島村楽器公式ブログ

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2020年春 弦楽器買い付けレポートその3「フランス編 Part3」

今回の買い付けは、2020年2月13日~2020年2月21日に行いました

Bonjour‼︎ グランフロント大阪店店長の古西です。
買い付け3日目はパリに次ぐ第2の規模を持つ都市リヨンへと向かいます。
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TGVで2時間の旅の為、早朝からパリを出発。
こういう移動時間はゆっくり執筆できる貴重な時間です。

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リヨンは、フルヴィエール・古代ローマ劇場やノートルダム大聖堂、サンジャン大教会、旧市街にある中世やルネッサンス時代の建築など、2000年の歴史を感じる素晴らしい街です。

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フルヴィエール・古代ローマ劇場
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ノートルダム大聖堂
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サンジャン大教会

軽く食事を済ませ、早速買い付けです!まず最初は巨匠Franck Daguin氏のアトリエへ

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Franck Daguin氏は18歳よりJ.Schmittの元で弓製作を学び、その後、Daniel Scafflと働いた後に、自身の工房をリヨンに開いています。
数多くの一流プレイヤーのオールド弓の修復、修理など経て、現代の世界最高の弓製作家の1人として認められております。

  • 1991年 Mention Speciale Paris
  • 1992年 Grand Prix des Metiers d Art Lyon
  • 2004年 Mention Speciale Paris

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今回はFranck Daguin氏ご本人にお会いする事ができ、娘のAlice氏と共に出迎えていただきました。Merci!
今回も多数ご用意いただき感謝です!では早速選定開始です。

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まずはFranck Daguin氏のバイオリン弓です!
まず驚かされるのはこの極上虎杢フェルナンブーコ材!なかなかお目にかかれない逸品。
そして弾き手のインスピレーションを最大限に表現できる素晴らしい弓です!正直なところ、、、別格です!

それではご紹介します。

Franck Daguin, France - Lyon, 2020

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正直なぜこれまでにもパーフェクトな弓を作れるのかAlice氏にお伺いすると、、、
「Because Franck Daguin!」
納得のご回答でした!恐れ入ります。
この後は娘さんのAliceの弓を選定させていただき、バイオリン弓2本を仕入れることに決めました。
前回の買い付けた弓は全てSold Outです。
その内の1本をご紹介。

Alice Daguin, France - Lyon, 2020

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またFranck Daguin氏のGold Bowをバイオリン弓1本、チェロ弓1本オーダー。
来年またFranck Daguin氏を訪れるのが楽しみですね。
この後工房も拝見させていただき、現在3月にリヨンで行われるExhibitionに出展する弓の製作を行なっている最中のようで、
出展予定の弓も拝見させていただきました。
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ふと差し出された弓に目を奪われます、、、。
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これは何かと問い合わせてみると、
"Stingray Skin"!、、、、、"Stingray Skin"!??

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一瞬何かわからず差し出されたものを見て驚きです!
そう、「エイの皮」です!入手困難な象牙に代わる新素材として採用しているようです!
皮を触らせていただくと非常に硬い!!
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新しい試みを行いつつ、ここまで昇華させた伝統の技術との融合は非常に興味をそそります。
土曜日の訪問にも関わらずご対応いただき感謝です!Merci !!
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次に訪れたのは、Christian Charmagneのアトリエへ。
ここでは50万〜100万以下でご案内ができるモダンバイオリンを求めての訪問です。
今回はモダンバイオリンの選定を事前に要望し、多数準備いただきました。
それではじっくり選定開始です。Merci!!

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我々は、ネックの角度、高は日本の湿度を考え多少変化が生じることを前提にある程度先まで使用する状況を予測をして計測します。
また、表板、裏板、側板の厚みは音の鳴り方によっては注意しなくてはいけないので調査します。
また、寸法ももちろん重要。基準値外は買い付けることはしません。
その他にも多数チェック項目があります。

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今回は事前に調整をいただいていたこともあり、コンディションは抜群。
リーズナブルな価格帯でご提供できるスペシャルなモダンバイオリンです。
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入念に選定&徹底検品を行い、1本1本製作家の情報の確認。今回はモダンフレンチ、モダンジャーマン含め計8本仕入れることができました。バリエーション豊富なサウンドはきっとお好みの音色に出会っていただけると思います。
それではご紹介します。全て鑑定書ありです。

Mirecourt School , France - Mirecourt

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Jerome Thibouville Lamy, Compagnon, France - Mirecourt

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Marc Laberte, label Stainer 1929, France - Mirecourt

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Jerome Thibouville Lamy, Coussin, France - Mirecourt

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Dresden School, France - Mirecourt

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J.B.Colin, France - Mirecourt

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L.Bernardel, France - Mirecourt

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Jerome Thibouville Lamy, France - Mirecourt

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また事前に用意して頂いた1840年のモダンチェロを選定。著名なオーケストラプレイヤーの遺品であり、超ディープサウンド!!!
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これは凄い逸品です。強烈なインパクトでしたが、残念ながら我々の検品基準に達しなかった為、今回は見送りです。しかし昨年に引き続き素晴らしい買い付けが出来ました。
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午前より4時間ほどの買い付けを終え、少し休憩がてら、リヨンの街並みを眺めに散策です。リヨンはパリとは違い、穏やかで治安も良く過ごしやすい街です。

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疲れを癒した我々が、次に訪れたのはAlexander Snitkovski氏のアトリエ。プロも御用達の高級楽器専門店です。
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迎えていただいたのは、前回同様Demitri Hoffman氏。
Kalaidos Musikhochschuleに所属していた、プロフェショナルバイオリニストです!
モダン、オールドを要望し早速選定開始ですが、やはり出てくるバイオリンは、名のある良い楽器ばかりです。

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今回は今後の買い付けの参考までに立ち寄りましたが、やはり良い楽器は弾き込みたくなるものです。
後ろ髪を引かれつつも今回はこれにて終了!
3日目も満足のいく買い付けができたかと思います。

今日の夕食は軽めにしたいなと、皆でベジタブルな夕食を注文。しかしまた量を間違えました。毎度一品一品が結構なボリュームです。
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フランス3日間の買い付けはこれにて終了。明日はオーストリアに移動して、音楽の都ウィーンでの買い付けです!

今回買い付けた楽器は、楽器フェスタでお披露目します

今回マイスター茂木が買い付けを行った楽器は、5月〜7月各地(グランフロント大阪・横浜みなとみらい・名古屋みなとアクルス・松本パルコ・南船橋・イオンレイクタウン・仙台泉・札幌クラシック)の島村楽器で開催される、島村楽器楽器フェスタにて展示・お試しいただくことが出来ます。
順次情報を公開致しますので、楽器フェスタページもあわせてご覧ください。


2020年春 楽器買い付けレポート

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