みなさんこんにちは。突然ですが「耳コピー歴35年」のバイヤーサカウエです。
最近お店に行くと、色々なデザインのヘッドホン&イヤホンが展示されていて、どれを買ったらいいのかとても迷っちゃいますよね?
今回はそんな皆さんの為に「楽器を演奏する人」にオススメのヘッドホン&イヤホンを紹介したいと思います。
そもそもヘッドホンと「耳コピー」の関係って?
きっと一度くらいは聴いたことがある人もいると思いますが、そもそも「耳コピー」ってのは、CDなどの曲を耳で聞いて、実際に演奏されている音を聞き取ってDAW*1等に打ち込んだりすることです。
そして、実はヘッドホンと「耳コピー」ってのはとても関係が深いんですね。
「耳コピー」は、色々な楽器の細かいフレーズを何度も繰り返し聞く必要がありますが、実はスピーカーで聞くよりヘッドホンの方が効率的にコピーしやすいんです(周囲の人の迷惑にもならないし)。
あと「耳コピー」をやる人は、ヘッドホンを長時間身に付けることになるので、音質や分離感といった性能の部分だけでなく、疲れにくさや、フィット感といった点にもこだわる人が多いです。
・・というわけで前置きが長くなってしまいましたが、今回は「耳コピー歴=ヘッドホン探求歴35年」のサカウエが「楽器を演奏する人」にオススメの「ヘッドホン&イヤホン」をご紹介したいと思います。
モチロン、単に音楽を聴くのが趣味って人にも参考になると思いますので、ご安心ください。
10種類のSHUREヘッドホン、イヤホンが大集合!
今回はSHURE(シュア)・ジャパン・リミテッドさんにお願いして、聴き比べの実験をさせていただきました。(シュア・ジャパンさん御協力ありがとうございました!)
SHUREといえばSM-58、57といった定番マイクが超有名ですが、高品位なヘッドホン、イヤホンも非常に充実しています。
ヘッドホンは大きく分けて二種類
ヘッドホンは頭からかぶって耳に当てるタイプですが、大きく分けると「オープンエアー型(開放型)」と「クローズド型(密閉型)」の二種類があります。
「オープンエアー型」は外の音が比較的聞こえやすいので、DJのように外の音も同時に聞いたりする必要がある人に良く使われます。その反面、一般的には音漏れしやすいので、通勤・通学電車で聴くのにはあまり向いていませんね。
「クローズド型」は低音がよく出るのが特徴で、外の音も聞こえにくいし音漏れも少ないので、ボーカル・レコーディングとか外界を遮断して集中したいときに良いですね。今回お借りしたヘッドホンはすべてこのタイプになります。
イヤホンには「インナーイヤー型」と「カナル型」がある
耳に差し込むタイプをイヤホンといいますが、耳に引っ掛けるタイプの「インナーイヤー型」と、耳の穴に深く差し込んで使用する「カナル型」といった種類があります。携帯プレーヤーに付属してくるのはほとんど「インナーイヤー型」ですね。
お借りしたSHUREのSEシリーズは「カナル型」で、とても遮音性が高い(外の音が聞こえにくい)モデルです。耳から抜けにくいという特徴もあるので、多くのミュージシャンがステージ等で使っています。
皆さんもTVとかでよく見かけると思いますが、ドラマーの方は大抵カナル型のイヤホンを装着していますね。あれで自分と他のメンバーの演奏をモニターしているんです。
さてヘッドホンとイヤホンは構造的にはそれぞれ大きく分けて二種類あるというのがわかりましたでしょうか?(ホントはもっと色々な種類があるんですけど今回は割愛)
あとそれぞれの特徴をしっかり覚えておいてくださいね。
今回の試聴で使用したCD
ちなみに今回の試聴では、サカウエの趣味丸出しですが以下のCDを使用しています。
やはりこれは外せません。レコーディング・エンジニアのサウンドチェック定番CDですね。 |
ドビュッシーの誘惑(デラックス・エディション)(紙ジャケット仕様)
オペラからクラブ系まで幅広いジャンルを網羅したアルバムです。意外に隠れた名盤だと思います。 |
へヴィーなギターサウンドの洪水です。音圧チェックに最適。 |
Dark Side of the Moon-Experience Edition (2 CD)
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スティーブンタイラー、スティングなど超豪華ゲストのジャズアルバム。 |
「惑星」の名演奏として評判ですね。ストリングスのダイナミクスのチェックに良いです。 |
キースの最高傑作の呼び名も高いジャズピアノトリオの名盤です。 |
全世界セールス2000万枚のロックの名盤。ギターの付点8分ディレイのフレーズはあまりに有名。 |
ボサノバの巨匠ジョアンの弾き語り。独特の空気感が再現できるか? |
MPB(ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック)の名盤。バラエティーに富んだ名曲揃い。サウンドチェックにも最適。 |
まずはヘッドホンをDTM 環境でチェック
今回の試聴では、レコーディング・スタジオでは定番の「Pro Tools」というDAWソフトにCDの楽曲を取り込んで、それをデジタル・ミキサーへ光デジタル出力したものを試聴するという、比較的プロの製作現場に近い環境で試してみました。
DTMを楽しまれる方にも参考になるのではないかと思います。
