島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

音楽力をアップする「耳コピのすゝめ 」第11回 テンションとボサノバ

こんにちはサカウエです。突然ですがコレをご覧ください。

あの映画「マトリックス」だって全てはリミックス!
純粋に独自性のあるものというのは稀有であり、作品というのはすべてが過去に生み出されてきたものに影響されていると語っています。*1

音楽に関しても同じようですね。


リミックスだからパクリということではなく、歴史的な背景を説明しているのですが、パクリとインスパイアの境界は確かに微妙ではあります。

ここけっこう有名なサイトです。

他にもあのタランティーノ監督の「キルビル」も分析していたりして非常に面白いですね
このサイト。

でも確かにタランティーノ・ムービーは全編他の映画のオマージュだらけですが、だからといってその作品の価値が損なわれると言うことではないと思います。

ワタクシも耳コピしてるといつも感じるんですが、耳コピが単なる「パクリ」で終わらないように、常に意識していく必要があるなあと思いました。

「全ての芸術は模倣に始まる。しかし模倣の芸術は模倣に終わる。
 今日はようこそいらっしゃいモホウ」 清水ミチコ

ボサノバとテンション

さて前回はsus4、4度堆積和音といった少々マニアックな路線でございましたが、今回は耳コピに役立つ知識の続きとして「テンション」に付いてもう少々お話ししたいと思います。

「過度のテンション使用は、スパイス入れすぎと同じ」というお話を前にしましたけれども、テンションがないとそれっぽく聞こえない音楽ジャンルがジャズ以外にもありますね。

それはボサノバです。

ボサノバの大家アントニオ・カルロス・ジョビンの曲にはテンションとコードトーンの関係を説明する場合に最適な曲*2がございまして、それがかの有名なワン・ノート・サンバ「One Note Samba」です。

この曲にかぎらずジョビンの曲はとにかく多数のアーティストがカバー
しておりますが、一番好きなバージョンはやはり本家のこれ。↓


(埋め込みできませんがお許しください)

洗練の極みと申しましょうか、余計なものが一切ないという珠玉のアレンジです。

ちなみにストリングス・アレンジはクラウス・オガーマンという人なんですが、
クレア・フィッシャー、ドン・セベスキーと並んでワタクシの尊敬する
超有名作・編曲家の一人です。

メロディーがたった一音で

この曲の一番の特徴はタイトルが表しているように、「メロディーがたった一つの音でできている」ってことですね。
(正しくはAメロは2つの音、Bメロでは音階が使われています)

オリジナル・バージョン(キーG)のAメロではOne Note(一音)は、
D音とG音、すなわち「レ」と「ソ」の音となります。

最初の8小節は「ンレッレ、レッレッレッッレッレー」、と確かに一音の
メロディーしか出て来ません。

でもすごくおしゃれでかっこいいですよね?
なぜかというとその理由はコード進行にあります。

ベースラインを耳コピしてみるとAメロは

|B |Bb|A|Ab|B|Bb|A|Ab|D|Db|C| F|

となっており、ルート音は基本半音進行ですね。

次にジョビンのピアノのメロのボイシングを耳コピしてみましょう。
(原曲では左手のベース音は弾いていません)


おーっオシャレな響きですねー。少々コードネームが複雑ですが、
前半レ、後半ソが一番上(トップノート)になっています。

さてメロディーの「レ」と「ソ」の音がそれぞれのコードの中で
どういう立場なのかを表したのがコレ。

前半


後半


というわけで、この曲は共通音(保持音)を使ったコード進行
になっているわけですね。

ペダルポイント

この持続音を使いながらバックのハーモニー(コード)を変える
ことで変化をつけるという手法は、ペダルポイントといって様々な
音楽で使われています。(低音と高音の場合があります)

バッハ G線上のアリア BWV 1068(ソプラノ・ペダルポイント応用)

Earth, Wind & Fire – September(イントロのギター:ずっとトップAですな)

Van Halen - Jump (ベース・ペダルポイント)


この曲はイントロだけでできてる曲ですねえ、歌はあとからとってつけた感じです。

Stravinsky Conducts Firebird(7:00から)


最後のジャンの圧倒的カタルシスは筆舌に尽くし難いですね。

オイシイ音を選択するのが重要

さて、ソプラノ・ペダルポイントの場合

保持音が個々のコードにとって「オイシイ」音になると効果的

ですね。

「One Note Samba」の場合のように、各コードのテンションだったり3rd、5thなどになるようなコード付けをするんです。

保持音がルート音になっちゃう配置は一般的には効果ないようです。

というわけで名曲「One Note Samba」はおそらくジョビンがピアノでコード進行を色々いじくっているうちに、自然にひらめいたんだと
思いますが、まさにコロンブスの卵のような曲ですね。
(最初にやったもん勝ちかもしれませんね)

最後にボサノバの耳コピのコツですが、ボサにはだいたいナイロンギターのバッキングが入っています。

ボサギターのバッキングは、ルート、3rd、7th、あとはテンション(大抵一つだけ)は大抵演奏しますから、そのあたりを念頭にコピーしていくのが良いと思います。

ボサの神様 João Gilberto !

