島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

管楽器の修理紹介「フルートのタンポ交換・修理編」

こんにちは。ハラシマです。
前回の記事はいかがでしたでしょうか?(と言っても半年前なのですいません‥‥)
blog.shimamura.co.jp

金管楽器のヘコミ直しの記事が続いていましたので、今回は楽器を変えてフルートの調整についてご紹介します。

フルートのタンポの修理について

フルートのタンポ交換の修理はとても繊細で、なかでもタンポの調整がイチバン神経を使う作業なんです。
まずは古くなったタンポと、新しいタンポをみてください。


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この写真の中に5つのタンポがありますが、新品のタンポは1つだけです。
わかりますか?
答えは、右端にあるタンポが新品のタンポです。

それでは交換・調整をして行きましょう。

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管楽器の修理紹介「トロンボーンのベル ゆがみ直し編」

こんにちは。ハラシマです。前回の記事はいかがでしたでしょうか?

blog.shimamura.co.jp

前回の記事は、お会いするお客様にも好評でしたので、今回も似て非なる修理「ゆがみ直し」についてご紹介します。
楽器はトロンボーン!! トロンボーンのベルのゆがみ直しについてです。

トロンボーンのベルのねじれ、ゆがみ直しスタート

ゲッツェンのトロンボーンの修理がきたので、ご紹介します。
今回もねじれと歪みが大きいものがきました。まずは写真をご覧ください。

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パッと見た感じではよくわからないかもしれませんので、少しベルの部分を拡大してみましょう。

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どうですか?ベルにうつる景色が、大きく歪んでいるのがわかりますか?

トロンボーンのベルのゆがみが直るまで

修理工程は前回と同じで、芯金工具を使用して直します。
前回の記事から抜粋しておきますね。

ヘコミ・ゆがみを直す道具について

ベルのめくれや歪みを直す際には、『芯金』と呼ばれる工具に楽器を当て、専用ローラーなどでシゴいたり、専用ハンマーで叩いたりします。

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この様々な形の芯金にベルを当て、ハンマーで叩いたり、ローラーなどでシゴイたり、という工程を繰り返して直すのですが、これがとても大変な作業なんです。

普段使わない筋肉を使うために筋肉疲労や、ヘコミや歪みを必死に見るので眼精疲労が激しくでる時もあります(笑)。

ヘコミを直す時はチカラ加減が重要なんです。チカラをかけ過ぎると膨らんでしまい、ゆがみがさらに大きくなりますし、弱すぎるとヘコミや歪みは直らずに、ただ金属をのばしているだけになります。
直すには絶妙なチカラ加減が必要なんです。

管楽器の修理紹介「トランペットのベル 歪み直し」 - 島村楽器公式ブログ

修理完成です!

どこまで直るか楽しみだと思いますが、仕上がりました。

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どうですか?こんなにキレイに仕上がるなんて、驚きですよね。

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拡大して見てもわかりますが、ベルに写る工房の景色が、よく見えますね(笑)。
2枚目の写真を目を凝らしてよく見ると、左上から右下へうっすらと斜めに白いスジが残っています。これは歪んだ際に金属が伸びてしまったために残るシワなんです。
これを直すとなると、塗装を剥がし再塗装をする事になり、音質・響き・吹奏感などが大きく変わると思います。そして修理金額も高額になりますので、メッキやラッカー、そして楽器の状態など様々な条件で値段が変動しますので、おススメはしておりません。

いかがでしたか?

今回の大きく歪んだベルの修正をご紹介しました。
ゆがみやヘコミの修理は、プレイヤー自身にとっては「キレイになおるのか?」とか「どこまで直るんだろう?」といった話が多いですよね。
ヘコミや歪みの状態や、金属の状態によって修正痕が大きく残る場合もありますが、キレイに直して演奏できる状態にしていきます。
楽器のリペアは修理をして完璧にもとに戻すことだけではなく、お客様のご予算や悩みを解決し、また音楽・楽器を楽しめることが大事だと考えますので、是非困った場合はお気軽に相談してくださいね。
今後も、このブログで定期的にヘコミや歪み、塗装などを紹介できればと思いますので、よろしくお願いします。

