島村楽器公式ブログ

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2016年春 弦楽器ヨーロッパ買付レポート プラハ編 その3

皆様こんにちは!島村楽器みなとみらい店 楽器アドバイザーの石井と申します。
この春、弊社マイスター茂木顕、島村楽器シマムラストリングス秋葉原 リペアマン鍵主有三と3人で、皆様にご紹介する楽器を買い付けて参りました。
今回は、プラハ、パリ、ブリュッセル、フランクフルト、そしてクレモナと各所を訪れ、たくさんの楽器・弓・人と出会うことが出来ましたので、報告させていただきます!

今回は前回の続きになります。
チェコでの買い付けを無事に終えた一行は、若きマエストロ、ヴァーツラフ・ピクルト氏のお誘いで自宅兼工房を訪ねることになりました。


ピクルト氏は、名門シュピードレン一族の4代目、ヤン・シュピードレン氏の1番弟子としてシュピードレン工房で勤めながら、製作を行っている若きマエストロです。プラハから少し離れた閑静な住宅街にある新築のお住まいに、今回お邪魔させてもらいました。

こちらがピクルト氏。この若さにして、あれだけの作品を作ってしまうのですから驚きです。
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ダイニングのすぐ横に配置された、きれいに整頓された作業場。
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親父さんから受け継いだという工具。短くなった刃が、歴史を感じさせます。
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工房では、ピクルト氏のこだわりと楽器つくりの秘密をいくつか教えていただきました。
なかでも一番驚かされたのが材の選定方法。通常は1枚の同じ木材を割って、貼り合わせて作りますが、ピクルト氏はあえて、特性の近い別々の木材を繋ぎ合わせて作成しているとのこと。
タッピングにより、板の響きを確認して、ほぼ同じ周波数を持つ板を合わせているそうです。
まず耳で確かめ、機械でも測定して慎重に選んでいるとのこと。
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こうすることで、豊かな倍音が生まれるそうです。


また、仕上げについてもこだわりが。天然の井草を使い、やすりの代わりとして仕上げをしているそうです。
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天然のものを使うことで、微妙に風合いが変わるそうです。
このほかにも、ニスのこだわりや工具のことなど様々なお話をいただきました。
今回のフェスタでもピクルト氏の楽器がご紹介出来ますので、是非ご覧ください!

Vaclav Pikrt, Czech Republic - Prague 2015 Model; Antonio Stradivari

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ひとしきりお話をいただき、奥様が振舞ってくださったお食事をご馳走になりました!
奥様は陶芸の仕事をされていたそうで、こちらの大皿もお手製とのこと。料理もお皿もどちらも見事です!

夕食時にお邪魔して、結局この日は日付が変わるまであれこれお話しながら会食を楽しみました。

次回につづく

選び抜かれた楽器が一堂に会する祭典「第20回 楽器フェスタ」10店舗で開催!

テーマは「Paganini & his Guarineri “ Canone “ パガニーニのカノンガルネリ」

19世紀最大のバイオリニスト、パガニーニが愛用したバイオリンがガルネリでした。その強烈な個性でついたあだ名が「カノン砲(大砲の意味)」。今回そのガルネリモデルを、現代イタリアの名工が見事に再現した名品をご紹介します。同時に現地で選りすぐった様々な個性のモダン~新作の楽器と弓もご用意して、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

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