というわけでそれではまた。

おまけ

ペダルポイントとは真逆の例ですが、ビートルズ、ヘイ・ジュード(3:45付近から)


ブラスセクションがルート音とまんまユニゾンで被っております。
後半ストリングスがC音を持続してはおりますが、非常に思い切った「男らしい」アレンジではないでしょうか。

*1: http://japan.digitaldj-network.com/archives/51933020.html

*2:Newton Mendonとの共作という説もある

音楽力をアップする「耳コピのすゝめ 」第10回 マイナーでもメジャーでもないコード

どうもサカウエです。

「耳コピに役立つ音楽知識編」ということで、前回はコードの機能を損なわない範囲でサウンドに変化を与えてくれるテンションについてお話いたしました。

このテンション、実はジャズよりずっと前のクラシックの世界でも結構使われているんですね。


ドビューッシー / 映像 第1集より 「水の反映」

曲頭は maj7th 9th,6th を多用した透明感のあるサウンドですが、0:28あたりからは刺激的な13th、#11thを多用しております。

ラヴェルのこの曲はさらにエキサイティングですね。

高雅で感傷的なワルツ


出だしの和音から禁則バリバリですがカッコイイですね。ロック魂を感じます。
この曲が書かれたのは1911年ですが、作曲者をワザと伏せて観客に当てさせるというイベントで当初は論議を巻き起こしたという逸話が残っております。まあこれ耳コピする人はいないでしょうがね・・

ということで近代クラシックの世界でもテンションは多用されてきたわけですが、今回は少々マニアックな世界に突入するかもしれません。

4度音程のコード

さて、これまでコードの耳コピでは「ルートと3rdがわかればあとは7th(maj7th)とテンション・・・・」とさんざん言っておきながら大変申し訳ないのですが、「3rdが無いコード」というものがあります・・・・いままで黙っていてすみません。

これ聴いてください。

ELP TARKUS(タルカス)

0:30〜から


いわゆるプログレと呼ばれるジャンルでございますが、1971年リリースのEL&P(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)の代表作です。ちなみに5拍子です。そういえば今年のNHK大河ドラマではこのタルカスのオーケストラアレンジ版が使われております。世の中変わりました。

さて実はこの曲にはマイナーコードとかメジャーコードという概念はあまりありません。何じゃそりゃあ!といわれても、ないもんはない。払えんものは払えんのですよ。

でこの「TARKUS」では4度の堆積和音(フォース・インターバル・ビルド)という和音が多用されています。

C音-F音-Bb音のインターバルは「完全4度」(半音で5つ)の音程ですが、通常は「4thビルド」と呼ばれたりします。展開すると「Fsus4」というコード(ファ、シb、ド)になります(sus4は後述します)


さてこの和音「1 – 4th – 7th」という構成で、メジャーかマイナーを決める3rdがないんですが、ちょっと不思議なサウンドですよね?

しかもメロディーに対してsus4コードを機械的に当てるハーモニーを多用していますので、少々フクザツな感じがすると思います。ちなみにワタクシこれ始めて聴いたのは小学生でございましたが、もうワケわかんなかったですね。

ちなみにベースライン、メロディーも徹底して4度系ですね。

キースは後日「タルカスは単なる記号だよ」と語っておりますが「4度だけでどこまでできるか、とりあえずやってみたよ〜」というノリだったのかなあ・・・真意は不明ですが、これまで紹介してきた調性感のある音楽とは別物というのだけはハッキリしておりますね。

4度和音というものを知らないと耳コピは太刀打ちできない音楽かと思います。

ついでにクラシックやジャズでの4度和音について

この「4度和音」は調性が不明瞭という特徴がありますが、こうしたプログレ系の音楽が誕生するずっと前にクラシックですでに使われておりました。

Erik Satie 1896 Le Fils Des Etoiles

1960年代になるとモード・ジャズと呼ばれるジャンルでも大活躍します。
Miles Davis / So What (1959)

モード・ジャズというのは、コードではなく旋法に力点を置いたアドリブを目指した音楽です。
マイルス・デイビスのソロですが、半音転調する前までは、ピアノでいうところのほぼ白鍵盤だけで演奏されてます(Dドリアンという旋法です)。


この曲のバッキングでも4度の和音が使用されています。

[file:shimamura-music:111020-05_sowhat.mp3:sound]

このハーモニーに関しては、このアルバムのピアノ奏者であるビル・エバンスの影響が大きいと思います。

・・・というわけで4度和音の歴史をさらっと紹介いたしましたが、4度系のコードはポップスでもよく使われるんです。それが

sus4コード

「サスフォー」と読みます。

Sus4(suspended 4th)ということなので、3rdが(一時的に)4thに浮遊してるといった意味になるのかと思います。バロック音楽などでもよく耳にしますね。
[file:shimamura-music:111020-08_PIPE.mp3:sound]

