皆さん、こんにちは。データ分析担当のオオフカです。
世の中がどうなっているのかを、データで見るのが三度の飯よりも好き!という楽器店の人間の中でも少々変わり者の私・・・。
世界には音楽に関する統計データはいくつかありますが、携帯電話や食品など他の業界に比べると、まだまだ少ない状況です。
私たちにとって音楽はこんなにも身近でみんなが楽しんでいるものなのに、
そこからデータを集めないなんてもったいない! 調べて活用すれば、もっと音楽は楽しくなるはず!と考え、今回から「島村楽器調べ」と称して音楽に関連する様々なテーマのアンケート調査&分析結果の公開を実施することにいたしました。
という訳で、記念すべき第1回は、今、何かと話題の『AI(人工知能)』をテーマに取り上げて
演奏や制作面で、AIが音楽にどう関わっていくと思うかを調べてみました。
今回の調査は、楽器経験者が多く音楽に詳しい当社の従業員で行いました。
20代~40代の楽器経験者、男性330名・女性 330名を対象としています(2019年4月実施)。
既にAIを使った作曲や共演などが行われており、音楽の世界もこれからAIで変わっていくことが予想されます。
ますます利用が増えると思われるAIに対して、楽器経験者はどのように考えているのでしょうか?
その調査結果を、まずはご覧ください!
【1】約6割が、音楽にAIを取り入れることに関心あり!ただし男女間で差があり。
Q. 音楽の分野でのAI活用に関心があるかどうか
まずは、音楽にAIを取り入れることに関心があるかどうかです。
今回の結果では、6割が取り入れることに『関心がある』(「関心がある」と「やや関心がある」の合計)となりました。
結構、関心が高いですね!
ただし、これには男女差があって男性の『関心がある』は7割ですが、女性は4割程度にとどまっています。
女性は、まだ音楽にAIを取り入れることには抵抗があり、まだまだ、AIより人間の方が良い!ということかもしれません。
【2】音楽でAIが活躍しそうな項目は「作曲」「PA(音響)」「ミキシング」。
Q. 音楽の分野で最もAI活用の将来性があると思うもの
それでは、AIが活躍できそうな項目は何か?を聞いたところ、トップは「作曲」「PA(音響)」、次に「ミキシング」となりました。
ご存知の通り「作曲」はある程度パターンがあるので、「AIと相性が良いのでは?」との意見がいくつかありました。
例えば、〇〇風の曲が作りたい!と思ったらAIに作曲させて、みんな、それをAIが作った曲とは知らずに感動している・・・ということに近い将来なっているかもしれません。
一方、「PA(音響)」や「ミキシング」は非常に手間のかかる作業です!音楽を演奏したり作っている人間からみれば、「PA(音響)」や「ミキシング」が自動化されればどんなに楽か・・・。
これには、多くの方が同意していただけるのではないでしょうか?
【3】音楽にAIを取り入れることのメリット「いつでも演奏(練習)ができる」「演奏のサポートをしてくれる」。
Q. バンドやアンサンブルのメンバーに、AIを入れるメリット
次に、音楽にAIを取り入れたときのメリットを聞いたところ「いつでも演奏(練習)ができる」「演奏のサポートをしてくれる」が上位になりました。
AIによる利便性にメリットを感じているようです。一方、「文句をいわない」「遅刻がない」も3割を超えていますね。バンドやアンサンブルをする上のでの難しさ(?)が何となく読み取れます。
【4】音楽にAIを取り入れることのデメリット「AIだと正確すぎて面白みがなさそう」。
Q. バンドやアンサンブルのメンバーに、AIを入れるデメリット
逆にAIを取り入れることのデメリットは「AIだと正確すぎて面白みがなさそう」「AIだと観客とのやりとりができない」「いくら優れた演奏能力があっても人間にはかなわない」となりました。
これらの項目は、女性が男性よりも高くなっており、女性は正確性や演奏力よりも、人間らしさやコミュニケーションの部分を音楽に求めている傾向が読み取れます。
確かに正確性や演奏力がなくても、これが音楽だ!ということを感じさせてくれるミュージシャン(特にロック)が多くいます。私が敬愛する御大ニール・ヤングもあのヘタウマ奏法(褒めています)だからこそ味がある演奏になっています。もし、ニール・ヤングがギターソロを正確なピッキングで流麗に弾いたら(あまり想像できないですが・・・)「こんなの、ニール・ヤングじゃない!!(泣)」となるでしょう。。
今回の結果は、そんな面を反映しているのかもしれません。
【5】音楽でAIに代替できない人間固有のもの「音の生々しさ」「観客とのやりとり」。
Q. 音楽でAIに代替できない人間固有のもの
それでは、いくらAIが発達しても、人間にはかなわない部分って何?というのを聞いたところ「音の生々しさ」「観客とのやりとり」が上位となりました。
「音の生々しさ」「観客とのやりとり」はコンサートやライブが好きな方は、生の迫力という点で同意していただけるかと思います。
ただし、将来的にAIも人間みたいに応答できるようなったら、AI「みんな〜!のっている?」観客「イエ―ッ!」ということも夢ではないかも(?)しれません。
【6】AIに「交代して欲しいバンドメンバーがいる」は2割。交代して欲しいバンドパートは「ドラム」がトップ!
