みなさんこんにちは!シマムラストリングス秋葉原のカギヌシです。
私たちが普段修理・調整で使っている工具を紹介するシリーズもついに第4弾。
「リーマー」と「シェーパー」、「あご当て取り付け用レンチ」です!
「リーマー」と「シェーパー」は名前だけではいったい何の修理・調整に使うのか、どういう形をしているのか、全く想像がつきませんよね。
それでは、さっそくご紹介します!
ペグやエンドピンの修理・調整で大活躍
上がリーマーで、下がシェーパーです。
リーマーは先にいくほど細くなっています。(これをテーパーといいます。)リーマーには2枚から3枚の刃が付いていて、回すことで木を削っていきます。
シェーパーはリーマーとテーパーが合うように刃をセットし、こちらは木を差し込んで、木を回すことで削っていきます。
リーマーとシェーパーのテーパーを合わせる事が大切です。
なんだか、ラップの歌詞になりそうな韻の踏み具合ですが・・・
この工具たちがペグやエンドピンの不具合を直す時に大活躍します!
工具を工具として使える様に調整することの重要性
シマムラストリングス秋葉原 バイオリンリペア工房では、市販されている工具をそのままは使わず、必ず再調整してから工具として使っています。
楽器を調整する為の工具が正確でないと、楽器も正確に直せないので、工具の調整はかなりシビアに行います。
今回御紹介するシェーパーも、工房で使っているリーマーのテーパーにキッチリと合わせて、正確に調整しています。
ブッシングという修理
特にペグの場合、強い弦の張力がかかりながらチューニングをします。
すると、ペグもペグ穴も木なので、少しずつ少しずつ歪んできたり、磨耗してきます。
穴やペグが歪んでくると、チューニングがしづらくなりますので、その場合調整が必要です。
歪みを直すためにリーマーを通して削ると、少し穴の大きさが広がります。
歪みを直す前に、これ以上広げたら穴が大きくなりすぎると判断した場合、「ブッシング」という修理を行います。
こちらも名前だけではどういう修理なのか分かりづらいので、順を追ってご説明致します。
ペグ穴をリーマーで削りながら穴の形を真円にする
まずはじめに、ペグ穴をきれいな円にする為、リーマーを差し込み、回しながら削っていきます。
ブッシング材を差し込み接着する
きれいな円にしたら、ブッシング材をシェーパーでペグ穴とピッタリになるように削り、しっかりと接着します。
余分な部分を切り落とし、色をつけ目立たなくする
飛び出しているブッシング材、ペグボックスの中でつながっているいらない部分を切り取り、段差なくきれいに整えたら、周りのニスの色に合わせて、ニスリタッチをします。まるで、最初から穴があいていなかったように見えるぐらい頑張りたい工程です。
リーマーで穴を開けなおす
絵としては、3つ前の写真に戻ります。この時、せっかく一度穴を塞いだので、再度穴が大きくなってしまわないように、慎重にリーマーを回しながら、削っていきます。
ペグをペグ穴に合わせて削る
ペグ材は少し太めの長めになっているので、楽器に合わせて削りながら余分な部分を削っていきます。リーマーとシェーパーのテーパーは合わせているとはいえ、やはり最後は楽器に合わせての微調整を行います。
ペグの加工が完了しました。随分細く短くなりましたね。
エンドピンのブッシング
ペグほど調整が頻繁ではありませんが、ぜひお手持ちの楽器のエンドピンを見てみて下さい。
もし、抜けてきていたらすぐにバイオリンリペア工房までお持ち下さい。
エンドピンにもペグ同様に弦の張力がかかっていますので、抜けてしまった時の反動は少し想像すると怖いですね。
穴が大きすぎる場合や、エンドピンの差し込み角度がよくない場合、エンドピンの穴も一度埋めて、開けなおす「ブッシング」が必要になります。
ペグブッシングにはない注意事項
エンドピンには表板側に弦の張力が常にかかっている状態ですので、それを考えて、気持ち角度をつけて穴をあけます。
引っ張られてもすぐ抜けないように、上の写真なら右がきもち下がるようにして、穴をあけます。
あご当て取り付け用レンチ
次に紹介するのは「あご当て取り付け用レンチ」です。
あご当てがグラグラしたらなにで締めますか?
あご当てをしっかりと取り付けても、緩んでくることがあります。グラグラするほどまではいかなくても、意外とネジは緩んでいることが多いのですが、そんなとき、みなさんはどのようにあご当てのネジを締めますか?ヘアピンなどの細いもので締めた経験はありませんか?しっかり締めようとすると、ピンのほうが曲がってしまったり、穴に差し込みすぎて横板を傷つけてしまったり、結構力がいったりしますよね。今回ご紹介するのは、そんなみなさんの為の専用のレンチです!
使い方は簡単!
あご当ての金具に空いているネジ穴にレンチの先端を挿し込んで回すだけです。このレンチは先端の長さが調整されていますので横板を傷付ける心配がありません。また、細い穴にも対応できるよう、工房で先端を加工しています。
あご当ては強く締めすぎると楽器が歪んだり割れたりする可能性があります。手で動かしてみてぐらつかない程度に締まっていれば大丈夫ですよ!
日々様々な工具を使って皆さまの大切な楽器を修理・調整しています。何か疑問に感じた事、聞いてみたいことなどございましたら、お気軽にお問合せくださいね!
シマムラストリングス秋葉原のカギヌシでした。
シマムラストリングス秋葉原のご案内
シマムラストリングス秋葉原は、お客様それぞれの音楽への想いをカタチにするため、弦楽器の修理・調整ができるバイオリンリペア工房を併設し、その他にも音楽レッスン、コンサート、演奏家や楽器職人との交流会イベントなど弦楽器を総合的に楽しんでいただける専門店です。
マイスター茂木が本場ヨーロッパで体験した理想的な音楽とお客様の関係の実現を目指し、ビギナーからプロ奏者までが音楽との緻密な関係を生み出せる新たな聖地となるでしょう。
皆様のご来店をスタッフ一同、心よりお待ちしております。
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