2018年の春最後の買付けの地は、ベルギーのブリュッセルです。
パリからフランスの新幹線タリスに乗り3時間ほどですので、今までも日帰りで何度も往復していましたが、今回はブリュッセルから帰国便に乗るので久しぶりに1泊することになりました。
早朝6時半のパリ北駅には既に多くの列車待ちの人々でごった返しています。長距離列車ホームには金属探知機が、、機関銃武装の兵士もパトロール中、職務質問される外人も少なくありません。
列車到着までの間、とても寒いので軽く朝食をとることに。
吹きっさらしのホームの端っこですから、暖かいカプチーノ&出来たてのクロワッサンが有難い!!!
ブリュッセルには世界的弓製作家&エキスパートのギヨーム氏が工房を構えており、ここでオールドフレンチボーを選ぶために、以前から大量に良質弓を集めてもらうよう特別にお願いをしていました。
おとぎの国のような建物が並ぶ街並みの一角に工房があります。
通された部屋には所狭しと70本ほどの大量の弓が準備されていました!
しかもメンテもクリーニングもしっかりされており、毛も新品とは、、!
ここから検品、試奏して厳選できるなんて、ちょっと興奮しますね!
ギヨーム氏も一緒に松脂塗り。
70本もあるとさすがに日が暮れるまで・・・というコースになります。
ランチも忘れて選定に没頭する我々を、弓のセレクトは未だ終了していませんでしたが、ギヨーム氏の提案で一緒に食事に出ました。
そして、ランチ後通りに出ると偶然の再会が待っていました、、、。
以前、東京のラ・フォル・ジュルネ・オウ・ジャポン音楽祭で知り合った、ベルギーのバイオリニスト:グートマン氏が丁度車から降りてくるところでした!
michael-guttman.com
私が声を掛けると、彼もギヨーム工房に用事があったとのこと。
全員で一緒に工房に戻ることになったのです。しかし、まさかその後にさらなる展開が待っていたとは・・・。
グートマン氏は偶然にも、先日手に入れた名器J.B.Vuillaume、しかも19世紀にヴィヨームが製作したガルネリコピーであの名手イザイ愛用していた名器中の名器の調整に来たのです!!なんという幸運でしょう!!!!
www.thestrad.com
オールドフレンチボー最後の名工"Eugene Sartory"の選定では、極上の「初期タイプ」と「中期タイプ」、2本がありましたが、どちらにするか決めかねていて、頭を悩ませていました。
我々は失礼を承知の上で、ソリストのグートマン氏にも試奏をお願いし(しかもYsayeのVuillaumeで演奏・・・)、彼の意見を聞くことにしました!
なんて贅沢なシチュエーション!!!!
恐れ多すぎて、演奏中の写真撮影は自粛。(皆さん申し訳ありません。)
グートマン氏の試奏とお墨付きも頂き、完全に予算オーバーでしたが、このような幸運に恵まれることは滅多にありませんので、結局2本とも買付けすることで決定!!
Eugene Sartory, France - Paris, 1895
サルトリーの貴重な初期タイプは、しなやかで繊細な表現力が豊か。
Eugene Sartory, France - Paris, 1920
中期タイプ(E.Sartory/1920) は独特の力強さと明快な表現力が特徴です。
ですが、どちらもサルトリ特有の強さをハッキリと持っている逸品です。
実は、ここに来る前にパリでサルトリーとは運命的な縁を感じていました。
サルトリーの遺品を管理するところで、サルトリー愛用のカンナ、バーナー、弓のスタンプ、オリジナルの領収書まで見る機会があり、弓の時代別の特徴、音質の秘密まで密かに教えてもらいました。
そして初心者~プロ用まで、他にも優れたオールドボーをこれだけ厳選出来ました。
日本の方々にご紹介する日が待ち遠しいです。
素晴らしい弓との出会いを教えてくれたギヨーム氏と最後にパチリ、有難うございました。
さあ怒涛の6日間買付けが終了し、最後はもちろんベルギービールで乾杯です!!!
これらの楽器はすべて秋葉原工房で完全調整されて、全国の弦楽器フェスタ会場を回っていきます。
皆様と買付け楽器との良い出会いがありますことを、心より願っております。
最後まで読んでくださいまして、有難うございました。
シマムラストリングス秋葉原 茂木