々の前に持ってきてくださり、いきなりクイズの出題です!
シュッツ氏:「さて、このチェロは何でしょう??」
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糸山&古西:「・・・・・・・・・・??」
一先ずオーラをまとっていることは確認できましたが、、、、さてどういったチェロなのか。見た目は非常に奥ゆかしく、保存状態も非常に良い逸品です。いろんな製作家を口にしてみましたが、、、、あたりません。マエストロそろそろ教えてください~!
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シュッツ氏:「 Vuillaume 」
なんと!!!あのヴィヨームですか!?私はイタリアの新バイオリン博物館Museno del Violinoでしたかお目にかかったことがありません。どんな音がするのか。糸山と私は興味津々です。
マエストロが我々を察していただいたのかタイミングよく弾いてみる?とのことで、早速試奏させていただきました。
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Super Deep Sound !!!

流石の音色に感心しきりの糸山と私はヴィヨームの音色に引き込まれていきます。
やはり気になるのは、、、、一応どのぐらいのお値段か伺ってみますと、マエストロから納得のお値段の返答が(汗)
仕入れることはできませんが、ご興味のある方是非お問い合わせくださいませ。
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クレモナでの濃密な時間が終了し、すっかり日も暮れ、夕食をとりながら明日への英気を養います!今回は糸山も私もパスタずくしです。
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それでは次回はクレモナ最終日です!
Ciao!!

今回買い付けた楽器は、楽器フェスタでお披露目します

今回マイスター茂木が買い付けを行った楽器は、5月〜7月各地(大阪・横浜みなとみらい・名古屋みなとアクルス・イオンレイクタウン・仙台泉・広島・南船橋・札幌クラシック)の島村楽器で開催される、島村楽器楽器フェスタにて展示・お試しいただくことが出来ます。
順次情報を公開致しますので、楽器フェスタページもあわせてご覧ください。

www.shimamura.co.jp

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