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2011 買付旅行記その5 フレンチ弓の出会い

こんにちは!川崎ルフロン店アドバイザーの石井です。「2011 買付旅行記」と題して、ヨーロッパでの買付けの模様や旅先での様子をお伝えしています。

フランスで外せないのは弓。

弓のストラディバリと呼ばれている名工・フランソワ=トルテが19世紀初頭に現代弓の原型を考案して以来、フランスの弓作りの伝統は始まりました。しなやかでに吸い付いて離れない、それでいてコシがあって楽器の芯を捉えた音色を生み出す。まさにバイオリニストにとって理想とも言える弓がフランスから世界へ次々と発信されていきました。伝統といってもそれは何かを守り継ぐものではなく、革新を伴ったもので常に新しい試みが行われ、試行錯誤の上により良いものを作るというフランス人の気概がそこには存在していました。その伝統は現代においても受け継がれています。

 

(ラファン買付の様子)

今回の買い付けでもその片鱗に触れることが出来ました。

フレンチの弓メーカー・ラファンでは、独自の設計によって作られた弓「Concertante(コンチェルタンテ)」というシリーズがあります。弓そのものの長さは一般的なものと同じですが、全体のバランスを変えることで、通常よりも毛を長く設け演奏範囲を拡げています。全弓通してなめらかなシフト移動を可能にしており、まるで体の一部かのようにフィットしてあらゆる奏法を可能にしています。

今回の買い付けでは、そのラファンから新作弓を購入。弓の名工サルトリとぺカットをモデルにしたシリーズから、ゴールドグレードが新登場しました。極上の材質にラファンの弓作りの伝統を融合させた逸品です。

そしてもうひとつ、フランスで新たな出会いがありました。それがコバッチです。

彼は以前はイタリアで弓作りを行っておりましたが、より技術とセンスを磨くためにフランスに移住し、今はパリを拠点として製作を行っているとのことでした。今回、偶然ながら出会うことが出来、彼オリジナルの弓を拝見しました。こちらもいわゆる名工のコピーではなく、まさしく彼のオリジナルデザイン。イタリアの高級車を思わせるような美しいライン取りに、「おー!カッコいい!!」と思わず歓声をあげてしまいました。彼の他の作品や友人の作品というものもいくつか見させてもらいましたが・・・この一本が抜群!満場一致で購入を決めました。

 

(ラファン買付の様子)

現代フランスの弓メーカーも、革新の伝統を継承しているのだなぁとしみじみ感じました。

2011 買付旅行記その6に続く・・・

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