後半「ア〜メン」のところが Csus4 - C

Csus4は展開するとG音-C音-F音という配列になり、あら、これはさっきの完全4度堆積とまったく同じ。

ただsus4は「3rdが4thに一時的に遊びに出かけているだけで、最後は3rdに戻るコード」であったり、G7sus4のようにドミナント・コードとして使用されるケースが多いですね。


ということで「4thビルド」や「sus4」は「3rd音を含まない」ので、トニック、ドミナント、サブドミナントといった機能で分類したコードとは少々異なる、調性の重力圏から浮遊した特別な存在といえるでしょう・・・お、なんだかカッコイイ言い回しだ。

sus4の定番フレーズ

Sus4はいわゆるシーケンス・フレーズで多用されます。

よくあるでしょこういうの。
[file:shimamura-music:111020-10_susseq.mp3:sound]

またSus4を音列として考えると色々な応用が出来ます。
たとえばCsus4のフレーズを色々なコードの上で使ってみましょう。
[file:shimamura-music:111020-11_susvari.mp3:sound]

結果的に「ド、ファ、ソ」がテンションになったりしてるわけですね。

キラキラ系サウンドでsus4弾くと、お手軽にCMのサウンドロゴや警告音などが作れますネ
[file:shimamura-music:111020-13_alert.mp3:sound]
チョロイもんです。


・・・というわけで私たちの身の回りにはステキなsus4サウンドが満ちあふれておるのです。

マニアックな世界へようこそ

「カンタベリー系」と呼ばれるプログレの一派では、このsus4をさらに昇華させたハーモニーを多用しております。

Hatfield And The North - Underdub

ザ・ロッターズ・クラブ(紙ジャケット仕様)

ザ・ロッターズ・クラブ(紙ジャケット仕様)

一聴するとジャズ風?と感じるかもしれませんが、実はハーモニー的には文法が異なりますね。

オーソドックスなジャズでは定番のテンション入り7thコード「3rd-7th」を多用しますが、彼らの場合「トライトーン」の使用はまれで、浮遊感のあるボイシングが特徴です。

内声にsus4の音程が含まれるようにボイシングするのがコツかなあ。
そういえばスティーリーダンも多いねこういうの。


[file:shimamura-music:111020-15_dan.mp3:sound]

sus4サウンドをシンセで応用してみよう

キース・エマーソンもよくやってましたが、この刺激的なsus4ハモを、シンセの「オシレーター重ね」というワザを使ってさらに過激に使うことが出来ます。

これは「鍵盤を1音押しても和音が鳴る」という音色なんですね。

アナログ・シンセでは、オシレーター(発信器、音の最小単位)を重ねて音を厚くするという手法をよく使います。これシンセの基本でーす。

たとえばこんな感じ

1オシレーターのサウンド
[file:shimamura-music:111020-16_OSC1.mp3:sound]


2オシレーターで、音程をわずかにズラしたサウンド(デチューンといいます)
[file:shimamura-music:111020-17_OSC2.mp3:sound]


二つのオシレーターの音程をチョットずらすだけでこうした厚みが出るんですね。

普通はこのように少しだけ音程をずらしたり、オクターブ違いで重ねたりして音色を作っていくわけですが、ではココでは三つのオシレーターを「ド、ファ、ソ」という音程で重ねてみます。

つまり一音弾いただけでsus4コードのサウンドになるわけですね。
[file:shimamura-music:111020-18_3Osc4th.mp3:sound]

どんなフレーズ弾いてもsus4のハモが付くのですが、4度系フレーズが相性は良いですね。

5度重ね音色

この手法、Sus4だけでなく、たとえば 5度上の音を重ねても面白い効果が出せます。

たとえばこうした3音のフレーズですが、

1オシレータのみで演奏すると
[file:shimamura-music:111020-19_1osc.mp3:sound]


これを2オシレーター(5度重ね)で演奏すると、、
[file:shimamura-music:111020-20_2osc.mp3:sound]

鳴っている音はこのように聞こえます。

音楽的に使うには和音の構造を理解していないといけませんが、ウエザー・リポートのジョー・ザヴィヌルさんは、こうしたトリックで非常に有機的なサウンドを生み出す稀有な存在でしたね。

このテクニックは、アナログシンセに限らず、最近のシンセでも同じことができるので是非試して欲しいと思います。

さてこのオシレーター「重ねワザ」はさっきのTARKUSでも使われておりまして、耳コピすると確かに三音聞こえるのですが、あれは三和音を弾いているフレーズではありません。真面目に耳コピしてたら大変なことになりますね。

