こんにちは。ハラシマです。
前回の記事はいかがでしたでしょうか?(と言っても半年前なのですいません‥‥)
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金管楽器のヘコミ直しの記事が続いていましたので、今回は楽器を変えてフルートの調整についてご紹介します。
フルートのタンポの修理について
フルートのタンポ交換の修理はとても繊細で、なかでもタンポの調整がイチバン神経を使う作業なんです。
まずは古くなったタンポと、新しいタンポをみてください。
この写真の中に5つのタンポがありますが、新品のタンポは1つだけです。
わかりますか?
答えは、右端にあるタンポが新品のタンポです。
それでは交換・調整をして行きましょう。
タンポを外す
まずタンポ交換ですが、カップからタンポを外します。
今回のフルートはアルタスでしたので、タンポを外すとカップの中に、黒い物が入っています。これはタンポの下に置く下敷きのようなものです。
新しいタンポを入れる
次に新しいタンポを入れるのですが、ただ入れるだけだと、ネジを締めた時にシワができてしまうので、シワを出来ないように気をつけながら入れます。
シワができてしまった場合は、ネジを締めた後にほんの少しだけタンポを湿らし、シワをのばします。
タンポの調整
さあ、ここからが調整です。
入れたタンポと音孔(管体にあいた穴)のスキマをチェックします。
調べ方は、フィラーゲージと呼ばれるとても薄いゲージを使うのですが、材質は紙やテープなど、リペアマンによってさまざまです。
ちなみ私はカセットテープを使います。
スキマはごく僅かなので、キイを押さえつけてしまうとスキマが埋まってしまいます。
どれくらいのスキマかというと、だいたい0.03mm~0.3mm位で調整します。
タンポの調整紙について
先ほどの0.03mm~0.3mmのスキマを埋めるのは、調整紙と呼ばれる紙を使います。
それぞれの厚みの調整紙を各タンポのスキマにあわせて切り、カップへ入れていきます。
調整紙は大きさや厚みの種類が多くあります。
調整紙を入れすぎてしまうと、一部分だけが膨らみ反対側にスキマが生まれます。
スキマの大きさに合わせて入れる為に、スキマの大きさを正確に把握し調整していきます。
入れたばかりのタンポについて
タンポは入れたばかりは変化しやすいので、調整しても翌日には全く別の部分にスキマができてしまいます。
写真のようにタンポの中身はフェルトですので、湿度や気温やタンポを入れた時にかかった圧力などで、フェルトが変化します。
残念ながらこればかりは、時間を短縮しようがありません。
完成!
こうして時間をかけて調整することで、フルートのタンポ交換が終わるのです。
このように、ほんの僅かなスキマを埋める作業をするのがフルートなんです。
とても美しい音の裏には、とても繊細な作業があるんですね。
いかがでしかた?
今回はフルートの調整の一部をご紹介しました。
フルートの音が出づらくなる原因は、タンポの劣化によるバランスの崩れや、タンポと音孔のスキマが大きく、息がもれる事が主な原因ともいえます。
普段の演奏活動のあとに、しっかりお手入れをしていただければ、タンポの劣化を防げますし、楽器の異常を早期発見できます。
「最近調子が悪いな」とか感じた場合は、相談してください。お客様のご予算や悩みを解決し、また音楽・楽器を楽しめることが大事だと考えますので、是非お気軽に相談してくださいね。
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