皆さまBuon giorno!
島村楽器弦楽器アドバイザーの糸山です。
クレモナ駅にて、ひと足お先に帰国する扇谷との記念撮影。お見送りの為、一緒にマルペンサ空港へ向かいます。
買い付け初参戦の扇谷による買い付けブログ、いかがでしたでしょうか?
ミラノにて、扇谷と2人で最後の晩餐。最後の最後に念願だった本場のスパゲッティも食べられて、仕事も食事もミッションコンプリート。お疲れ様でした。
それではヨーロッパ買い付けイタリアから合流した私糸山からは、旅程の終盤に訪れましたヴェネト州での買い付けを計3回に分けてお届けしたいと思います。ぜひお付き合いください!
・・・と、いうことでやって参りました。ヴェネト州の学園都市パドヴァです。
本日はヴァイオリンとヴィオラを求めて、知られざる巨匠:パトリック・ショー氏の工房へお邪魔しました!
パトリック・ショー氏、左が2017年製作のヴァイオリン、右が2005年製作のヴィオラ(41.3cm)です!
過去に何度か本ブログやシマムラストリングス秋葉原の記事でご紹介した通り、パトリックは自身のWEBSITEを作らず、さらに宣伝やプロモーション、広告活動など一切を嫌っている事から、この名匠の存在を知るのは、ごく僅かな音楽家のみとなっております。
昨年から入退院を繰り返し、すっかり痩せてしまったパトリックを気遣います。病に伏してもなお製作意欲の衰えない姿勢に感服するマイスター茂木。
2014年初訪問の際の記事はこちら!
同氏の作品は、イタリア・フランス・ドイツ・オーストリア・カナダなどで人気を博し、ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラ、カメラータ・ザルツブルグ、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団、パドヴァ・ヴェネト管弦楽団、ミラノスカラ座フィルハーモニー管弦楽団、RAI国立交響楽団、ローマ・イタリア放送交響楽団などの有名オーケストラのメンバーが愛用しております。
パトリック・ショー氏の楽器を所有するモーツァルテウム管弦楽団のメンバー!Leonidas Binderis、Susanne Müller、Elizabeth Wilcoxらが使用しています!
モーツァルテウム管弦楽団公式HP
https://www.mozarteumorchester.at/www.mozarteumorchester.at
ヴァイオリンの魂柱調整を行うパトリック。魂柱を動かす際は弦を緩めてから、このような大きなゴーグルを頭に装着して行います。
パトリック・ショー氏は、2016年初春から夏の終わりにかけて重い病に臥し、入退院を繰り返しておられます。そのような絶不調の状況の中でも、彼の弦楽器製作への熱意は今だ衰えず、素晴らしい作品を仕上げて下さりました。
彼のニスは食紅や塗料を一切使用せず、溶かした松脂の他ここには書けない様々な天然素材を使用した複雑な調合となっております。舞台のライトの当たり具合によって、オレンジやレッド、茶色や紫がかった色に見える不思議な色合いです。
それでは、今回入荷するパトリック・ショー氏の作品をご紹介致しましょう!
Patrick Seaux, Italy - Padova, 2016
こちらはパトリック・ショーの晩年の代名詞的なモデル・・・と語り継がれるであろう、Romeo Antoniazzi(ロメオ・アントニアッツィ)のストラドモデルを元に作られたオリジナル作品。普段は数年寝かせた作品を世に送り出す同氏ですが、本作は製作間もない、つくり立てのヴァイオリンです。弾き込めば弾き込むほど、味わい深さを増していく・・・音色の密度の濃いヴァイオリンです。
Patrick Seaux, Viola, Italy - Padova, 2005
続いて、パトリック・ショー氏が2005年に製作、ボディサイズ41.3cmのヴィオラの登場です。このヴィオラはプロのプレイヤーによって弾き込まれてきた逸品ゆえ、良く鳴ります。音色も非常にオープン且つワイドに開花しておりまして、他の音に埋もれることなく充実した弾き心地が得られます。カルテットなど室内楽でも大活躍することでしょう!
そして、今回は動画でパトリック・ショー氏のご紹介もございます!どうぞご覧下さい!!
≪要約≫
皆さまこんにちは。私はバイオリン職人(パトリック・ショー)です。私はクレモナで学び、現在はヴェニスの近くの街パドヴァで製作を行っております。今回は私の工房よりヴィオラと、出来たばかりのヴァイオリンをご紹介致します。日本の皆さまに私の楽器を楽しんで頂けましたら幸いです。
2本とも素晴らしい現代の名器。パトリックの「魂」をしかと胸に刻み、日本の皆さまへご紹介する決意を新たにしたマイスター茂木と筆者でした。
彼の作品は3月末~4月上旬ごろに日本へ入ってくる予定です。乞うご期待!!
パトリック・ショー氏の工房の真下に新しくオープンした、若者で大行列のイタリアン・ジェラート専門店にて。街の中心から外れていて、それまで静かだった工房も、窓を開けると若者の賑やかな声が聞こえるようになりました。
それでは今日はこの辺で。Ciao!
2017年春 弦楽器ヨーロッパ買付レポート その他の記事はこちら