というわけでこうしたウンチクも耳コピの際にも非常に大切な要素なのではないかと思います。

最後に

近代から現代にかけては、様々な解釈で不協和音とか変拍子など、まさにおきて破りの音楽が生まれています。

和音の機能よりも音の響きを追及したワーグナー以降、こうした不協和音でも音楽になる、、いやこうした「不協和でしか表現できない音楽の世界がある」というのが現代音楽の意義なのかもしれません・・・(なんだか放送大学っぽいね)。

ではまた。

今回紹介の音楽CD

Tarkus

Tarkus


タルカス~クラシック meets ロック

タルカス~クラシック meets ロック


The Rotters' Club

The Rotters' Club

あくなきハーモニーの探求が堪能できる名盤


Night Passage

Night Passage

フルバンドサウンドをシンセの手弾きで再現してますね。

音楽力をアップする「耳コピのすゝめ 」第9回 テンション

こんにちはサカウエです。

前回コードの基本「ダイアトニック・コード」では、機能別にトニック、サブドミナント、ドミナントという三種類に大別できて、仲間同士では代理コードとして使える・・・というあたりまで紹介いたしました。

さて今回は「テンション」についてです。

耳コピしにくいハーモニー

和音を耳コピするときに聴き取りにくいのは、やはり「不協和音」が含まれている場合ですね。

たとえばCmaj7というコードは基本形で長7度の音程(ドとシ)が含まれています。


[file:shimamura-music:111015-02_Cmaj7.mp3:sound]


これは一応「不協和音」なんですが、なんだか浮遊感のあるサウンドに聞こえた方もいらっしゃるかもしれません。

では次にこれを展開してみます。


[file:shimamura-music:111015-04_Cmaj7INV.mp3:sound]


今度はC音とB音が半音でぶつかることになり、基本形より「不協和」感が増しましたね。

これはC7コードでも同様です。C7ってのはCメジャートライアドに「7th」が加わったコードでしたね(7Thはルート音の一音下ですよ)


[file:shimamura-music:111015-07_C7.mp3:sound]


というわけで半音、全音の衝突は、最初はとても聴き取りにくい音だと思いますが、逆に慣れてくると聴いただけでなんとなくワカるようになると思います。

さてこのように、root(ルート音)、3rd、5th以外の音がコードに加わると、必ずどこかに不協和が生まれます。したがってコードを耳コピする場合は半音、全音でぶつかっている音をいかに聞き取るか?ということが課題になると思われます。

半音の衝突 [file:shimamura-music:111015-08_M7.mp3:sound]
全音の衝突 [file:shimamura-music:111015-09_7TH.mp3:sound]

ちなみにmaj7thを使った有名なピアノ曲といえばコレですね。

Gmaj7 - Dmaj7( IV - I )という進行ですが、メロディーもmaj7を強調したラインになっております。
ルートがオクターブ下で演奏されているのであまり不協和音という感じはしませんね。

シンプルだけどおしゃれなコード

まずはこの映像を見てください。

うーん永遠の名曲ですね 。
「エレピ弾いてるけど生ピアノの音じゃん・・・」という突っ込みはワタクシがしておきましたので皆さん不要です。

この頃のPVは完全当てぶりなんですよね・・でも、1:43〜の「突然半音転調」はシビれるなあ・・・

・・・というわけで、懐かしいカーペンターズの大ヒット曲、邦題は「遙かなる影」・・・カーペンターズ語り始めると長いよーワタクシは・・・以下省略。。

さて、注目はイントロのピアノ。
実は3音しか鳴ってないんですよね、でもなんだかおしゃれな響きに聞こえませんか?


レとミが全音で不協和を生みだしています。このコードのrootはC音ですので、E音が3rd、G音は5th。
つまりこれでおそらくはC(メジャーコード)は確定。

なおこの曲のキーはCではなくてGです。サブドミナント始まりというわけですね。

さて、「E音」とぶつかっている「D音」は何かというとこれは「9th(ナインス)」というテンションになります。
ここでは7thもmaj7thも聞こえないので、コードネームは「Cadd9(シーアドナインス)」となります。

[file:shimamura-music:111015-11_C2.mp3:sound]


この「add9」は「不協和だけどちょっと大人の雰囲気」をかもし出すことができるコードですね。
なおこの「9th」が加わってもコードの機能は変わりませんので、比較的どんなコードにも付け足すことができます。

ためしに「イチロクニーゴー(I - VI - II - V )」に「9th」を足してみましょう。


[file:shimamura-music:111015-13_16251.mp3:sound]

音色選びも大切ですが、チョット都会的なサウンドになりましたね。

個人的には「Cadd9」は字数が多いので「C2」って書いた方が良いのでは?と思っておりますが、それにしても、いやーカーペンターズはやっぱりいいなあ。ウルウル。

カーペンターズ~40/40 ベスト・セレクション

カーペンターズ~40/40 ベスト・セレクション

ところでテンションって何?

