こんにちはサカウエです。
前回、前々回と耳コピ難易度の高いテンションや4度和音、sus4などをご紹介いたしました。
今回からはちょっと視線を変えて、リズム関連のお話をしてみたいと思います。今回は予告編という感じですね、多分次回に続くと思います。
トリッキーなリズム
これを聞いてみてください(リズムをカウントしながらお願いします)。
Led Zeppelin/ Rock and Roll
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ドラムソロの後のギターリフが始まるところで「あれっ」て思った人、ハイ正直に手を上げてみましょう。
多くの方が2拍ずれたり、ウラ返って拍頭を見失ったんじゃないかと思います(ワタクシも)。
では次にこれにカウントを入れて再現してみましたので(親切でしょ?)
聞いてみてください。。
[file:shimamura-music:120410-countRR01.mp3:sound]
いかがですか?今度は数がちゃんと合ったと思います。
さてこれを記譜すると;
実はこのフレーズは変拍子ではなく普通の4/4なんですね。
最初の一拍半(8分音符3つ)が曲者でして、実際は三拍目のウラ始まりなんですが、これがなぜか頭拍に聞こえちゃいます。スネアが二拍四拍打ちじゃないからなおさらなんですね。
なおこうした有名曲の場合は何度も繰り返し聴んで覚えてますから、譜面を見てもなかなか正しいフレーズには聞こえて来ないものですね(泣)
耳コピの強敵:複雑なリズム
さて、テンションが入った複雑な和声と同様、複雑なリズムの曲というのはやはり耳コピの強敵なわけです。
耳コピ歴35年(だったかな?)のワタクシがこれまで対決してきた強敵リズム曲を大別してみると、以下の三種類になるかと思います。
- 変拍子系:「16分の19拍子(ちょっと極端ですが)」みたいに拍を数えるのがチョット大変な曲。
- メトリック・モジュレーション(タイムチェンジ)系:ポリリズム的な曲(Perfumeとはチョット違います)
- トリック系(かっこいいネーミング募集中):スリップ・ビート等、どこが拍頭か分からない意地悪な曲。
二番目のメトリック・モジュレーション系はこんな感じですね。
メトリック・モジュレーション(16ビートから三連系へチェンジ)
Third Wind - PAT METHENY GROUP - Live '92 Japan 5分8秒から
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(ワタクシこのとき観客でした)
先ほどのツッペリンはやや三番目のトリック系。なおスリップ・ビートのすごいやつにはこんなのがあります。
Vinnie Colaiuta / I'm Tweeked / Attack of the 20 Lb Pizza
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テーマの繰り返しの0:34あたりから徐々に16分ズレのくり返し・・・ここまで来るともはや宇宙人。もう分けわかんないですね。
えーと、この時点ですでに「???」となっている方もいらっしゃると思いますが、心配ご無用。
これからワタクシがちゃんと説明しますのでご安心ください。
手ごわいリズムにどう立ち向かうか?
以前紹介したEL&Pの「タルカス」は5拍子でしたが、こうした厄介な曲はやはりジャズ、フュージョン、プログレ系に多いです。J-Popでこれやるとまずウケません。演歌は意外とあったりします。
さて、こうした難曲を予備知識もなく耳コピするのは、りゅうおう(竜王)に「ひのきのぼう」だけで挑むがごとき行為であります。普通はあっという間に叩きのめされます、リセットボタンです(古)。
したがって、ボスキャラに立ち向かうためには、やはりそれ相応の経験値とゴールド、武器・防具、耳コピの場合はこれからご紹介するようなウンチク等が必要になるでしょう。攻略本も必要です。
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それでは以降、これらの三大強敵の特徴と、耳コピ攻略法をご紹介してまいりたいと思います。
変拍子とは?