試したヘッドホンは
- SRH-240
- SRH-440
- SRH-840
- SRH940
- SRH550DJ
- SRH750DJ
の6機種。
どの機種も非常にクリアな音質というのがこのシリーズの特徴ですね。またフィット感も良く、長時間の使用でも疲れは感じません。
なおヘッドホンの装着感についてですが、特にメガネをかけている人の中にはヘッドホンでメガネフレームが圧迫されて耳が痛くなるって人が大勢います(サカウエもそう)・・ただこれは個人差やヘッドホンとの相性もあるので、必ず買う前に一定時間試してみることをオススメします。
抜群のコストパフォーマンス! SRH-240 & SRH-440
さてさて、240と440は中域の聞こえ方に若干差があるみたいでしたが、どちらもホームレコーディングでの使用には十分なモデルだと思います。これで一万円未満ってのはすごいですね。
まさにプロフェッショナル仕様! SRH840 & SRH940
リバーブの余韻や、ボーカルの息遣いといった非常にデリケートなサウンドまで忠実に再生してくれます。DTMで緻密に音作りする人や、ミックスにこだわりたい人は是非使って貰いたいモデルだと思います。
Steve Vaiを結構音量上げて聴いてみたんですが、音の分離感も優れていて、ギターサウンドの重ね方もよく聞こえました。
特にSRH940は現在サカウエが使っている5万円のヘッドホンと比べて遜色が無かったですよ。クラシックのダイナミクスの表現力もすばらしく、非常にコストパフォーマンスの高いヘッドホンだと思います。
DJに最適なモデルSRH550DJ、SRH750DJ
SRH550DJ、SRH750DJ はDJ向きのモデルですが、クローズド(密閉型)仕様となっています。
さすがDJモデルだけあって、クラブ系の音楽は非常にストレートに聞こえてきます。Art of Noise のマッシヴなスネアとキックの存在感は、明らかに他の機種とは異なるテイストですね。
なおイヤカップが90度回転するので、DJ独特の「片耳で聴く」スタイルにも最適ですね。
このモデルは折りたたみ可能で持ち運びも楽なので、iPod等の携帯プレーヤーのリスニングにも良いんじゃないかと思いました。
万が一の断線でも安心
440、840、940、750DJの4モデルは本体からケーブルが取り外しできるので、万が一断線した際にもケーブルだけ手軽に交換できるのが有難いですね。以前サカウエが使用していたヘッドホンが断線したときは目玉が飛び出るくらいの修理代金だったのを覚えていますが、その点これは安心です。
つづいては高遮音性イヤホンをiPodでチェックしてみました
試してみたのはSE-535、SE-425、SE-315、SE-215の4モデル。
サカウエはSE-115なら使ったことがあるので、どれ位の差があるのかなあ、と期待に胸を膨らませながら今度は自分のiPodでチェックしてみました。
で、率直な感想はというと、
215「おーなかなか」→315「うーんいいねえ」→425「何これースゴ」→535「ゲッ、スゴすぐる、もう他のに戻れない〜」
といった感じでしたね。
特にSE-525。艶やかなエリス・レジーナのボーカルとか、キース・ジャレットのサスティーンペダルのノイズまでもが目の前で鳴っているかの様に聞こえてきます。これまで幾度と無く繰り返し聞きこんできた曲でも、また新しい発見ができる・・・そんなモデルですねこれは。
サカウエも真剣に欲しいと思いました。買っちゃうかも・・・。
独自のフォームイヤパッド
さてSHUREのイヤホンには「フォームイヤパッド」という独自のイヤパッドが付属します。これは耳に入れる前にあらかじめイヤパッドをつぶしておいてから装着すると、パッドが内耳で広がってフィットするというちょっと変わった仕組みです。
パッドは何種類か付属してきますので、自分の耳にあったものを選択することができます。
ただし耳への挿入角度によってかなり音の聞こえ方が変わるので、SHUREのホームページにある装着方法の動画を参考に色々試してみるのが良いと思います。
装着方法はこちらです。
非常に外音遮断性が高い・・ということは。
というわけでSEシリーズは、ステージでのモニター用はモチロン、携帯プレーヤーや、DTMのミックス、マスタリングでも使用できる非常にすばらしい製品だと思います。
ただし、もともと大音量のステージ上でのモニター用に開発されただけあって非常に外音遮断性が高い・・ということは
装着して音楽を聴いている時は外界の音がまったく聞こえない
ということでもあるので、
このイヤホンで音楽を聴きながら街中を歩いたり、自転車乗ったりするのは非常に危険なのでやめましょう。
ということですね、ハイ。
目的に合ったヘッドホン、イヤホンをじっくり選ぼう
さて今回はSHUREのオススメヘッドホン&イヤホンを紹介いたしました。
皆さんも是非島村楽器にお越しいただき、実際に自分の耳で確かめて自分に合ったヘッドホン&イヤホンを選んでいただければと思います。
そして適度な音量調節で音楽を楽しんでくださいね。それではまた。
*1:デジタル・オーディオ・ワークステーション(Digital Audio Workstationの略)デジタルで音声の録音、編集、ミキシングなど一連の作業が出来るように構成された一体型のシステム。