あ、そうでした。今回はヒジョーに駆け足で説明いたしますので、詳しく研究したい方はwikipedia等でヨロシクおねがいします。

Root、3rd、 5th、 7thといったコードを構成する基本音以外の、

9th、#9th、b9th、11th、#11th、13th、b13th

といった非和声音を「テンション」といいます。

テンションが加わると、こーゆーサウンドになります。


[file:shimamura-music:111015-23_tension.mp3:sound]


ジャズなどの複雑なサウンドにはテンションは不可欠ですが、テンションはあくまでサウンドに変化をつける「飾り」なんですね。

たとえば上記のC7(b9, #11, b13)。「root – 3rd – 7th(ド、ミ、bシ)」の3音だけで「C7」のコードの機能が確定しますので( )内のテンションはあくまで付録ということになります。

たとえば牛丼にかけるのが七味でも山椒であっても、牛丼というメインディッシュ(?)の存在自体は無関係です・・・・とワタクシの食レベルが露呈して恐縮ですが・・・テンションもそんな感じです(ホントかな?)。

使用可能なテンション

テンションはそれぞれトニックには使用可とか、ドミナント専用とか、使い方は実はおおまかに決まっているんですね。

たとえば「Imaj7」では「#11th」は使用可能で「11th」は非推奨とか。

なんで11thはダメかというと、仮にキーがCで「Cmaj7(9, 11)」というコードを弾いた場合、「シドレミファ」という音が構成されます。

しかしこの音があることによって、本来トニックであるはずの「Cmaj7」と、サブドミナント「Fmaj7」、ドミナント「G7」との区別があいまいになってしまうんですね。

したがって「テンションはコードの機能を変えちゃダメ」という掟に反するため11thはN.G.となります(11thはマイナーコードでは使ってO.Kです)

#11th(ファ#)はメジャー・スケールからは外れますが、一応O.K.とされています(理由はまた今度)

あ、#11thで突然思い出しました;

うーん泣けます・・・1977年ビリー・ジョエルの名曲ですね。

間奏サックス・ソロ後半、E7「ド#〜レ〜ラ#〜」(2:28付近)とA7「ファ#〜ソ〜レ#〜」(2:31付近)のラインは非常に印象的ですが、これはどちらも「13th – 7th - #11th」という音を演奏しております(13thと#11thはどちらも7thコードで使用可能なテンションです)

ちなみにこのサックス・ソロはフィル・ウッズ大先生ですが、当時こんなJazzジャイアントがポップスでサックス吹くとは驚きました。

規則は破られるためにある?

しかし世の中必ず規則破りがおりまして、デビット・フォスターはこんな感じで演奏したりするわけです。


[file:shimamura-music:111015-21_DF.mp3:sound]


Fmaj7(onC)という解釈も出来るかもしれませんが、こうした例外は多くの曲で散見されます。いったい何を信じたらよいの?という気もしますが、原則はあくまで原則。カッコよければ規則破りも許されるのが音楽の面白いところですね。

テンションコードのボイシング、省略音

仮にCmaj7に9thが加わったものは「Cmaj7(9)」とか「Cmaj9」、Cm7に9thが加わった場合は「Cm7(9)」「Cm9」と表記します。同様にC7に9thが加わると「C7(9)」「C9」。

たとえばCmaj7(9)で、maj7thと9thとをオクターブ下げた場合

このようにシドレミが全部重なって大変な不協和が生まれます。意図的にこういうボイシングをすることもありますが、テンションコードを弾く(すなわち多くの音を弾かなくてはならない)場合は、右手のボイシングからはrootまたは5th省略され、左手で演奏される場合が多いですね。

幾分すっきりしました。もしベーシストがいる場合、左手のrootは省略してもベーシストがrootを弾いてくれるので全体のアンサンブルを損なうことはありません。

ジャズの歴史に当てはめると、古い時代のピアニストは、ルート音を含んだボイシングでバッキングする傾向がありました。
バド・パウエルの時代は左手でこんな風に「Root – 7th – 3rd」を弾くんですね。


コレ手が大きくないとキツいですね。ワタクシも血のにじむような訓練(ちょっと大げさ)を繰り返しやっと10度とどくようになりましたが、曲中ですばやく動かすのは無理。ここぞという一発芸くらいでしか弾けません。

オスカー・ピーターソンさんはテンポ300くらいの超アップテンポでこの「10度押さえでストライド奏法」というプレイを行ったりしますが、これは別世界レベルだと思います。

なおこのボイシングは左手だけでコードの機能は確定しますから、右手の自由度が高くなります。ソロピアノではよく使われますね。

ルートはベースに任せて省略したボイシングを意識的にするようになったのは、レッド・ガーランドあたりからではないでしょうか。

C7で 7th – 9th – 3rd – 13th(ルート省略)