ではファースト・ステージのボスキャラ、「変拍子」から。
西洋音楽の基本は通常、二拍子(2/2,2/4など)、三拍子(3/4、3/8など)、四拍子(4/4など)ですね。
変拍子というのは変な拍子ではなく正しくは「複合拍子」ということで、一般的にはいろいろな拍子が連続する場合を称しているようです。まあへんてこな拍子だから変拍子でもよいです。
ちなみに「三三七拍子」ってありますよね、
[file:shimamura-music:120410-337.mp3:sound]
これ名前は立派に複合拍子のような感じですが、実際には
と休符が入っています。なんだフツーに四分の四拍子、ただのスライムです。
正しい「三三七拍子」はこうなります(小節頭にはアクセントをつけました)。
[file:shimamura-music:120410-T337.mp3:sound]
ドラキーくらいになったと思いますが、あまり応援には向いていないと思います。
とりあえず変拍子を聴いてみよう
Bruford / Hell's Bells
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19/16ですが非常にポップ(?)に感じますね。4分音符4つ(合計16コ)に16分3つのフレーズがはみ出ている譜割なので案外難しくないと思います。
Lee Ritenour / Sea Dance
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70年代ふゅーじょん血が騒ぐぜ・・・。7/8拍子のイントロとテーマ。サビは4/4で後半は6/8、9/8とかいろいろ出てきます。ぜひ数えてみてくださいw
なおこのアルバムは「ダイレクト・カッティング*1」という若い方には(???)な録音方法が採用されています。
この曲のイントロは前にも紹介したSus4コードを使っています。
0:13〜のリフはなんだか難しい感じに聞こえますが、実は下記のようなsus4コードの平行移動なんです。
トップノートはコンビネーション・オブ・ディミニッシュ(略してコンディミ、今度お話しします)スケール上で動いているというシカケになっています。
Bメロは4/4。典型的な4度進行です。
Em7- Am7 | D7 - GM7/Db9 | CM7 - F#m7(b5) | B7 - Em7 |
Genesis - Firth Of Fifth
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イントロと4:30からのフレーズに注目
シンセの16部音符フレーズにあわせた譜割りになっていますので、これも比較的覚えやすいと思います。逆に覚えてないと演奏するのはほぼ無理でしょうね。
表記の都合の場合もある
楽譜は「演奏者に理解されやすい」という観点で表記しなくてはなりません。ですから楽譜の便宜上、あえて変拍子表記にする場合もあります。
たとえば4/4が二小節あったとして四分音符は合計8個ですが、理解されやすさを優先した場合、フレーズによっては
3/4+5/4
2/4+3/4+2/4
といった表記でもよいわけです。とまあどこで区切るかは極論で言うと作曲者の自由。非常に恣意的なわけです。
ストラビンスキー「春の祭典」の終曲は、指揮者泣かせの変拍子オンパレードで有名ですね。
Stravinsky - The rite of spring - Sacrificial Dance
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3/16 - 2/16 - 3/16 - 2/8 ・・・・
みたいな感じで延々続きます。でもこれ本来バレエ曲ですから、ダンサーさんも大変ですね(おそらく拍は厳密に数えてないだろうなあ)
振り付けニジンスキー版
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こうした複雑なビートの曲を、複数の人が耳コピした場合(しないと思うけど・・・)記譜は人それぞれに異なることになるでしょう。
ある人は「7/8+9/8+4/4」と採譜するかもしれないし、ある人は「4/8+3/8+4/4+1/8」と記すかもしれません(数あってるか心配)。
トータル拍数が合っているのであれば、どちらが正しいかはわかりません。どのように作曲者が書いたか?は別問題です。
最後に
変拍子はメロディーとかフレーズ歌っていたら自然に変拍子になっていたという自然な感じがいいですね〜。
「7拍子の曲を作るぞー」と力んで作った曲は、あざとい感じになってしまいます。必然性が感じられないからですね。
というわけでというわけで今回はここまで。続きはまた次回以降となりました。
数字が苦手な方(ワタクシもですが、、)ご清聴いただきましてまことにありがとうございました。
それではまた
参考CD
- アーティスト: Genesis
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