島村楽器公式ブログ

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札幌パルコ店【サカエドラム工場に行ってきました(Part3、完)】

こんにちは。Webサイト担当のオクダです。
全国の島村楽器 各店舗が配信している、店舗情報・イベントブログの記事の中から、おすすめの記事をご紹介するこのコーナー
今回は札幌パルコ店のトリヅカさんがレポートしてくれている、サカエドラム工場でのドラム作成工程Part3をお届け致します!
Part2では研磨、塗装の様子などを紹介しました。
Part1はこちら

Part2はこちら

サカエドラムについて詳しくは公式HPをご覧ください!
www.korg.com

こちらの記事は、島村楽器店舗ページで掲載している情報の中から、おすすめの記事をそのまま掲載しています。既に開催し終了しているフェア・イベント、販売が終了している商品情報の場合がございますので、ご注意ください。

いよいよ完成、その前に

世界へ向けて発送

現在、サカエのドラムは日本国内だけでなく全世界で販売されています。
世界的には、Trilogyシリーズの人気が上がってきており、工場内でも製造途中のTrilogyシリーズが目に付いたように思いました。

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完成し、世界中の販売代理店へ発送されるのを待つドラム。

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世界中のドラマーたちが、ドラムが届くのを心待ちにしているはずです。
これらのドラムで練習をして、ドラムの楽しさに目覚めたり、
ここから旅立っていったドラムが、何千、何万人の観客を熱狂させたり、
すべてのドラムがこれからたくさんのドラマを産み出すのだなと、感慨深い思いでした。

プロトタイプの説明

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最初に通していただいた部屋です。
奥のスネアドラムは、試作段階の「桧(ヒノキ)」製のスネアドラムと、真ん中はそのシェル。
「桧(ヒノキ)」は、日本では古くから建築材として用いられてきました。
その「桧」のシェルのスネアドラムのプロトタイプです。
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ドラムで一番ポピュラーな木材はメイプル(カエデ)。
サカエではAlmightyシリーズ等で採用されており、北米大陸で生育するものが一番良質とされています。
また、Celestialシリーズで使用されている「ブビンガ」。
アフリカ産が良質とされていますが、森林保護の観点から、将来的には規制が厳しくなる事が予想されています。
そうした中でサカエでは、日本の木材を海外に出したいという思いから国産の材に注目し、
日本で古くから使用されてきたヒノキでドラムを製造するに至ったそうです。
国産の材を使用することで、国内の林業の振興にも役立つ可能性も視野に入れているという、
社会的にも大変意義のある楽器になるかもしれません。
ドラムに適している材とは必ずしも言えない面もあるそうですが、大変特殊な製法を採用することで、素晴らしいサウンドに仕上がっています。
近日の発売予定だそうですので、楽しみにして待ちましょう。

最終組み立て工程

製造工程の説明に戻ります。
ラグ等のパーツ取り付けも終わり、最終組み立てを待つドラム。
この後、フープ等を装着して完成です。

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さて、今回私がサカエの工場を訪れることができたのは、理由がありました。
昨年(2015年)、1年間限定で受注生産されたサカエのドラムセット「Celestial TAMO カリビアンカラー」。

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(写真は2015年開催の、SAKAEドラムセミナー"Through the tone"で大喜多崇規さんが使用したセット)
このセットをオーダーしたお客様は、サカエの工場を見学できる、という特典がありました。(現在は受注終了)
そしてわたくしは、当店でこのセットをオーダーしてくださったお客様に同行させていただき、見学することができたのです。

なんと、これからお客様に納品するドラムセットが、まさに最終組み立ての真っ最中!

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大興奮のお客様!

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職人さんも、手を止めて撮影に応じて下さいました。

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私がご紹介してこれからお納めする楽器が、
今まさに組み立てられている瞬間を目の当たりにするとは思いも寄らず、
また、たいへん喜んでくださったお客様の様子を拝見して、
たいへん感激いたしました。

おしまいに

さて、駆け足でご紹介しましたサカエドラム工場見学。
私が感じたのは、手作りの素晴らしさです。
整然とした工場内では、立派な機械を使って作業をしています。
しかし、各工程の仕上げや、最終的な組み立て等、そして美しい塗装など、重要な部分は、
熟練した職人さんの手や感覚が頼りになっています。
作業している職人さんの背中から伝わって来た緊張感は忘れられません。

また、気さくに対応してくださった社長さんは、これまでのサカエの歴史について、
「(使ってくれているドラマー、関わりのある会社などの)みなさんに育ててもらってきた」とおっしゃっていました。
この姿勢こそが、多くのドラマーさんの声に応えるに楽器を作り出す源なのだなと感じました。

そして、セミナー等でもみなさんにご紹介する機会が多い辻さん。
現場と、ドラム作りを結びつける貴重な存在として、ドラムの歴史に名を残す存在かもしれません。
当店を使ってくれているドラマーさんのなかでも、お世話になっている方が増えています。
今後とも宜しくお願いします!

楽器の製造が続々と海外工場へ移されていく情勢ですが、
国内製造にこだわっているサカエのドラムづくり。
着実に支持をひろげている理由を垣間見た思いでした。

最後になりましたが、中田社長、辻さん、サカエリズムのみなさん、
そして最後まで読んでいただいたみなさん、
どうもありがとうございました。



私事ですが、大阪から帰ってきて、自分のセットをケースから出して磨いてみました。
楽器が、こんなにも多くの方の知恵と努力の結晶であるということを目の当たりにし、
このことをみなさんにお伝えしていくとともに、自分でも大切に使っていこうと思いを新たにしました。

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3回に渡ってお伝えしてきた今回の「サカエドラム工場」製作の様子。作り手の方々の思いや、それを演奏するアーティストの皆さんの思いも伝わってきました!トリヅカさん、貴重なレポートありがとうございました!
また、トリヅカさんは、Twitterでもドラムの情報を随時配信していますので、ぜひフォローしてくださいね!
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それではまた次回!

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