皆様こんにちは!シマムラストリングス秋葉原 弦楽器マイスターの茂木と申します。
この春、みなとみらい店弦楽器アドバイザーの石井、秋葉原店リペアマン鍵主と3人で、皆様にご紹介する楽器を買い付けて参りました。今回は、プラハ、パリ、ブリュッセル、フランクフルト、そしてクレモナと各所を訪れ、たくさんの楽器・弓・人と出会うことが出来ましたので、報告させていただきます!
今回買い付けてきた楽器は、4月29日から秋葉原店を皮切りに全国をまわる弦楽器フェスタにてご紹介させていただきますので、どうぞご覧ください。
ドイツ=フランクフルトに移動した石井と鍵主と分かれて。ここからは茂木が単独で弦楽器のメッカであるイタリアのクレモナに移動しました。今回は特別オーダーしていた現代巨匠の特別な楽器を引き取りに来ました。
今回のフェスタの目玉のひとつである製作家バレリオ・フェロンの工房です。クレモナの中心部にある教会広場の側に面しており、道行く人も思わず見とれる素晴らしい楽器をコツコツ製作している職人さんです。
この楽器1年前にオーダーしてあったのですが、そのあまりの出来栄えに仕事を忘れて見入ってしまいました、、、!木工技術はミケランジェロの彫刻のような生命力をもち、ニスの質感はレオナルドダヴィンチの絵のような透明感と深みを感じます。
こちらがフェロンの最新作「ガルネリデルジェス1742年、カノンモデル」、、18世紀の名工ガルネリデルジェスが製作し、19世紀の名バイオリニストのパガニーニが愛用した名器の復刻モデルになります。現在本物が北イタリアのジェノバに保管展示してあるので、フェロンは幾度となく通ってリサーチを繰り返したそうです、、。
なにより圧倒されたのがこの楽器の音色と鳴りです、柔らかく良く通る音、弓の毛の儀妙な圧力変化にも瞬時に反応して音色を変えるレスポンスの良さ、どこまでも上質な音色、古い楽器の良さを存分に味わえる新世代の名器でした。試奏後の私の笑顔がこの楽器の満足度の高さを物語っていますね!横で微笑んでいるのがマエストロ・フェロンです(なかなかのイケメン)。
最後にフェロンの素敵な奥様と記念撮影パチリ!プロカメラマンとして活躍しながら、フェロン工房のHP、宣伝広報に非凡な才能を発揮しています。
緊張する買付けが終了すると一気にお腹が減ってきましたので、まずはイタリアらしくがっつり食べましょう!特大のマルガレータピッツァ、大きいですが生地が薄くてパリパリであっという間に平らげました~ごちそうさま!
腹ごしらえも済んで次に訪れたのは、私の友人でもある製作家ヨハンソンです。スエーデン出身ですがクレモナに数十年前から工房を構え、本物のストラド、ガルネリなどの名器の修復とそれらの復刻モデルをじっくりと製作しています。大の親日家で私も以前から製作家として交流していました、今回郊外にある静かな自宅工房に特別注文のバイオリンを見に行きました。
1年前に彼にオーダーしたバイオリンは「1740年にガルネリデルジェスが製作イザイモデル」、往年の名バイオリニスト・イザイが愛用した名器を元に製作してもらいました。このデルジェスはサイズが手ごろで、アッパーバウツのカーブがなだらかで弾き易いのが当社でも人気です。
実はこのときまだ表板のバスバーを接着途中の段階でしたが、逆に技術的に仕上げ、音色などを更に細かい注文し、ディスカッションして決めることが出来
ネックもほぼ完成間近ですね!ヨハンソンの楽器は以前に何度も見て試奏しているのでそのクオリティの高さには絶対の信頼がありましたが、今回は私から細かい点まで注文を出してあり、完成度の高さを確認するのが待ち遠しくてたまりません!
1ヶ月後にシマムラストリングス秋葉原に到着したヨハンソンのイザイモデルです、、どうですこの素晴らしい出来栄え、裏板の杢とニスの出来栄えを見ていただくために裏板を掲載させていただきました。この楽器も梱包を開封して、我をさすれて思わず見入ってしまいました!さらに試奏して思わず唸ってしまいました、、オールド名器のエッセンスがいっぱい詰まったヨハンソンのイザイモデルはまさに現代の名器に値します。
クレモナ編の次回はタディオーリ工房訪問を中心にご紹介しますのでご期待下さい。
つづく、、、
選び抜かれた弦楽器が一堂に会する祭典「第20回 弦楽器フェスタ」10店舗で開催!
テーマは「Paganini & his Guarineri “ Canone “ パガニーニのカノンガルネリ」
19世紀最大のバイオリニスト、パガニーニが愛用したバイオリンがガルネリでした。その強烈な個性でついたあだ名が「カノン砲(大砲の意味)」。今回そのガルネリモデルを、現代イタリアの名工が見事に再現した名品をご紹介します。同時に現地で選りすぐった様々な個性のモダン~新作の楽器と弓もご用意して、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
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