みなさんこんにちは!シマムラストリングス秋葉原のカギヌシです。
弦楽器の修理・調整工具をご紹介していくシリーズもいよいよ第3弾です。
前回第2弾ではカラークランプをご紹介しましたが、まだまだ用途によってたくさんの種類のクランプを使いますので、ご紹介したいと思います。
クランプは用途によって形もいろいろ
クランプは剥がれや割れを接着する時に使います。しかし、弦楽器はほとんどが木でできているため思わぬところに割れが発生したり、剥がれたりします。
弦楽器は複雑な作りになっているところもありますし、全体的に丸みを帯びていますので、なかなかひとつのクランプで全ての修理をする事はできません。
そこで、ポイントポイントにぴったりのクランプが必要になります!
横板剥がれ用クランプ
これはエンドピン付近の横板の剥がれを接着するためのクランプです。
横板はエンドピンを境に左右に分かれていて、そこから横板が剥がれてしまうトラブルがよくあります。
軸となる棒の先端が回転する仕組みになっています。
これをまずは真っ直ぐな状態でエンドピンの穴からそっと入れます。
そして中で先端を回転させることにより軸を引っ掛けることが出来ます。
後は楽器が傷付かないよう当て木をしてネジを締めます。
注:写真は分かりやすい様に表板を剥がした楽器を使っていますが、本来は表板が付いた状態で使用するためのものです。
響板割れ用クランプ
これは主に表板の割れ修理に使います。
表板は木目に沿って縦方向に割れやすくなっています。
割れを挟むようにしてクランプをセット。
後はネジを回して締めることにより割れを接着します。
もう一つこのクランプの大事なポイントは上下につけられたネジです。
このネジを微調整して左右の高さを変化させる事で、接着部分の段差をなくすことが出来ます。
Gクランプ
これも響板割れに使うものですが、より大きな割れに使う場合が多いです。
響板の裏側に割れに沿って、左右に小さなブロックを接着していきます。
そのブロックを締めることで割れを接着します。
響板は丸く自然なふくらみをしていますが、
割れを接着した後はその部分だけへこんでしまいがちです。
Gクランプはネジの締め具合によって響板の自然なふくらみを再現し、精度の高い接着をする事が出来ます。
f字孔割れ用クランプ
表板f字孔の下の穴付近はとても薄く幅も狭いため、少し力が加わっただけでも簡単に割れてしまいます。
この時使うのがf字孔割れ用クランプです。
このクランプの特徴は表板を剥がすことなく横板に接着したままでも使える点です。
3つの爪が付いていて、1つをf字孔に、残りの2つを表板の縁に引っ掛ける事によって接着します。
ハタガネ
ハタガネは響板中心部分の接着面(ハギ)の割れによく使います。
縁と縁を豪快につないで接着します。
楽器の幅に合わせて長さを微調整し、全体に力が均一にかかるようにして締め上げます。
日々様々な工具を使って皆さまの大切な楽器を修理・調整しています。何か疑問に感じた事、聞いてみたいことなどございましたら、お気軽にお問合せくださいね!
シマムラストリングス秋葉原のカギヌシでした。
シマムラストリングス秋葉原のご案内
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