これは現在では定番の7thコードのボイシングの一つです。

参考CD

Groovy

Groovy

※1曲目の「C Jam Blues」はブルース・ソロの研究に最適ですね

まとめ

というわけで、テンションにもいろいろあるわけですが、でもスパイスを使いすぎてせっかくの料理が台無しになるように、過度のテンション使用は逆効果。

「これは?・・いや待て・・かすかに、かすかに何か香りをつけてあるぞ!・・・おのれこの雄山を試そうというのか!」っていうくらいがちょうど良いと思います。

次回はメジャーでもマイナーでもないコードについて紹介する予定です。それでは

おまけ

絶妙なストリングス・アレンジ

印象派らしい近代的なハーモニー(3:00〜からは鳥肌立ちますね)

耳コピするのに鬼に金棒!? ローランドさんの神アプリ「R-MIX」

皆さんこんにちはサカウエです。

さて今回は3月中旬に発売予定のローランドさんの神アプリ「R-MIX」のご紹介です。

R-MIXは、V-Remastering(V-リマスタリング)技術とVariPhrase(バリフレーズ)技術により、音楽をビジュアル化し、リアルタイムのコントロールを可能にするソフトです。

昨年R-MIXのiPadアプリ版「R-MIX Tab」を紹介いたしましたが、ついにさらに多くの機能が加わったパソコン版が登場します。Win、Macで動作しますのでMac派のワタクシとしては非常にうれしい限りです。

昨年のiPadアプリ「R-MIX Tab」の記事もあわせてご覧下さい。

V-Remastering、VariPhrase技術とは?

さてR-MIXの機能を支えている最先端技術V-Remastering*1 VariPhrase技術 *2を一言でいうと

音楽を周波数、定位、音量の3つのパラメーターで分析し、楽器音をグラフィカルに表示して、それらの楽器音を選択して音量バランスを「変える」、「消す」、「残す」といったさまざまな信号処理を実現で、さらにオーディオ・フレーズの「ピッチ(音程)」、「タイム(時間、速さ)」を独立してリアルタイムにコントロールするローランド独自の信号処理技術。

、、、とまったく一言では語り尽くせませんでしたが、ポイントをまとめますと

  • 音が見えるようになって、
  • 楽器を抜き出したり消したりもできて
  • 自由にテンポ、ピッチを変えられる

といった技術ですが、さてこれでどんなことができるかというと、

  • らくらく耳コピ
  • マイナス・ワンのトラック・メイキング
  • リミックス
  • ノイズ補正

といったこと「らしい」のです。
「らしい」と書いたのはなぜかというと、この「R-MIX」は最先端の技術を使用しているため、可能性はまだまだ未知数。

今後、開発者の方が考えつかないユニークな使い方を発見する人が現れるかもしれませんね。

それでは今回は上記の使い道のなかからいくつか実際に試してみたのでご覧ください。

バリフレーズでらくらく耳コピ

耳コピ連載を書かせてもらっているワタクシとしてはまずなんといってもこれが気になります。

最初に耳コピしたい曲を「R-MIX」に取り込みます。

iPadアプリ「R-MIX Tab」と異なり、取り込みできる音声ファイルはWAV、AIFF*3
取り込んでから再生すると「ハーモニック・プレースメント」に音が視覚表示されます

ここで表示されているのはそれぞれ

音量
上下方向 周波数(音の高低)
左右方向 定位

となっております。リード・ボーカルのように一番目立つパートはだいたい中央で赤く表示されます。

使い方はiPad版とほぼ同じで、選択窓で消したい(または残したい)パートを選択します。

たとえばソロだけ聞きたいという場合は、ソロ楽器の鳴っている「場所」を選択してから、「OUTSIDE LEVEL」を下げるだけ。これでぐっと聴きとりやすくなるわけです。

さらにR-MIXには、音質をはぼ保ったまま音程とテンポの変更ができる「バリフレーズ機能」が備わっています。

これを使えば鬼に金棒!実際の様子をご覧ください。

おー!これでどんなフレーズでも耳コピできそうな気がしてきましたね。
多少音質は変わりますが十分に耳コピ可能なレベルです。

マイナス・ワンのトラック・メイキング

さて、皆さんの中には以前自分のバンドの演奏の録音CDをお持ちの方もいらっしゃると思います。
あの時ソロはあー弾けばよかったなーとか、歌いなおしたいなーと思ったことはありませんか?

でもマルチトラックのデータを持ってないとか、ライブ一発録音だった場合はもうどうしようも無いですよね?

