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札幌パルコ店【村上PONTA秀一 ドラムクリニックレポート】

こんにちは。Webサイト担当のオクダです。

全国の島村楽器 各店舗が配信している、店舗情報・イベントブログの記事の中から、おすすめの記事をご紹介するこのコーナー

今回は札幌パルコ店トリヅカさんがレポートしてくれている村上PONTA秀一 ドラムクリニックの様子をお届け致します!
日本を代表するドラマーの一人、村上PONTA秀一さんのスペシャルクリニックの内容を余す事なくレポートしてくれていますので、早速ご覧下さい!

こちらの記事は、島村楽器店舗ページで掲載している情報の中から、おすすめの記事をそのまま掲載しています。既に開催し終了しているフェア・イベント、販売が終了している商品情報の場合がございますので、ご注意ください。

村上PONTA秀一ドラムクリニックを開催しました

去る2014年9月27日、当札幌パルコ店で「村上PONTA秀一 ドラムクリニック」を開催しました。
日本を代表するドラマーであるポンタさんのクリニック。その様子をレポートいたします。
当日参加された方は振り返る意味で、惜しくも参加できなかった方はレポートで少しでも当日の雰囲気を感じ取っていただけたらと思います。

クリニック当日

ついにポンタさんのドラムクリニックの日がやってきました。担当トリヅカはこの前々日にPONTA BOXのライブにお邪魔し、その素晴らしさに感激したばかりでした。
そのポンタさんの演奏を、クリニックに参加するみなさんにも体験して頂けるという事が楽しみで仕方ありませんでした。準備も万端済ませ、ポンタさんの到着を待ちました。

セッティング サウンドチェック

時間より少し早くポンタさん到着。挨拶もそこそこに「楽器見せて」。すぐにセッティングにとりかかりました。


この日はPONTA BOXツアー用のセットではなく、クリニック用に特別に用意したセットを使用しました。普段使っているサイズではなく、この日初めて触れたセットであるにも関わらず、てきぱきとご自身のセッティング、サウンドに仕上げていきます。


シンバルはPONTA BOXの北海道ツアーで使用したものから選んでセット。ご本人はスローンに座ってセッティングし、スタッフさんが手伝う、という方法で、あっという間にセッティングが終わりました。

セッティング、サウンドチェック見学

ポンタさんのご厚意により、参加者の方もセッティングを見学することが出来ました。熱心なドラマーさんが、緊張しつつ見学しています。

「今からオレが考えた良いミュート教えるから」
「ハイッ」

「38年前、ニューヨークでスティーブガッドと一緒に考えたんだ。マイク乗りが抜群に良くて、今でもニューヨークのレコーディングはみんなコレだ」
「ハイッ」

サウンドチェックは、クリニックで使用するトラックに合わせてバランスを取ります。軽く合わせてokを頂きました。
時計をみると事前にお伝えした時間ぴったり。プロの仕事です!

クリニック開始


前半は、事前に募った質問に、ご自身の経験、考えをもとにしたお話で進行します。ごくごく一部を紹介します。

ドラムを操るのは自分

ドラムに操られている人が多い。

身体の構造と呼吸法を知る事が大事。

指→手首→肘→肩の動きを順番に練習して身につける。力んで叩いたら100分の何秒か遅れている。

現存する楽器で一番楽なのはドラム

力で叩くのではない。反動を利用する。

体感することこそが全て

今、こうやってクリニック等を行うようになったのは、
生音を聞いた経験がある人が本当に少なくなったように思うから。
生音の素晴らしさを伝えていきたいと思って、こういうクリニックをやっている。
圧縮された音ばかり聴いていると、圧縮された音の感性で終わってしまう。

イスの高さ

長くドラムを続けたかったから、イスを高くした。
音を出すのは練習が必要だが、出来るようになれば、脚を落とすだけで鳴る。
イスが低いと「踏んで」しまい、腰に反動が来て腰を痛めてしまう。
しかし、ディスコビートのような一定のパルスを出すときは、イスを低くして「踏む」

呼吸法を意識する

鼓の奏者の演奏を見て、呼吸法を学んだ。
鼻からスッと吸って、0.2秒で肺がいっぱいになっている。
そしてそのあとゆーっくり吐いている。
呼吸を意識する人は、リズムが揺れなくなる。
そこから崩すのは自由。自分の個性で歌えば良い。

何でも突き詰めてみる

今日話した事で、ひとつでも「おっ!」と思った事があったら、それを突き詰めて実践すると良い。
突き詰めて身につけたら他の事もいろいろ見えてくる。
ひとつ突き詰めたら他が同時進行で見えてきて無駄がだんだんなくなる。

デモ演奏

絵を描くような意識

以前、打ち込みでトラックを作って、
そこにドラムで色をつける、景色をつくる、という実験的なアルバムを作った。
今日はその中から抜粋して、30分弱のデモ演奏をする。
今はコンピューターで手軽に打ち込み等もつくれるから、
作ってみて、ドラムで絵を描くつもりで叩いてみると良い。絶対、自分の表現が変わる




ロッズ、マレット、ブラシ、スティックを持ち替え、
様々なフレーズ、様々な音色を引き出していきます。
ドラムセットを操り、音を操るさまは、
さながら、パレットで絵の具を混ぜていろいろな色をつくりだしていき、
作り出した様々な色で、キャンバスを彩っていくかのようでした。

