みなさんこんにちはサカウエです。
前回までで、耳コピの効用(聴き取る力の向上)、心構え(音楽エッセンスの吸収とは?)、記録方法(採譜、DAWへの打ち込み)などをご紹介いたしましたが、とても長いフリで大変申し訳ありませんでした。
前回の記事はこちら
今回はからやっとこさ「耳コピ上達のヒント」の本題をご紹介していきたいと思います。
そんなわけでヨロシクお願いいたします。
「耳コピ」をする為に必要なもの
さて前回、耳コピには「絶対音感は必ずしも必要ない」という話しをしましたが、なるべく短時間で正確な耳コピを行う為に必要な事柄を整理すると
- 機材
- 耳コピ方法(手順)
- 音楽理論・楽器の知識
- その他(情報収集力)
といった感じになるのではないかと思います。
機材はその名のとおり道具ですね。耳コピ方法(手順)は耳コピのやり方とか色々な工夫とかいった部分です。
音楽理論、楽器の知識、情報収集力というのは、聞こえてくる音に対する、正しい解釈と判断を補ってくれる情報になります。
たとえばコレを聴いてみてください。
なんだか分けの分からない音程が続きますね。もう手がつけられない世界ですねえ。
でも「無限音階」というものを知ってたらまたアプローチはかわってきます。
・・・とまあこれは非常に特殊な例でした。すみません。
「どうやって弾いるのか今まで全く謎だったけど、YouTube 見たらあーなーんだ・・」といった話も同様ですね。
ということで人生いろいろな出会いと発見があって楽しい訳ですが、今回は耳コピに必要な「機材」についてお話してみたいと思います。
耳コピに必要な「機材」
「アコギとiPodあれば耳コピはできるのさベイベー」by 井上拓郎
確かにそれはそうなんですが、ただ非常に音楽ジャンルが限定的になってしまうし、そもそもこのコーナーの存続理由がなくなってしまいます。
ここではもうちょい大人の対応スタンスで「正確な耳コピをするため」に必要な機材といったものを紹介します。
正確な耳コピのためのオススメ機材は、
以上の4種類です・・・とはいってもコレ別に「耳コピ専用・限定モーニングセット」ではなく、通常の音楽制作に必要な機材でもあるので、ご安心ください。
あと最近は上記の「ヘッドホン」以外、すべての機能を備えた楽器も存在すると思いますが、ここではあえて個別に説明することにします。
それでは順次説明していきましょう。
再生装置
とにかく音楽を再生しなくてはなりませんからこれは必需品ですね。
iPodなどの携帯プレーヤーも再生装置には変わりありませんが、実はこれらは耳コピにはあまり向いてないと思います(専用アプリ使用は除く)。
なぜかというと、耳コピ「再生装置」で一番重視しなくてはならないのは、「即応性」と「敏捷性(びんしょうせい)」だからです。
そもそも耳コピの手順というのは、
表1
A「目的箇所に瞬時に正確に戻る」
↓
B「再生」←聴く
↓
C「停止」
↓
D「楽器で確認」(必要に応じてABC、ABCDを繰り返す)
↓
E「採譜(または打ち込み)」
この作業の繰り返しです(この表はこれから何度も出てきますよ)
曲の特定部分を何度も何度も繰り返して聴くことになりますから、正確に上記のプロセスを実行できる再生装置が必要です。
ところがiPodの純正プレーヤーアプリで再生する場合、あの小さいディスプレイ上で、巻き戻しや停止をバシバシ行うのは少々大変そう。
なので、再生装置はキューポイント(特定の時点を示すマーカー、そこに瞬時にジャンプできる場合が多い)が打てて、再生、停止ボタンが付いているレコーダーとか、DAW、波形編集ソフトがオススメかと思います。
後者の場合はパソコンのキーボードが再生や停止のボタンになるわけですね。iTunesなどのプレーヤー・ソフトは、巻き戻しとか敏捷性に欠けるので耳コピには向いていないと思います。
波形編集ソフト(写真はSONY Sound Forge Pro)
昔サカウエは、耳コピにはカセットMTR(マルチ・トラック・レコーダー)を使用しておりました。
巻き戻しボタンを押している間の時間で、どれくらい曲が後ろに戻ってるか瞬時に把握できる位、相当使い込んだものです。
またカセットMTRは「二分の一スピード再生」とか簡単にできるのでとても便利でしたね(この再生速度については後述します)
Photo by wikipedia
このMTRを使う場合は左手で再生、停止、巻き戻し。右手は鍵盤&採譜というスタイルが定番なんですが、サカウエの知り合いには、ペダルをMTRにつないで、再生・停止・巻き戻しは「足」。両手はひたすらパソコンのキーを叩いてステップ入力・・という猛者もいらっしゃいました・・アレは改造してたのかなあ(不明です)。
なお、現在お仕事で耳コピされている方のほとんどは、音ネタ(原曲)を直接DAWに取り込んで耳コピされている様です。前回ご紹介したように耳コピしながら打ち込みしていくわけですね。サカウエ同じですが、打ち込みする必要がない場合は波形編集ソフトを使っています。
ミキサー
これはあると便利・・・というか、コレないと不便です。二つ以上の信号をミックスするのがミキサーですが、音を確かめる際には原曲と「楽器(音の確認用)」両方の音が聞こえないといけません。ですのでこれもほぼ必需品。
ミキサーのチャンネル数は、基本的には必要な数だけあれば良いのですが、将来的に拡張することを考慮して余裕があった方が良いでしょうね。なお、シンセやその他の楽器ですが、最近は基本ステレオ出力だと思ってチャンネル数は計算してください。
効率的な耳コピのためには、イコライザーやパンポットといったミキサーの最低限の機能が付いているものをオススメします(これらについては次回の「耳コピ方法(手順)」の章で詳しく説明します)
(写真は ベリンガー XENYX 1202FX)
ヘッドホン
これは以前いろいろご紹介したので、詳しくは以前こちらのブログに掲載した記事をお読みください
耳コピでは長時間音楽を繰り返し聴くことになるので、疲れにくく、体にフィットする、ダイナミックレンジの広いタイプをオススメします。
価格が高ければよいって単純にはいえないので、いろいろお店で試してください。
「こんな楽器入ってたっけこの曲!!」といった発見もあると思います。それくらい機種が変わると聞こえ方も変わります。
楽器(音の確認用)
確かにギタリストだったらギターが一番身近で耳コピに向いているのかも知れませんね。
ギターのフレーズだけ耳コピしたいのならそれはそれでよいと思います。
しかし、「耳コピ」を通じてギター以外の楽器や、アレンジも勉強したいなあという人は必ず鍵盤楽器をお使いください。
生ピアノでも良いですが、ヘッドホンで聞くことを前提とするとちょっと勝手が悪いですね。マイク立てるのもどうかと・・・ということで、チューニングやトランスポーズが自由自在で、いろいろな楽器の音が出せる「シンセサイザー」が最適かと思います。
というわけで今回は耳コピにオススメの機材をご紹介いたしました。次回は耳コピの方法とか手順、ちょっとした工夫などの「耳コピ・テクニック」を紹介してみたいと思います。それではまた。