そんなあなたに朗報です!このR-MIXを使えば何度だってやり直しができるんです。

たとえば、ボーカルをミュートしてカラオケ(マイナス・ワン)トラックを作成したり、ギターソロだけを入れなおしたりといったことも可能です。

方法は簡単。先程はサックスだけソロにしましたが、あれの逆。今度は選択窓で囲んだところのレベルを下げればオーケーですね。

手順としては

R-MIXでマイナスワントラックを作成>エクスポート>DAW等で使用


詳しくは前回のR-MIXTabの記事をご覧いください。

ノイズ除去だってできる

特定の音を消すことが出来るということは「エアコンの音」「ハムノイズ」といった、音楽には余計なモノだけを取り除くことができるってことになりますね。

たとえばこれ選択窓で囲んでいるところがあの「ブーン」というハムノイズです。

この機能は少々地味ではありますが、意外と重宝するかもしれません。

リミックスその1〜特定の楽器にエフェクトをかける

R-MIXには特定の音だけにエフェクトをかけることもできます。これ、普通2chのステレオマスターではまず不可能でした。

先程の耳コピではサックスの音だけを抜き出しましたが、今度はサックスの音だけにディレイをかけて新たなトラックを作成してみましょう。ご覧下さい。

・・というわけでマルチ・トラックでないと本来は不可能なことが、2chのステレオwavでもできてしまうのはとても驚きですね。

これで、レコーダーでステレオ一発録りやなどした音源でも、ボーカルだけにリバーブやディレイをかけ直すなんてことができてしまうわけです。

なお「R-MIX Tab」の記事でも書いたのですが、R-MIXはどんな音楽でも完璧に消したり残したりできるわけではなく、またバリフレーズも音質が全く変わらないというワケではありません。

若干他の楽器が混ざっったり、音が途切れたりもする場合もあります・・・とはいえ画期的なこれが製品であることは間違いありませんね。

リミックスその2〜素材の二次使用

R-MIXには2つのステレオ・オーディオ・トラックがあるので、複数の曲を組み合わせてリミックスを行うこともできます。

たとえば先ほどとは逆に、今度は2chマスターからボーカルだけを抜き出して、それを素材として新たにリミックスを行うということもできます。さらにバリフレーズを活用すれば、テンポや曲のキー合わせも楽勝ですね。クロスフェード処理も簡単です。

親切インターフェース

さてこれまで紹介してきたことは、技術的には相当ハイレベルな次元だとおもいますが、どんなにスゴい技術でも、使い方が難しすぎては優れたツールとしてはいえません。

しかしさすがローランドさん。こうした高度な処理をユーザーに全く感じさせない優れたインターフェース。

使い方は非常に簡単ですし、作業に応じたガイド表示など至れり尽くせり。

というわけで、このR-MIXはまだまだ未知の可能性を秘めたツールだと思います。iPad版もあわせてこれからどんどん盛り上がるのではないでしょうか?非常に楽しみです。

それではまた。

ご注意:今回使用した音楽素材はすべてオリジナル楽曲です。市販のCD、音楽配信等の著作権で保護されているファイルを使用する場合はあくまで個人として楽しむのはOKですが、それ以外はNGですのでくれぐれもご注意ください。

※今回のレポートは評価版での検証となります。

製品情報・動作環境

R-MIX Roland - JP
R-MIX Tab Roland - JP

今回紹介しましたローランドR-MIXは、全国の島村楽器・島村楽器オンラインストアで予約受付中!
島村楽器は、みなさんのご来店を心よりお待ちしております。

*1:V-Remasteringは、オーディオ信号に対して周波数ごとに「レベル」や「定位」といった音楽的情報を算出し、各音色のバランスから残響の再構成まで、トータルにコントロールするローランド独自の信号処理技術です。

*2:VariPhraseは、オーディオ・フレーズを構成する3要素「ピッチ(音程)」、「タイム(時間、速さ)」、「フォルマント(声質)」を独立してリアルタイムにコントロールするローランド独自の信号処理技術です。R-MIXではVariPhrase技術のうち「ピッチ」と「タイム」のコントロールを採用しています。これにより、明瞭なスロー再生およびキー変更が行えます。

*3:インポート可能なファイル形式: 44.1KHzまたは48KHz/16ビットのWAVおよびAIFF (AIFFはMac OS版のみ)のみ。

音楽力をアップする「耳コピのすゝめ 」番外編 耳コピ便利ツールとビートルズ

こんにちはサカウエです。

本年のNAMM Showでも話題となったいわゆる「耳コピツール」が耳コピギョーカイ(?)でもトレンドになっているようです。今回はこうしたツールとビートルズのお話です。

話題の耳コピソフト

耳コピ専用ということではないのですが、旬なのはローランドの「R-MIX」とCelemony Softwareの「Melodyne Editor 2」でしょう。


この2つのソフトに共通することは「音を解析、視覚化して自由に操ることができる」といった点です。ただしあまりに先進的なため、活用方法はまだまだ未知数。現時点では「耳コピ」ツールとしての使い道は、一つの可能性に過ぎません。

これから誰がどんな使い方を発見するのか非常に楽しみですが、先日著名なライターの藤本健さんがこの「Melodyne Editor 2」を使って興味深い記事を書かれていました。

いかがですか?Melodyne Editor 2の機能を活用した素晴らしいアイデアだと思います。

さてここから話は突然ビートルズ。

藤本健さんが取り上げたビートルズ「A Hard Days Night」イントロの「ジャーン」。実はこれにまつわるお話はとても有名なのでご存じの方も多いと思います。

音楽史上屈指の謎?