島村楽器 管楽器リペア専門店のご案内

島村楽器 管楽器リペア専門店は管楽器の修理・点検・調整・関連商品の販売に特化した専門店です。
多くのリペアマンが常駐しておりますので、お客様の管楽器に対する悩みにいつでも相談・対応させていただきます。

またお見積りの際には、お客様の求める音や様々な音楽シーンに合わせた、修理や調整・カスタマイズを提案させていただいております。
まずはお気軽にご相談ください。

皆様のご来店をスタッフ一同、心よりお待ちしております。

Wind & Repair(管楽器販売&管楽器修理・リペア専門店) 店舗情報-島村楽器


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管楽器の修理紹介「トランペットのベル 歪み直し」

こんにちは。管リペアのハラシマです。

前回の工具の記事はいかがでしたでしょうか?

これからも意外な物が工具になったりしているので、ご紹介していきますね。


さて、今回は修理についてご紹介します。トランペットのベルの「ヘコミ・ゆがみ直し」ですっ!!

トランペットに限らずベルのヘコミやゆがみ直しの依頼は多くあるので、チョットずつ紹介していきますので、よろしくお願いします!!

ゆがみ、ヘコミ、めくれの確認

早速ですが、まずはこちらの写真からベルの歪みと、ベルのめくれを見つけてください。

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わかりましたか?
ベルのふちの辺りが波うって、ベルが手前にめくれ歪んでいる状態なんです。

ヘコミ・ゆがみを直す道具について

ベルのめくれや歪みを直す際には、『芯金』と呼ばれる工具に楽器を当て、専用ローラーなどでシゴいたり、専用ハンマーで叩いたりします。

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この様々な形の芯金にベルを当て、ハンマーで叩いたり、ローラーなどでシゴイたり、という工程を繰り返して直すのですが、これがとても大変な作業なんです。

普段使わない筋肉を使うために筋肉疲労や、ヘコミや歪みを必死に見るので眼精疲労が激しくでる時もあります(笑)。

ヘコミを直す時はチカラ加減が重要なんです。チカラをかけ過ぎると膨らんでしまい、ゆがみがさらに大きくなりますし、弱すぎるとヘコミや歪みは直らずに、ただ金属をのばしているだけになります。
直すには絶妙なチカラ加減が必要なんです。

仕上がり

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イビツになっていた所を直しました。

光の反射がキレイに見えるほどになりました。今回は銀メッキの楽器であったので、シワなどがあまり目立たずにキレイに仕上がっています。

いかがでしたでしょうか?

ヘコミ直しにおいて、修正痕がなるべく目立たないように作業をしていますが、ヘコミの具合や修理工程によって修正痕が残る場合があります。

それは何度もヘコミ直しをしていくと、金属や塗装に影響がでてしまいシワになったりします。金属が薄くなったりした場合には、パーツの交換や当金などの処置で対応しますが、またそのような作業があった時にご紹介しますね。

これからも色々なヘコミやゆがみなどの作業をご紹介しますので、よろしくお願いします。

島村楽器 管楽器リペア専門店のご案内

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多くのリペアマンが常駐しておりますので、お客様の管楽器に対する悩みにいつでも相談・対応させていただきます。

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まずはお気軽にご相談ください。

皆様のご来店をスタッフ一同、心よりお待ちしております。

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管楽器リペア工具紹介その2「カミソリ」

こんにちは、管楽器リペア専門店のハラシマです。
気がつけば、フリーペーパーの連載に力を入れすぎて、前回の記事から、とてもとても長い年月(実に3年)が過ぎていました。本当にすみませんでした。
ちなみに前回の記事はこちら

ちなみに連載しているフリーペーパーとは、管楽器専門誌「poco a poco」さんで、モトヤワター原島の「本日もごきげんに修理中!」という連載を毎月書いております。
「poco a poco」さんのサイトでバックナンバーも見ることができますので、こちらもあわせて見ていただけると嬉しいです。

今回は、「工具の紹介その2」ということで、カミソリをご紹介します。
ちなみにその1の記事はこちらになります。

お客様が作業をご覧になると、リペアマンが使っている工具に興味をもたれる方がとても多いんです。その中でも今回のカミソリは、懐かしむ人もいれば初めてみる人もいて、反応が様々なんです。

カミソリですか?

