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2011 買付旅行記その11 モンドムジカでの出会い

こんにちは!川崎ルフロン店アドバイザーの石井です。「2011 買付旅行記」と題して、ヨーロッパでの買付けの模様や旅先での様子をお伝えしています。

今年のモンドムジカの会場は、いつもとは若干趣向が変わり、はじめてのピアノ展示がありました。それも入口を入ると目の前がピアノブース。ベーゼンドルファーを傘下におさめたヤマハもブースを出している他、ヨーロッパのいくつかのメーカーが出展していました。ピアノも広義には「楽器」ということでしょうか。

ピアノを横目にしながら中に進んでいくと、赤を基調としたお馴染みのモンドムジカ会場が現れます。モンドムジカでの最大の目的は、イタリアの各地方に散らばっている新作の製作家に会って楽器を見せてもらうことです。イタリアと一口に言っても東西南北、実に様々な土地で製作がおこなわれており、なかなかすべてをまわりきることは出来ません。そこで、モンドムジカには各製作家がブースを出展したり、情報収集の目的で皆が集まっきます。さらに、事前にオーダーしておけば会場で顔合わせ+選定という流れをとることも出来ます。

今回も当社で人気の高いMaurizio Tadioli(マウリツィオ・タディオリ)やAndrea Zanre(アンドレア・ザンレ)、Andrea Schudtz(アンドレア・シュッツ)など、事前にオーダーしていた新作メーカーに楽器を見せてもらい、試奏をしてからいくつか購入しました。それぞれの製作家が半年間で作り上げたいくつかの楽器を試奏したところ、これが結構ばらつきがありどれもが個性的。新作と言ってもやはりハンドメイドなので、すべて同じではありません。いつものように状態をチェックし、「これは!」というものを選定しました。

新作メーカーのなかで、今回はじめて購入したのがErisa Scollavezza(エリザ・スコラベッツァ)の作品です。

 

エリザさんは現代イタリアの巨匠Renato Scollavezza(レナート・スコラベッツァ)の弟子であり愛娘です。また、数年前にアンドレア・ザンレと結婚して今は共同製作を行っています。彼女の楽器は、夫ザンレの甘美で広がりのある音色とはまた違い、艶のある洗練された一本筋の通った美しい響きがとても魅力的です。彼女の凛とした感じがそのまま楽器に現れているように感じました。

二人はハムで有名なパルマを拠点として製作を行っていますが、クレモナの製作家とはまったく違った個性を持っています。同じくレナート・スコラベッツァの弟子であるMarcello Bellei(マルセロ・ベッレイ)もモデナを拠点として活動していますが、やはり強烈な個性を持った楽器を作っていてとても魅力的です。(今回も購入してきました。)

レナート・スコラベッツァの製作指導は少し変わっていて、技術の細部を教えるのではなくかなり自由。製作家の「センス」に問いかけ、それを引き出すということなのですが、話を聞いていると日本プロ野球界の巨匠・長島監督に通じるものがあるなと感じました。

レナート門下の個性的な楽器たちとクレモナの名工タディオリやシュッツの楽器それぞれの良さをお楽しみいただければと思います。

ぜひ、楽器フェスタの会場で弾き比べてみてください!

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