2017弦楽器フェア 島村ブースレポート<後編>
皆さまBuon giorno!!
シマムラストリングス秋葉原マネージャーの糸山と申します。
前編のルシアー駒木より引き続き、私から「2017弦楽器フェア」の後編をレポートさせて頂きたいと思います!
弦楽器フェア会場の最寄駅:九段下駅近くのカフェにて。毎日ここで3人で朝食を頂きました。
ラファンさんは3日間必ず「抹茶ラテ」と「チーズケーキ」の組み合わせ。タディオリさんも「エスプレッソ」と「チョコチップクッキー」という不動の組み合わせです。
当社はこの「弦楽器フェア」に2012年より参加させて頂いており、毎年たくさんのお客様へご来場頂き、おかげさまで毎回大変ご好評頂いております。
毎年欠かさずお顔を出して下さる皆さま、いつも本当にありがとうございます!
今年の当社弦楽器ブースには、スペシャルなゲストを贅沢にも3名も招聘し、3日間華やかに開催させて頂きました!
まずはイタリア:クレモナよりヴァイオリン製作家、Maurizio Tadioli(マウリヅィオ・タディオリ)さんをご紹介致します。
■Maurizio Tadioliプロフィール
1967年 クレモナ生まれ。学生時代は優れたオルガニストでもあった。祖父Carlo Pizzamiglioの影響で弦楽器製作のキャリアをスタートさせる。
1984年 バーニャカヴァーロ・コンペティション1位(Violin)
1990年 同コンペティション2位(Violin)
1992年 同コンペティション3位(Violin)・2位、 ほかアメリカなどでも受賞歴多数。
アンティーク風楽器製作のエキスパート。彼の楽器入手は世界的に入手困難。
現在は製作の傍ら、Pisogne国際バイオリン製作コンクールの審査員、ピラストロ社の商品開発のアドヴァイザーを務めるなど、多忙を極める。
ストラディヴァリウス所有のマテオ・フェデッリ氏、ガルネリ・デル・ジェス使用のスーザン・ホウ氏ら、オールド銘器所有のプロプレイヤーが使用楽器のレプリカ製作の依頼することも多い。アンティーク風新作楽器製作における、今やクレモナの最先端シーンを先導する名工。
Maurizio Tadioli使用演奏家: Matteo Fedeli (マテオ・フェデッリ), Yi-Jia Susanne Hou (イージャ・スザンヌ・ホウ), Jenny Scheinman, Harry Skura ... ほか。
今回は話題の最新作を携えての来日、ガルネリ・デル・ジェスが最晩年に製作した作品、1744年「Ole Bull」と共に来日致しました。
世界的ソリスト:Yi-Jia Susanne Hou (イージャ・スザンヌ・ホウ)(も愛用する同氏のモデル、新作楽器とは思えない渋いサウンドと素晴らしいパワーを内に秘めた、正にファンタスティックな作品でした。(本作は既にSold Outとなっております。)
そんなアンティーク風楽器製作のファンタジスタは、当ブースにてヴァイオリンの「糸巻き(スクロール)」を目の前で製作実演するという、何とも”粋”なパフォーマンスを見せて下さりました。
間髪入れずにどんどん彫ってゆくタディオリ氏に、「年間何本ぐらい作れるのか?」「木材はどんな選び方をしているのか?」など、興味を持って多くの方からご質問が寄せられまして、一つ一つ丁寧に応えていらっしゃいました。
右に置かれているのは、同氏の2016年年末に出来上がった作品、ガルネリ・デル・ジェス1731年の名器「Gibson - Ex.Huberman」の精密なコピー作品です。こちらも素晴らしい出音と迫力で、期間中は大変人気がございました。
詳細はこちら。
そして、今回ブースで製作実演させて頂いた糸巻きは、2018年の年始頃に完成予定の「Il Cannone」。
あの、伝説の名手ニコロ・パガニーニが愛用した名器として超有名なアレです!
裏板厚さが最大6mm強にもなる極太の超大作を、まさかの皆様の目の前で製作させていただいておりました。こちらも完成が本当に楽しみですね!!
そして、次にご紹介するのは同じくクレモナからやってきました若干30歳の天才ヴァイオリンメーカー、Valerio Ferron(ヴァレリオ・フェロン)さんです!