そんな意外な工具を紹介しますが、使うのは様々なコルクやゴム、フェルトなどを整形する時に使えるので、とても便利な役立つ工具なんです。
なぜ「整形」と言ったのかは、後で紹介します。
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私はフェザー社の片刃のカミソリを使っています。

なぜカミソリなのか

なぜかというと、新品のカミソリは切れ味が良く、コルクやゴムなどを切った際の切断面がとてもキレイに仕上がるのです。
切断面がキレイだと、楽器の見た目もよくなりますし、楽器と均一に接触できるので、動作も安定し、コルクやゴム自体の耐久力も上がります。
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こんなコルク栓みたいなコルクもカミソリで切れます。
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「スーッ」と力を入れずに切断できます。

カミソリの使用方法

これはあまり説明しなくてもわかるとは思いますが、コルクやゴムなどに対して力を入れずに「スーッ」と引くだけです。
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カミソリは切れ味がいいので、力を入れずに引くだけでキレイに切れます。

寿命とか交換時期はあるの?

もちろん刃物なので、使用していくと刃こぼれを起こし切れ味が悪くなります。
切れ味が悪いままコルクなどを切ると、切断面が整わなくなります。
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こう切断面が整わないと、コルクが崩れやすくなったりします。

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見た目は大丈夫そうですが、よくみると刃こぼれしています。
しかし、切れ味が悪くても大雑把に切る事ができますので、コルクシートなどを少し切れ味の悪いカミソリで切断し、楽器などに合わせて新しいカミソリでキレイに整えます。
なので、最初にあえて「整形」と言ったのです。
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新しいカミソリだとホントに引くだけなんです。

カミソリだけなの?

修理屋さんの全員が、カミソリだけを使っているわけではありません。私の場合は、カミソリ以外にも、カッターの刃を使用したりします。
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Olfaのカッター黒刃(中刃)
このカッターの刃もとても使いやすく、切れ味良いので役立つので出張に行く際には、必ず工具箱に入れて持っていきます。
私にとっては「お守り」みたいなものですね。あると安心して作業ができるんです。

刃物を扱う際には充分注意しましょう

当たり前ですが刃物ですので、使用する際はもちろん、保管場所など注意しましょう。
使用している際は気をつけていても、雑に扱うと思わぬ怪我に繋がりやすいです。
私は刃物が嫌いなので、必ず扱う際は細心の注意を払い、保管する際にもケースなどに入れます。
余談ですが、今回の撮影は内心ヒヤヒヤしながら撮影していました(笑)

いかがでしたでしょうか?

カミソリは普段の生活では、頻繁に使うことはありませんが、作業の中ではとても大事な工具なのです。それは、お預かりした楽器の修理・調整の仕上がりに直結するものなので、どの工具もとても気を使って選別し使っています。
これからも島村楽器公式ブログでリペアマンが使う様々な道具の話や、リペアにまつわるお話を紹介していきますので、「poco a poco」さんの連載とあわせてよろしくお願いいたします。

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島村楽器 管楽器リペア専門店は管楽器の修理・点検・調整・関連商品の販売に特化した専門店です。
多くのリペアマンが常駐しておりますので、お客様の管楽器に対する悩みにいつでも相談・対応させていただきます。

またお見積りの際には、お客様の求める音や様々な音楽シーンに合わせた、修理や調整・カスタマイズを提案させていただいております。
まずはお気軽にご相談ください。

皆様のご来店をスタッフ一同、心よりお待ちしております。

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行ってきました!欧州サックス買い付け道中記 パート2!

みなさんこんにちは!
管楽器開発兼バイヤーのホリコシです。
今回もサックスハンターとして、フランス・パリに行ってきました☆
買い付けたサックスは勿論ですが、今回はパリのグルメネタもたくさん仕入れてきましたのでご紹介したいと思います。

今回もレア物サックスとの出会いがたくさん!

毎回、貴重な楽器を買い付けておりますが、今回は特に珍しい楽器との出会いが多かった様に感じます。
ホリコシ自身も初めて見る楽器がたくさん・・。興奮のあまり絶叫寸前!
サックスって奥が深いなぁ・・。

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