島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

ルシアー駒木のギターよもやま話 その116「Grosh Guitars! 再びルシ駒が!」

皆さまこんにちは。
4歳児と走ると膝に来る、
衰え著しい
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ルシアー駒木です。

懐かしいブログ

こちらは、2014年のブログ。当時かなり話題にして頂きました。

そうです、
GroshGuitarsの工房にお邪魔した時の記事です。

かのValley Artsで腕利きとして名を馳せ、後に工場長にまでなり、ラリー・カールトン、スティーブ・ルカサー、ジェイ・グレイドン、リー・スクラー、ヴィンス・ギル、リー・リトナーといった名だたるギタリストたちの使用楽器を製作してきた、DonGrosh氏が立ち上げたブランド。
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当時、島村楽器が代理店として販売をさせて頂くにあたって、この細かな拘りの凝縮とも言える楽器を皆様に正しくお伝えする役割として、同じ製作者でもある私ルシ駒が、実際Don氏と交流させて頂きながら、皆様にご案内をしてきました。

当然ながら日本国内に入って来る全個体をルシ駒が検品。
アフターフォローも私が担当致しました。

お陰様で、ルシ駒が出荷前のセットアップ、また保証対応もルシ駒が行い、大変ご好評頂いて参りました。

実はその後、私は担当から外れていたのですが、、、

ルシ駒復活!

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この度、再びルシ駒が技術者として担当をさせて頂く事になりました!!

ヤタ━━━━━━ヽ(´∀`*)ノ ━━━━━━!!!!

担当再開と共に、早速私が入荷検品&セットアップ!

早速、リニューアルした工房で今回の入荷分から検品をさせて頂きました。

今回私が検品する為に、Donさんは新工房に直送して下さったた訳ですが、その宛先が私であることを認識してくれた彼は、早速連絡をしてくれました。

「Great to hear you will be charge of our guitars again! looking forward to all your help,thanks!!」
何という嬉しいメッセージ!


ルシ駒も久しぶりのドングロ検品ですが、テンションマックス!
早速新工房で開梱していきます。
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開梱しているのは今回の検品パートナー、Groshギターの担当であるのみならず、あのBadCatも担当している凄い奴、ダンです。
彼は英語が上手。これ、ほんとにペラペラです。
勉強して英語が上手いとかそういうのではなく、アメリカで就業して生活していたので、本物の英語。
頼りになります。
私も直接やり取りする事はありますが、ほら、私はいざとなったら「イエーイ!」って言ってハイタッチして乗り切るタイプの英語(笑)なので、ダンのように正しくコミュニケーションが取れる相棒がいる事で、こだわりの強いドンのような職人とも円滑に仕事が進められます。
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ケースもカッコ良し
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開ける瞬間はいつもドキドキします。


ドドン!!
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これ、ヤッバイです。
もうこのブログの写真で買っちゃう人いるんじゃないですか??
ドンが作って、このルックスって、、、。
「あの頃」の雰囲気も満天。
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前述のブログでもご紹介しているのですが、彼の楽器の魅力は、サウンドがきちんと見えている上でその音にするがために必要な事を技術者としてしっかり実践している事。

しかもそれが、『日本人が思うしっかり』にありがちな「寸法が正確」「平面・直線が出ている」「Rが均一」とかではなく、あくまで『音の為』になっているというところ。
そして、「丁寧」。
そして誰もが一目見て受ける「綺麗」という印象。
日本人が作った楽器の綺麗さは「正確さ」「精密さ」「緻密さ」という感じが私はしているのですが、
ドンのギターの綺麗さは言葉で言うと「丁寧」
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この👇Rからコンターへのつながり方なんて、当時のヴァレイアーツやルカサーファンは涙物ですよね。
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私自身が手作りで製作した楽器も、プロに使って頂いている訳で、
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私自身そこには自信も拘りももちろんあります。
ですが、だからこそ、「自分には作れない楽器」に魅力を感じ、尊敬し、敬愛し、皆さんにオススメしたくなるって訳です。
それは単に作業が正確であったりする事ではない、センスがあってこその丁寧さ。
私が「作り手が、自分が作った訳じゃないのに本気で勧める楽器」ってそういう事。



検品の意味

かつてアジアでの初心者用ギターの開発/検品も担当してきた私。
そういった場面での「検品」という響きには「異常を発見する」というニュアンスを多分に含みます。
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しかしながらGroshの場合は、所謂「不良」というものはほぼありません。
ですから、Groshでの検品業務は、
「予定していたものとのスペック照合」
「運送中にトラブルが起きていないか」
「ネックの反りなど自然な変化に対応して再セットアップ」
という感じになります。
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細かい仕上げを見れば見る程、その丁寧さに感動します。
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こういう⇑機械加工では出来ない曲面を見ると、手作業ならではの美を感じます。

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通常、作り手の多くは「製作の拘り」を知って欲しくなります。
近年ではそれを動画などで「売り」として饒舌に語り、商売に結び付ける方も増えましたよね。
勿論それは決して悪い事ではありませんが、
Donさんはそれをしません。
出来ないのではなく、しない。

忘れ得ぬ彼の言葉

私が忘れられない出来事があります。
取引を始めた頃、日本でお客様向けのカタログを用意するため、アメリカでのカタログを翻訳しようと考えました。
ところが、カタログは無い、と言うのです。スペックを見て買って欲しい訳じゃないから、、、と。
弾いて気に入ってくれたら買ってくれればいいし、気に入らないならそれでいいよ、みたいな事を仰られたんです。
販売のスタッフが一生懸命スペックを説明しないと買ってもらえないような、そんな買ってもらいかたは望まないよと。

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工場の規模も拡大したいと思わない。
何故かと言うと、全ての出荷するギターがどんなギターか自分で見える範囲がいいんだ、と。
自分の目が行き届く範囲での製作をしたい、と。

なんてカッコいい!!


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見て下さい。
F孔の内側もきちんと塗装がのせられ、磨いて仕上げられています。
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という事で、今回入庫したのはこの4本。
どれも最高。
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気になる人は声かけてね!



あ、折角のルシ駒ブログ。
日本の技術者の誰もしらない小ネタ書いちゃおうかなw
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楽器って皆さん何で拭き上げしていますか?
楽器店で販売しているクロスを使われる方が多いのではないでしょうか。
私もそうです(笑)
工場に行くと、工場ごとに色々なクロスや業務用の磨きあげ関連の製品を見掛けます。


ドンさん、使ってるのこれです!
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その名もVIVApaper!
その名もって言う程の物では無いんですが笑、かなり繊維の細かい、所謂ペーパータオルです。
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興味がある方は検索してみて下さいね!

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ルシアー駒木でした。


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