■Valerio Ferronプロフィール
Valerio Ferron(ヴァレリオ・フェロン)は、クレモナのバイオリン製作学校を卒業後、いくつかの名工のもとで学び自らのスタイルを完成させ、弱冠24歳でイタリア国内のコンクールで3冠を獲得し成功を手にした天才肌の新生です。2010年 Pisogne弦楽器製作コンクール バイオリン部門 第1位および音響特別賞受賞
2011年 Pisogne弦楽器製作コンクール ヴィオラ部門 第1位
2011年 Pisogne弦楽器製作コンクール チェロ部門 第1位
フェロン氏には、最終日の5日(日)午後にレクチャー(通訳:マイスター茂木)を開催させて頂きまして、今回の最新作であるAntonio Stradivarius 1714年”Soil”のモデルと、Giuseppe Guarneri del Gesu 1741年”Ysaye”の比較解説とに加え、2本のモデルの「音の聴き比べ」ミニコンサートを行いました!
見た目もガッツリとトーンを落として色濃くしたディープな風合い、舞台上でのカメラ映りもとっても素敵な感じになりそうです。
レクチャーでは楽器の歴史的背景を簡潔にお話しさせて頂きまして、フェロン氏独自の制作アプローチと作品に対する「思い」を熱く語らせて頂きました。ご清聴誠にありがとうございました!
そして、ヴァイオリニスト:吉田直矢さんによる情熱的な弾き比べミニコンサートによって当社ブースのボルテージはMAXに!!
1曲目は、クライスラー「プニャーニの様式によるプレリュードとアレグロ」、2曲目にはドルドラ「ビゼーの”カルメン”による幻想曲Op.66」を演奏して頂きました。
吉田直矢さん、本当にありがとうございました!!
ヴァイオリニストChris Koh氏にもフェロン氏の作品をお試し頂けました!
そして、フランスはParisの弓職人Sandrine Raffin(サンドリーヌ・ラファン)氏も来日し、同氏の製作する弓のプロモーションとレクチャー&弾き比べミニコンサートを開催させて頂きました。
■Sandrine Raffinプロフィール
Sandrine Raffin(サンドリーヌ・ラファン)は、1972年フランス・ティエ生まれ。
1991年 フランス国内にて、さまざまな名工のもと、弓職人としてのキャリアをスタートさせる。
1992年 世界最高のオールド弓鑑定家である父:Jean Francois Raffinのもとで弓働き始める。
2007年 パリに自身の工房を構え独立。
2012年 フランス政府より「Maitre Artisan en Metier d'Art(Master craftsman in bow making)」を授与される。
この作品も、ヴァイオリニスト:吉田直矢さんによって弾き比べコンサートでご使用頂きました。
あちこちのブースで試奏の音が混ざり合う中、その違いをお客様と一体となって耳を聳てている姿が印象的でした。皆さまご来場ありがとうございました!!
フェア終了の翌日には、WEB上では非公開で「ラファン氏による毛替え会」を行いました。
当日はお客様より超高級オールドフレンチ弓を数本限定でお預かりさせて頂き、ラファン氏自身によって毛替えを行わせて頂きました。ご利用下さった皆様、本当にありがとうございます。
その他、来日中の多くの製作家に当社ブースにご来場下さりました。
パルマのElisa Scrollavezza(エリーザ・スクロラヴェッツァ)さんには、同氏2017年の最新作Antonio Stradivariモデルのメンテナンスをして頂きました。
極上の木材を使った非常に美しいヴァイオリンですので、是非一度お試し下さい。Grazieエリーザさん!
また、ジェノヴァのアルベルト・ジョルダーノさんにもご来場下さり、9月に選んできた2017年最新作「Il Cannone」の納品がありました!
その時の模様はこちらです。
キャノン砲の名前にふさわしい、爆発的なパワーと圧倒的な音量を持つ正にバズーカ・ヴァイオリンです。
と、ここまで駆け足でご紹介申し上げましたが、この3日間は私にとっても夢のような3日間でありました!
多くの皆さまにご来場頂きまして、心より感謝申し上げます。ありがとうございました!
今年の反省材料をもとに、また来年パワーアップして開催できるよう日々精進致します!!
また来年11月の「2018弦楽器フェア」でお会いしましょう!
それでは今日はこの辺で。Ciao!!