島村楽器公式ブログ

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調律師の必需品大公開「第8回 刃物について」

天気のよい日が続き、気持ちも晴れ晴れしています。
みなさんこんにちは☆ピアノセレクションセンターのウチヤマです(^−^)
晴れ女ウチヤマの威力でピアノセレクションセンターの周辺は、今日もいい天気です(*^-^*)

さて、今回は刃物についてお話していきます。
刃物を調律に使うの?と思うかもしれませんが、細かな部分で使用していきます。

刃物あれこれ


刃物大集合!

ウチヤマが普段持ち歩いている刃物を集めてみました。
これらはすべて年期が入っているものばかりです。いくつか試してみましたが、結局この刃物たちに落ち着きました。
調律師がみんなウチヤマと同じものを使用しているわけではありません。調律師によって持っている刃物の種類は若干異なります。

共通しているのは、私たち技術者はこれらの刃物を、ピアノの中の「何か」を切るために持っているということです。

何をそんなに切っているの?

刃物を多く使用するのはピアノの修理です。
ピアノセレクションセンターの調律女子のカワイやハラキが、このブログでみなさまにお送りしている『ピアノ再生物語』では、ピアノの修理についてお話させていただいていますが、その中でもたびたび刃物は登場してきます。

ここに写っているのは、普段見ることのできないピアノの内部をあらわにした『アクションモデル』です。
ピアノの中には木やフェルト・皮が使用されています。それらは綺麗に切りそろえられています。
ピアノのパーツは納まるべき部分に収まってこそ役割を果たします。
収まるべき部分に収まらす、大きくはみ出してしまうと隣の部品と接触します。隣の部品と接触していると動きが悪くなってしまったり、雑音が出てしまったりします。
動きが悪くなることを防ぐこと、雑音が出ないようにすることも大切ですが、何より大切なことは『もとの状態より綺麗にする』ことです。その為に刃物は大切な役割を果たします。
綺麗に切りそろえることはピアノの修理の中では大きな要素を含んでいます。その大切な役割をはたしてくれている刃物を、タイプ別でひとつずつ紹介していきます。

替刃で研ぎしらず 〜うす刃とカッターナイフ〜

この2本の刃物は、ウチヤマが調律師になってから愛用しているものです。主にフェルトやクロスを使ったこまかい修理のときに活躍します。
これらの素材はとてもやわらかい為、切れ味がよい刃物でないと切り口がグシャグシャになってしまいます。
そこでこの2本が登場!これらは刃を替えることができるので、いつでも切味バツグン!絶対に手放せない刃物なのです。

刃物を研いで愛着を 〜うす刃とボタンノミ〜

この2本は、ウチヤマが調律学校へ通っていたとき支給されたものです。
刃を砥石で研ぎ切れ味を維持してきます。研ぎを怠ると切れ味が悪くなってしまうので、定期的な研ぎが必要です。
刃を替えることができる刃物に比べるとメンテナンスが必要なので、最近出番は減ってきています。
ですが、持ち手が木でできているため握ると手に馴染むところがお気に入りで、この先も絶対に手放せない大切なアイテムです。

永久刃 〜はさみと両刃〜

この2本は替刃も研ぎも通じない刃物です。黒い持ち手の刃物は皮やフェルトを切る専用として使っています。
はさみは紙とフェルトを切る専用として使っています。硬いものなどを切り切れ味が悪くなってしまうと、新しい物に交換しなければならないからです。
大切に長く使用していくために、切るものを分けて刃物を使うことは大切なことです。

ウチヤマが愛用している刃物を見ていただきましたが、どれも大切に使っていることを感じていただけたのではと思います。
替刃仕様のものは、刃は交換しますが本体は長期にわたり使えます。研ぎが必要なものは、研ぎを行なえば長く使えます。
切れ味を維持する方法は違いますが、工具を大切にすることも調律師としての心構えのひとつです。

刃物特集いかがでしたか?

次回は「整調工具と供に歩む道具について」をお話します。どんな工具が出てくるか、お楽しみに☆

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ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
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