みなさまこんにちは☆ピアノセレクションセンターのウチヤマです☆
暖かくなってきましたが、まだまだ夜は風が冷たい日がありますね。早く暖かくなればいいのにな・・・と、毎日思っています(しみじみ・・・)
今回は、お話のネタにもなる!!整調工具の変わった形特集です。って、そんなネタで会話が弾むのは調律師同士ぐらいなものですね(笑)
整調工具って?
整調工具について少しお話します。整調工具とは前回のナカウチのブログでも触れましたが、ピアノのタッチを整えてあげる『整調』をするための工具です。
整調とは、ピアノを弾きやすくするための大切な作業です。その大切な作業をするための工具を紹介していますが、その中にはとても変わった形があります。今回はその変わった形の工具を紹介していきます。
というわけでさっそく。これなーんだ???
ピアノの中には全部で88鍵の鍵盤がありますが、これはそのうちの1鍵分をピックアップして模型にした『アクションモデル』というものです。
このアクションモデルでは横からも斜めからもピアノのパーツや仕組みが一目瞭然です。
整調工具の紹介にこのアクションモデルを使い、工具がどのように使用されているかを紹介していきます。
ゴキゲン直し
この工具は名前も変わっています『ゴキゲン直し』といいます。正式名称は『バックチェックツール』というようですが、ピアノセレクションセンターの調律師の間では、ゴキゲン直しと呼んでいます。誰のゴキゲンを直すものかといいますと‥‥
この子のゴキゲンを直します。ゴキゲン直しとは、ゴキゲン直しが銜えているバックチェックと呼ばれる部品の傾きを直す工具です。
バックチェックが右を向いたり左を向いたりするので、このゴキゲン直しを使い向きを修正してあげます。
下の写真のように、バックチェックが右に左にと向きがバラバラだと、機嫌が悪くてそっぽを向いているように見えることから、ゴキゲン直しと呼んでいるんですねー。
ゴキゲン直しの素材は木製とステンレス製がありますが、私が持っているゴキゲン直しはアルミ製です。
ダンパーレギュレーター
この工具はダンパーレギュレーターといいます。ピアノの弦の振動を止めるためのダンパーに付いているワイヤーを曲げるための工具です。
これがダンパーです。白いフェルトの部分が弦と接触している部分です。
このように使います。
ダンパーはとても精密な部品です。ピアノの弦はハンマーに叩かれ振動しますが、弦の振動を止めるためにダンパーは欠かせない部品です。
ダンパーが弦に密着していないと音がミョーンと伸びてしまいます。
弦とダンパーが接触していない部分を接触させるためにダンパーのワイヤーを曲げて調整します。そのための工具です。
キースペーサー
この工具はキースペーサーといいます。キースペーサーとはキー=鍵盤の間隔を調節するための工具です。鍵盤と鍵盤の間には隙間がありますが、その隙間がふぞろいだと見た目が美しくありません。その間隔を整え、美しくするためになくてはならない工具です。
キースペーサーで鍵盤を曲げるのではなく、鍵盤が刺さっているピンを少し曲げて鍵盤の間隔を整えます。鍵盤はピアノを弾くときに触れる大切な部分です。その大切な部分を整えるための工具です。
スプーンベンダー
この工具はスプーンベンダーと言います。実は、ピアノにはスプーンがついています。
これがピアノのスプーンです。真鍮製の小さなスプーンです。このスプーンの位置を調節するときにスプーンベンダーを使用します。
このスプーンは前から見えませんので、見えないスプーンを感覚だけで探し、位置を調整します。
今回はピアノの整調工具の中でも変わった形の工具を紹介しましたが、見ただけではどのように使用するのか分からない工具がたくさんあります。
私が初めて工具を手にしたとき(昔々)どのように使用していくのか検討もつきませんでした。
しかし、使用していくうちにこの形はこの形じゃなきゃダメなんだ・・・と感じるようになりました。
整調を進めていくと、タッチだけではなく、音にも変化が出てきます。
ピアノの音を作っているのは、調律工具だけではないということを変わった形の整調工具を見て感じていただければと思います。
次回は、まだまだ工具について紹介していきますのでお楽しみに☆
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