こんにちは。Webサイト担当のオクダです。
全国の島村楽器 各店舗が配信している、店舗情報・イベントブログの記事の中から、おすすめの記事をご紹介するこのコーナー
今回は札幌パルコ店のトリヅカさんがレポートしてくれている、サカエドラム工場でのドラム作成工程Part2をお届け致します!
前回はサカエドラムの工場に到着したところから、シェル成形の様子などを紹介しました。
Part1はこちら
サカエドラムについて詳しくは公式HPをご覧ください!
www.korg.com
工場見学レポートPart2
札幌パルコ店のトリヅカです。
さて、サカエドラム工場見学レポートのPart2をお届けいたします。
Part1では、シェルの成形が出来たところまでご紹介しました。
シェル成形仕上げ
シェルの両端は、この工程で切り落とす前提で少し大きく作られています。
切り落とす作業をする機械も、この工程に合わせて設計した特別仕様。機械に載せて位置を合わせると、高速で回転する刃がシェルを切っていきます。
一瞬で作業が終わりました。この後は研磨の作業に移ります。
研磨
シェルの内側と外側を研磨します。機械で研磨したあと、
職人さんが目視と手で触ってチェックし、気になったところがあったら手作業で仕上げています。
塗装
ここからも重要な作業が続きます。サカエのドラムの特徴として、塗装がたいへん美しいことも挙げられます。
特に、スパークル系(ラメ)のきらびやかさや、フェード(グラデーションのように色が変わっていく)の深みのある美しさは、
サカエドラムを特徴づける、大きな要素の一つです。
この写真は、塗装の工程は、驚くほど多くの工程を経ていることを説明している見本です。
見本の一番下から上へ、塗装の工程を紹介しています。左側のチェリーウッドでしたら、
ワイピング(染色?)→下塗り→研磨→目止め→研磨→クリア塗装→上塗り→研磨→もう一度研磨→ワックスがけ研磨
という工程。
右側のブルースパークルも、写真のように一度シルバーの下塗りをしてからブルーの塗装をするという、驚くほど多くの工程を経ています。
深みのある美しい色には、このような秘密があったのですね。
フェード系の色は、以下のような回転する台にのせ、回しながら手作業で吹いていきます。どの位の箇所で色を変えるのは一応の見本はあるものの、職人さんの手作業で行っているそうです。
そして特筆すべきはスパークル系の塗装。スパークルのキラキラしたものは金属の粉末だそうなのですが、サカエの粉末は、一般的なものよりはるかに大きい粒を使用しているそうです。
通常ですと、その大きな粒をスプレー塗装することは不可能なのですが、
美しい塗装を実現するために、機械を特別に作ったそうです。
「機械がないから出来ない」ではなくて、「機械がない、ではどうすればできるか」という考えが根底にあるとのこと。
サカエのドラムづくりに対する情熱の一端を見た気がしました。仕上がったシェルが置いてありました。まさに輝いています!
カバリング
カバリングは別な場所で作業しています。年月を経てもシワや割れが発生しないよう、時間をかけて慎重に接着しています。
エッジ加工
ドラムのサウンドを司るたいへん重要な部分ですが、惜しげもなく見せていただきました。
作業は行われていなかったので実際の作業の様子を見ることはできませんでしたが、この機械にシェルを載せ、シェルを載せるイメージは、こんな感じです。
エッジの角度ごとに異なる刃が用意されているので、その刃をセットし、エッジ整形します。
刃がシェルに当たる様子は、このような感じ。エッジ整形が出来たら、平面になっている台の上に載せ、エッジが正しく整形されているかチェックします。
0.3mmの誤差でもチェックできるそうで、万が一誤差がある場合ははやり直すそうです。その細やかさにため息が出てしまいます。エッジ加工を終え、次の作業を待つシェルが、整然と順番を待っています。
ここに限らず、工場の中は本当にきれいに整理整頓されていたのが印象的でした。
ラグ、パーツ穴開け
いよいよ終わりの工程が近づいてきました。
ラグの穴あけは、サイズごとに治具があり、それに合わせて穴空けを行います。ラグの間に位置する、バスドラムレッグやタムホルダーベース、空気穴などは、
どうしても手作業で計測して空けなくてはならないそうで、慎重に作業を行っていました。この工程は特に緊張感があり、見ている私たちも手に汗握るような瞬間でした。
バスドラムレッグの話
サカエドラムのサウンドの特徴のひとつとして、豊かなバスドラムサウンドがあります。
まさにホールやスタジオの空気が轟くような充実した鳴り。
このサウンドをつくりだす重要な秘密がこちらの、バスドラムレッグの取り付け部。バスドラムレッグ(脚)は、ゴム製の部品を介してシェルの内側と外側から挟み込むようにして固定されています。
レッグがシェルに接する部分に特殊なゴム部品を使用することにより、バスドラムを鳴らした振動を床に逃がさず、シェルを十分ドライブさせるという考えに基づいてデザインされています。
また、それにより、床の影響でサウンドが変わってしまうということが防げます。
ゴムの厚さで、出る帯域をコントロールできるとのこと。小さなパーツですが、驚くべき工夫が凝らされているのです。(なお、この仕組みはAlmightyシリーズとCelestialシリーズに採用されており、Trilogyシリーズは違います)
さて、パーツの組み込みも佳境に入り、いよいよ完成が近づいてきました。
最終回のPart3に続きます。
「機械がないから出来ない」ではなくて、「機械がない、ではどうすればできるか」という、ものづくりの根源の考え方、素晴らしいですね。
バンドの花形で、ダイナミックな演奏が魅力のドラムですが、製作過程は繊細で職人さんの技術が光ります!
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次回は最終回!いよいよ完成です!
Part3はこちら