こんにちは。サカウエです。
シンセの名演をたずね新しきを知ろうということで「シンセサイザー温故知新」第2回目ですが、今回もMoogの「Mini Moog」です。
今回のお題:Celebration
アーティスト:PFMPFMが「プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ(Premiata Forneria Marconi)」の略・・と間髪入れず答えられる方はワタクシの同類です。なにとぞ今後共よろしくお願いいたします。
それはさておき、PFMは1970年に結成されたイタリアの叙情派プログレバンドでございます。メンバーの多くが音楽英才教育を受け、クラシックからロック・ミュージシャンに転身・・・というヨーロッパではありがちなストーリーですが・・超バカテクバンドでございます。
本作は前回紹介したEL&Pが設立した「マンティコアレーベル」からリリースされた世界デビュー的な作品。歌詞も英語中心となっておりますが、メロトロン、Mini moog、ハモンド、等が織り成す叙情的なアルバムでして、プログレを語る上では絶対欠かせないPFMの代表作&大傑作です。
お題の曲は「Celebration」- アルバムの中でこれが唯一陽気な曲ですね!
テーマのメロディーはMini Moogによるものです。ダブリング(同じ演奏を重ねること)のせいもありますが、重厚なサウンドとなっていますね。メロはE ミクソリディアン(mixolydian)を行ったり来たりというフレーズ。ソリーナ(ストリングスシンセサイザー)が現れる中間部は非常にドラマチックでしたが、エンディングは少々トリッキーな感じでしたね。
ちなみにMini Moog本体はこんな感じ・・美しいです・・
(photo by wikipedia)
音色セッティングには非常にシンプルですが、その分シンセの本質が問われる基本的なシンセ音色といって良いかもしれません。肝はオシレーターのデチューンとポルタメント(音と音を滑らかにつなぐ機能:グライドとも)です。ちなみにCelebrationのメロ始まりの音は高域から音程が急降下しています(細かいw)
今回はこの音色に現役シンセでチャレンジすることにいたしましょう。
現役アナログシンセで挑戦
まずはKorg MS-20 miniとArturia MINI BRUTEで再現してみました。どちらも純粋なアナログシンセですから似た音が出る気がしますが・・
MS-20 miniはオシレーター2のチューニングをわずかにズラし(デチューン)厚みをつけています。Mini Bruteの場合は「Ultrasaw」を使用して同様の効果を得ることができます。ポルタメントは必須です。では御覧ください。
・・・やはりmoogとは少々ニュアンスが異なりますね。同じノコギリ波と言っても、メーカーや機種間で微妙に音が変わるのは皆さんも御存知のこととは思います。特にこの音色は「ノコギリ波むき出し音色」なので、機種間の差が如実に現れますね。
ソフトシンセでチャレンジ
では今度はコレ。Arturiaのソフトシンセ「Mini V」(近日発売のARTURIA / MiniLabにも収録されています。)
今はライセンスの関係でMini Moogの名称は使用していませんが、これMini Moogの完全エミュレーションなので期待出来ます。
さすがに本家、かなり近くなった気がします。まあそもそも同じMini Moogでも製造年代によってフィルターの特性なども微妙に異なりますし、湿度でも音色に差が出るわけで、こうした差異はまさにアナログな世界ならではの話ですね。というわけで、音色再現と言うよりはシンセの奥深さを改めて知ることとなった今回の実験でした。それでは次回をお楽しみに。