最近はNHKの「英語でしゃべらナイト」でも使われているこの「A Hard Days Night」誰しも一度は聞いたことがあると思います。

さてこの「ジャーン」というコードですが、これが(音楽史上屈指かどうかはさておき)一体どうやって演奏されているのか実は今でも謎なんです。

これまでも世界中でケンケンガクガクと論じられております。

  • あれはジョージ(ハリソン)の12ギター1本なのだよ。
  • いや、ジョン(レノン)のリズム・ギターとポール(マッカートニー)のベースも混ざってるに違いない
  • いやいやいや実はあとからピアノもダビングされてるんだ
  • でもライブでもこの音出してたでしょ?

、、等々。実際に多くの人が耳コピ・チャレンジしてYouTubeで披露してたりもします。


中にはおいおいと突っ込みたくなる方もいらっしゃいますが、「ジャーン」一つでこれだけ盛り上がるのは、さすがビートルズという感じです。

メンバーやジョージ・マーティン(ビートルズのプロデューサー&アレンジャー)のインタビューも記録も残っているみたいですが、なにぶん昔の話のことですから、本人たちの記憶も意外と曖昧だったりして真実は藪の中。

ところが、2008年11月こんな記事が話題になりました。

「ビートルズ名曲冒頭の音の謎」を数学者が解明?

英ダルハウジー大学[数学・統計学部]のJason Brown教授が、半年という時間と、高度な数理解析技術を費やしてついに解明した。音楽史上屈指の謎――ビートルズの楽曲『A Hard Day’s Night』の冒頭で鳴るあの「ジャーン」という音――のコードを解明したのだ。

「ビートルズ名曲冒頭の音の謎」を数学者が解明|WIRED.jp

高度な数理解析技術—コレなかなか面白かったです。

ところがこの記事に対してすぐさま異論が;

世の中マニアックな方が多いですねえ、ビートルズだとなおさらです。で、よけい謎は深まるばかり。

よーし!ここはやはりワタクシが耳コピして解明してやろう・・・と決意したら、先日facebook界隈でこんな動画が、

「The Beatles - The REAL First Chord of "A Hard Day's Night"」(静止画+音声)

「これが真実のハード・デイズ・ナイトのイントロ・コード」みたいな感じでしょうか。

これはCBCラジオのランディー・バックマンという人が、ジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティンに連れられてアビイロード・スタジオに行った際の話が元になってるみたいですね。

で、どんな話かというと、、、
ビートルズのレコーディング・スタジオとして有名なアビイロード・スタジオには、な、なんと「ビートルズのすべての録音ソース(!)」がProTools(DAWソフト)にインプットされているらしいです。

で、かのランディーさんが「ハード・デイズ・ナイトのイントロの秘密をおせーて」と頼んだところ、ジャイルズさんが聞かせてくれた・・というお話


なんだかとっても信ぴょう性ある感じですね。。。。

この説によれば「ジャーン」の構成は、

ジョージ・ハリソン(12エレクトリック・ギター) 低い音から G-C-F-C-F-G = Csus4(onG)
(1から 3 6 5 3 3 3 フレット)
ジョン・レノン(エレクトリック・ギター) 低い音から D-A-D-G = Dsus4
(1から 3 3 2 0 x x フレット)
ポール・マッカートニー(エレクトリック・ベース) D

上記のボイシングとフレット・ポジションはワタクシの推測です

これらを「one, two, three, four , ジャーン」と同時に鳴らしたのが「あの音」というわけです。

ちなみにこのサウンドに無理やりコードネームをつけると

Dm7(11) または G7(9)sus4 onD

となります。

さてこの話が本当に正解かどうかはわかりません。仮にアビイロードの話が真実だとしても、オリジナルのテイクからたまたまピアノだけがPro Toolsにコンバートされていなかったかもしれないし、別テイクが実際には存在していたのかもしれないからです。

やはり真実は神のみぞ知るなんでしょうか?

本当にピアノは入っていなかったのか、どなたかぜひ耳コピにチャレンジしていただきたいと思います。

耳コピの目的

さて、あと数年もすれば、音楽を瞬時に解析して、パートごとに完璧な楽譜とMIDIデータを生成してしまう究極の耳コピソフトが発売されてしまうかもしれません。耳コピを職業としている方にしてみれば大変な脅威でしょうね。

しかしそれは演奏力、表現力とは異なる次元の話です(それすらIT技術でどうなるのかわかりませんが、、)。例えばそもそも初めから楽譜があるクラシック。楽譜に記された音をどのような解釈で演奏表現するのかが演奏者の技量ですね。

究極の耳コピソフトの登場は、非常に素晴らしいことだと思いますし、素晴らしい活用方法も生まれるでしょう。でも「このソロのタメがいいんだよねー」といった「音楽表現」のエッセンスは、やはり何度も何度も繰り返し聞いて模倣することで身についたりするのではないでしょうか。

という訳で相変わらずこれからも耳コピは続けていくぞと決意をあらたにするワタクシでございます。それではまた。

R-MIX

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