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島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

ピアノ再生物語「ピアノはこうして生まれかわります」第15回「整調3 打弦距離・ハンマー調整・ウイッペン調整」

みなさん、こんにちは。8回目の登場となります、島村楽器ピアノセレクションセンター調律師のハラキです。

ピアノ再生物語、今回は整調の3回目「打弦距離・ハンマー調整・ウイッペン調整」についてご紹介させていただきます。

前回、カワイの記事では「ピアノは呼吸をしている」とお話させていただきました。
今回の調整は、「力を伝える」がポイントです。
まずは、ピアノの音が鳴る仕組みを簡単にお話させていただきます。
ピアノは、鍵盤を押して生まれたエネルギーが様々なパーツを通し伝わり、エネルギーが弦まで届き発生した音が響板などで増幅し、空気振動によって耳まで届く…。
と、なんだかややこしい話ですが、最後(私たちの耳)まで力が伝わることで音が鳴るのです。
「力を伝える」とはどのようなことなのかも一緒に考えながら、ご覧ください。

打弦距離とは?

打弦距離はハンマーストロークとも呼ばれています。
ハンマー先端から打弦点までの距離のことです。

打弦点とは、その名の通り弦でハンマーが当たる部分のことです。
弦は上から下まで長く張られていますが、ハンマーが打つ場所はたった1点なのです。

打弦距離を基準値に合わせます。
基準となる寸法はありますが、ピアノの個体差によって数ミリ異なる場合があります。
その中で、最善値を取ることで弾きやすいタッチやアクションの運動量を出していきます。

計測方法談議!

ここで突然ですが、先日ピアノセレクションセンターであったお話をさせていただきます。
私たちピアノセレクションセンターのピアノ調律師は月に1度集まり、ミーティングをしています。
その中で、「打弦距離をどのように計測するか」という話題が挙がりました。
マニアックですね〜(・ω・)

打弦距離の計測方法はいくつかあります。

そのままの状態でハンマーと打弦点の間をスケールで計測する方法。

ハンマーのおしり部分(ハンマーヘッド)にスケールを当て、ハンマーを打弦点まで動かして、その距離を計測する方法。


両方で計測したり、どちらかだけであったり、技術者によって異なりました。
いやいや、どちらの計測方法もやっていることは同じでは…?と思われるかもしれませんが、実は前者は直線で計測するのに対して、後者はハンマーの動きにあわせて少し弧を描くように計測するため後者のほうが少し長くなるのです。この差を理解したうえで、計測をおこない距離を合わせます。
と、このように日々意見交換を行ないながら、励んでいるというわけですね。
距離の取り方ひとつでも、こんなにも奥が深いのです。

ハンマー調整

ハンマーは音の数と同じだけありますので88鍵分です。
ハンマーは前後に動き、運動量も多い部分です。
最初はきれいに1列に揃っていたハンマーも、経年変化や温度湿度によって「走り」といわれるねじれや、ずれが生じます。
そのため動く方向が揃っていないと、隣のハンマーとの接触や傾きによって、ハンマーが均一に弦へ当たらず力が減少してしまいます。

1.間隔・角度の調整

間隔を揃えるために、ネジを1度緩めてフレンジの角度合わせや、シャンクプライヤーという工具を使用して熱を加えて角度を変えます。

*動画もあるので、ご覧下さい。(ハンマー調整:シャンクプライヤー)

2.“走り”の直し方

ハンマーを前後に動かすと、左右にずれて動くものがでてきます。
これらを並行になるように、元に戻します。
使用するのが、のり紙です。

この細長い紙には接着剤がついているので、ハンマーフレンジの裏に貼ります。

フレンジの裏側に貼ることで、のり紙の厚みによってハンマーの傾きを変えることができます。
動かしたい方向に、調整して全体が並行に動くようにします。

このようにして、ハンマーの調整をおこないます。
間隔を揃えることで、しっかりと弦に当たるようにします。

ウイッペン調整

ウイッペンは鍵盤の先に付いているキャプスタンボタンの上にあり、鍵盤とアクションのつなぎ目にあります。
キャプスタンボタンの真上にウイッペンがくるように合わせることで、鍵盤から伝わる力を余すことなく伝えることができるのです。

おしまい

「力を伝える」なんとなくご理解していただけたでしょうか?
ピアノの中では、テコのように様々なパーツが力を伝えているのですね。
今回の調整はみなさんが弾いた力を最大限に音へと変えるために重要な部分です。
このような細かい作業をすることで、いいタッチ・いい音に繋がるのです。

次回のピアノ再生物語(第16回)は、ハラキに代わって調律師カワイが整調「キャプスタンボタン調整・ならし・あがき」についてご紹介させていただきます。
ならし・あがき、気になる言葉ですね〜。
では、また(・ω・)

島村楽器ピアノセレクションセンターについて

ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
フロアには、新品・中古ピアノ、アップライト・グランドピアノを合わせて常時100台以上を展示しております。また、専用工房ではピアノの調整・点検・修理を行い、アフターフォローにもお応え致します。

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