サイン会

サイン会参加の方みなさんに、丁寧に名前を聞いてサインしてくださっていたのが印象的でした。

この日のセッティングを紹介します


ドラム

  • パール ファイバーグラスシェル(生産完了品)
    • 20"×16"バスドラム
    • 10”×8”タム
    • 13"×13"タム
    • 15”×14"フロアタム
    • 村上ポンタ秀一シグネイチャースネアドラム「MPS1445S」

シンバル

  • セイビアン
    • HHXマンハッタンクラッシュ18"
    • HHXマンハッタンライド20"(ともにシズル穴6箇所、シズルは3本)
    • ブランド不明 オールドシンバル(割れカットあり)
    • ブランド不明 ハイハット14"

ペダル

  • パール エリミネーターP2000C


この日のセットは、ポンタさんのツアー用機材ではなく、今回のクリニックのために特別に用意したものです。
通常は「偶数の並びというのは、歴史的に意味があるから、奇数のタムは使わない、」「深胴も使わない」とのことでした。

ミュート

ポンタさんが38年前にスティーブガッドと一緒に考えたタムのミュート。ティッシュを、ガムテープで手前側のリムと打面端に止めています。

スティック

ご持参スティックケースはパール。中には非売品のオリジナルロッズ、パールのマレット(665-H)、VIC FIRTHのブラシ(VIC-HB)と、同じくVIC FIRTHの本人モデルスティック(VIC-MPS)が。
頻繁な持ち替えのため、スティックケースをフロアタムに掛けるのではなく、フロアタムの横に置いたハードケースの上に置くのがポンタさん流。

スネアヘッド

スネアヘッドはもちろんポンタさんのトレードマークともいえるコーテッドエンペラー。新品のコーティングヘッドを、ブラシの演奏をスムーズにするため、サンドペーパーでやすって滑らかにしていました。

リングミュート

こちらもトレードマークともいえるリングミュート。幅が狭い方は、ポンタさんのご用命で当日トリヅカが切ったもの。(緊張しながら切ったので、若干ヨレヨレなのはお許し下さい)白い方はレモ(RO-14)。
幅の狭い方はほぼ常にスネア打面にセットしてあり、さらに必要に応じて白い方を付けたり外したりしていました。白いリングミュートは演奏中の写真でハイハットスタンドに掛けてあるのが確認できます。

セッティングの高さ

「高い」と言われるポンタさんのセッティング。寸法を測ってみました。

  • イス 60cm
  • スネア奏者側 64cm
  • スネア向こう側 68cm
  • 13"タム(打面中央)86cm
  • 10"タム(打面中央)81cm
  • 15"フロアタム奏者側 64cm
  • 15"フロアタム向こう側 69cm

(クリニック中にイスのお話で「今日は普段より15cmくらい低い」というお話がありました。)

  • ハイハット(クローズ時) 82cm
  • 上下開け幅(奏者側)5cm
  • 傾き 1.5cm

スネアとバスドラムの位置関係を、ほぼ垂直に上から撮影しました。
スネアがバスドラムにかなり載っている(被さっている)ように見えます。
一般的なセッティング(個人差ありますが)より、バスドラムが奏者側にかなり近いと言えるでしょう。
また、そうすることによりタムも近くなります。
クリニック中にもお話がありましたが、身体の構造、動かし方から導きだされた、実に合理的なセッティングであることが分かります。

ポンタさん ありがとうございました

日本を代表するドラマーであるポンタさんの生音を体感したことは、みなさんの今後のドラム人生に本当に大きな糧となると信じています。
多くの音楽を作り出してきたポンタさんの音、言葉は、重みがありました。そして、もしかしたら。すぐには実感できないこともあるかもしれません。
でも、信じて続けていけば、今日の言葉は、いつかきっと僕らを導いてくれると思います。
今日のクリニックを活かして、良い音楽を生み出せるように頑張る事が、おこがましいかもしれませんが、ポンタさんへの一番の恩返しかもしれません。
このような機会を設けて下さったポンタさん、本当にありがとうございました。

ドラムクリニックとは

当店ではこれまで、大喜多崇規さん、(Nothing’s Carved In Stone)リアド偉武さん(BIGMAMA)ピエール中野さん(凛として時雨)MASUOさん(BACK DROP BOMB)BUNTAさん(TOTALFAT)松原マツキチ寛さんらのドラマーさんをお迎えして開催してきました。当店開催のドラムクリニックは、PA等を通さない生の音を文字通り感じることができ、またドラマーさんが自分の言葉でみなさんに伝えてくれるイベントです。多くの場面を経験してきたドラマーさんの演奏、言葉を体感することができる、たいへん貴重なイベントです。

村上PONTA秀一 ドラムクリニックレポート - 島村楽器 札幌パルコ店 シマブロ

後進の育成、指導にも積極的に力を注いで下さっているポンタさんのドラムクリニック。
参加者の皆さんにとって素晴らしい時間となったのではないでしょうか!
セッティングも細かくレポートしてくれているので当日参加できなかった人にも盛りだくさんの内容でしたね!
村上”PONTA"秀一さんについて詳しくはこちらをご覧下さい。

札幌パルコ店では、今後もイベントを企画していますのでシマブロをチェックして下さい!

それではまた次回!

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