Q.AIに交代して欲しいメンバーはいるかどうか
あなたには、交代して欲しいバンドメンバーはいますか・・・。
「AIに交代して欲しいメンバーがいるか」を聞いたところ2割が「いる」となりました。
Q. 交代して欲しいと思ったメンバーの担当パート
その交代して欲しいメンバーのパートを聞いたところ、「ドラム」が圧倒的に高くなっています。
皆さん、「ドラム」に不満があるようです・・・。ドラマーの皆さん!気を付けないと将来的にはAIと交代ということになっているかもしれません!
【7】交代して欲しい理由「技術的に問題がある」!男性は人間関係、女性は音楽への姿勢を重視。
Q. メンバーに交代して欲しい(して欲しかった)理由
さらに、なぜ交代して欲しいか聞いたところ「技術的に問題がある」が圧倒的に高くなりました。
みんな厳しいですね・・・。
次に「そのメンバーの性格に問題がある」「相性がよくない」「そのメンバーが音楽に対して不真面目である」となっています。
男女別では、男性は「そのメンバーの性格に問題がある」「相性がよくない」が高くなっており、対人関係の理由からAIに交代して欲しいと考えているようです。
一方、女性は「そのメンバーが音楽に対して不真面目である」となっており、対人関係よりも音楽に対する姿勢を重視しています。
女性にとって、バンドは楽しむというより、音楽に取り組む場になっているということかもしれません。
【8】AIに「交代して欲しくないバンドメンバーがいる」は8割。交代して欲しくないバンドパートは「ヴォーカル」がトップ!
Q. AIに交代して欲しくないメンバーはいるかどうか
逆に「AIに交代して欲しくないバンドメンバーがいるかどうか」を聞いたところ8割が「いる」となりました!
Q. 交代して欲しくないと思ったメンバーの担当パート
交代して欲しくないバンドパートを聞いたところ、「ヴォーカル」がトップとなりました。さすがにバンドの顔とも言える「ヴォーカル」はAIには代替が難しそうです。
「ヴォーカル」が変われば、バンドが変わってしまったり、終わってしまうということはよくある話です。
オリジナル曲を作って、「ヴォーカル」が作詞を担当しているとバンドのカラーはそれで決まるので、なおさらそうなってしまうケースが多くなります。
また「交代して欲しい」設問でもトップとなった「ドラム」が、ここでも2位と上位になっています。良いドラマーはバンドに不可欠だからでしょう。
「ドラム」って地味だと思っている皆さん!実は、非常に重要なパートなんです!
【9】交代して欲しくない理由「そのメンバーにしかできない演奏(音楽)だから」がトップ。
Q. メンバーに交代して欲しくない(して欲しくなかった)理由
それでは、なぜ交代して欲しくないかを聞いたところ「そのメンバーにしかできない演奏(音楽)だから」「そのメンバーと演奏していると楽しいから」「信頼がある」が上位となりました。
ここに回答者たちのバンドメンバーへの熱い想い(!)が感じられます。
男女別で見ると、女性の方が「そのメンバーにしかできない演奏(音楽)だから」が高く、男性より音楽性を重視している傾向があり、音楽面では女性の方がシビアに見ています。
ちなみに「そのメンバーに恋愛感情がある・または付き合っている」は、男性が数名いるのに対し女性回答者はゼロ(!)となっております。
今後の「島村楽器調べ」について
以上、いかがだったでしょうか?音楽をやっている人間が、AIについてどう考えているかを知る興味深い結果になったかと思います。
今後も、島村楽器では音楽に関するアンケートを行い、調査結果による様々なトピックスをブログで公表していく予定です。
音楽に関するあらゆるテーマを扱う予定なので、ぜひ、お楽しみに!