皆さまこんにちは。
この年になってようやく若いころに日焼け止め使っておけば良かったと思うようになった、
ルシアー駒木です。
紫外線、怖い怖い。
衝撃の連絡から全てが始まった前回
前回、ツアー先から「ネックにヒビが!」という緊急連絡を受け、島村チームの連係プレーで無事ギターチェンジとなりました、梢枝さんのメインギター。
折れたメインギターを確認してみたら、ヒビではなくシッカリ折れていた(変な言い方ですけど)、という前回のブログ。
今回はその続き、修理の様子をご覧いただきます。
まずは状態確認から
まずはとりあえず、通常のネック折れのセオリー通りに、クランプで仮止めしてみます、、、が、
うーん、上手くいきません。
過去のブログでご覧いただいております通り、
ネック折れの多くは、ネックとヘッドの継ぎ目になる角度の付いた部分が折れます。
ところが、今回の折れ方はその定番パターンよりも折れの中心がヘッドから遠く、角度のない「グリップ部分」で折れています。
その上、その範囲が広く、指板近くまで割れています。
その為、クランプを締めると、ネックを潰すような感じで力が掛かり、割れの中心はよいのですが、それと引き換えに、クランプからは遠い指板に近いところに、木材のずれが出てしまう訳です。
さてどうする?
そこで今回は、割れの中心は押さえつけるようにクランプ固定しつつ、指板近くに割れの広がった周囲は、ネック中心に向かって締め付けるような固定をしてみました。
今度は良さそうです。
油紙で工具や治具の固着を防ぎながら、接着です。
翌日
クランプを外してみると、
上手くいきましたね。
正直このまま塗装修正しても、ほぼ割れたことが分からないレベルで仕上がりそうです。
ご自宅で演奏される事が中心のお客様所有であれば、修理予算によっては、そのまま割れ目の塗装補修だけで完成という形も良いと思います。
ですが、これは今後も過酷なツアーが待っている楽器。
振動がかかる輸送などで再発のリスクがあるのはもってのほかですし、であれば、むしろ修理前よりも丈夫に仕上げて返すのがプロの仕事。
当て木には質の良いマホガニーを選びました。
折れの修理自体は過去何度か既出の内容なので、サラッと割愛します笑
狙い通り完璧です。
機械で粗削りして、、、
手作業で成型していきます。
この作業、同業者コミュニティで話をすると、カンナや小刀を使う人が多いみたいですね。
私はノミが好きです。
仕上げは手作りの小刀で
周囲の塗料を剥がしながら仕上げていきます。
ここから塗装に入ります
まずは下準備~下地の塗装を。




写真だと簡単そうだな(笑)


順調順調
ルシ駒の悩み
着色前の磨きまで来たところで、悩みました、ルシ駒。
以前もご紹介しましたが、私はタッチアップが結構好き。
私の技術を以てすれば、こんな感じの
ところからでも、
こんな感じにまで
木目を書いて、修理した事自体を分からなく隠してしまう自信はあります。
が、今回はアーティストさんの楽器ですから、このネック折れも、ある意味過酷なツアーの証。勲章みたいなものですよね。
なら「直した事が分かる仕上げ」もそれはそれで意味があるなあ。。。と。
でもそのままはカッコ悪い。
なので、今回は、
ボディと同色で塗る事にしました。
仕上げは見た目と、梢枝さんの弾き方に合った触り心地を兼ねる為、70%つや消しで。
組み込み工程へ
前回ブログの冒頭部分で、
「その7月のライブにお邪魔した際に、実は追加でいくつかセッティングの希望がありまして、現場でよりもお預かりして工房で行った方が良い内容でしたので、すぐにパーツの手配などして、お預かりする準備をしておりました。」
と書いていたのですが、
その新たなパーツがここで登場!!
どうですか?このマシンヘッド、メチャカッコ良くないですか??
サドルやピンも、
ここ何回かのサポート👇
の時に梢枝さんとお話しできた内容を加味して、細かく仕上げていきます。
完成です!
皆さんに、日々かりさんの歌声と共にこのギターの音を体感して欲しい!
日々かりさんは現在ツアー真っ最中!
HISTORYでの素晴らしい演奏を皆さん生で是非体感してみて下さい!
日々かりさんのライブスケジュールはこちら⇓
hibikari.com
皆さんヒストリーのアコースティック、興味あったら弾いてみてね!
ルシアー駒木でした!