こんにちは。Web担当のサトウです。
ギターリペア・管楽器リペア・弦楽器リペアの総合案内サイト『島村楽器のリペア』で配信している記事の中から、おすすめの記事をご紹介します。
ギターリペアのなかでもよくご依頼いただく「ナット交換」について、ギターリペア工房の中野がわかりやすいイラストと共に解説しました。
リペアマンからやったほうがいいと提案することも多いそうです。どんな理由があるんでしょうか?
それでは早速ご覧ください!
みなさま、こんにちは
今回ご案内するのはよくご相談を頂く、そして、よくご案内をさせて頂くことも多いあの修理…!
ナット交換についてイラストを絡めつつ解説させて頂こうかと思います。
ナットの素材で音色が変わる?!
既に修理事例として、このブログにも幾度か登場しているナット交換ですが、ご相談を頂く理由は様々です。
ご使用の際に破損してしまった事で交換のご依頼を頂くのはもちろん、カスタマイズとして音色を変える目的で違う素材のナットに交換することもあります。
ナットは弦を支え、音を決める重要なパーツの一角なので、この素材が変わると音色のカラーも変わるんですよ!
あくまで個人的な感覚に基づくものなので一概には言い切れませんが、樹脂やプラスチック等やわらかめの素材であれば丸い音、金属等の硬い素材であれば硬質で高域が強くなる印象があります。
上の画像は左からブラックタスク、ブラス、オイル漬け牛骨、漂白牛骨、象牙です。この他にもカーボンやチタン素材での製作依頼を頂く事もあります。
こんなときにはナット交換をオススメしています
また、ナット交換は調整のご相談を頂いた際に併せてご案内させて頂くことが多い修理のひとつでもあります。
この場合によく挙げられる交換理由は主に3つ。その1:弦の周辺に破損がある
ひとつは弦の周辺に欠け等の破損が見受けられた場合。特に0フレットと呼ばれる指板側の面に欠けや割れが生じているとオクターブが合わなくなったり、チューニングが狂いやすくなる、といった症状に繋がります。
その2:ナット溝と弦のゲージ(太さ)が合っていない
つぎにナット溝と弦のゲージが合っていない場合。
弦交換を行う際、元々張っていた弦よりもゲージが大幅に変わると特に目立つのですが、ナット溝に弦対して弦が太すぎるとチューニング時、溝の淵に弦が引っ掛かり切れてしまう原因になったり、逆に細すぎると開放音が抜けてしまったり、という不具合に繋がります。弦ゲージに対してナット溝が狭い場合であれば、溝のは簿を広げて対応できることもありますが、
広い場合は溝を削り足す必要が出てくるので、基本的には新しいナットへ交換のご案内をさせて頂く事が多いです。その3:ナット溝が摩耗して低くなっている
そして、長年愛用されている楽器に特に多いのがナット溝の磨耗による交換のご案内です。
ナット溝は常に弦と接する状態にあるため、その接点は常に摩擦の影響を受けています。
稀に例外もありますが、殆どの楽器の場合、ナットは弦よりも軟らかい素材で作られています。この為、弦がチューニングや演奏で動く度、ナットの溝は少しずつ削れていってしまうのです。
ナット溝が低くなると、ナット側の弦高が下がります。すると徐々に弦がフレットに近づき、開放状態で弦を弾いた際、弦がフレットに接触しビビりが発生します。
極端にナット溝が低い場合には、弦が常に1フレットと接する状態となり、1フレット押弦音と開放音が変わらなくなります。
逆にナット溝が高すぎると、ローポジョン側の弦とフレットの距離が広がるため、押弦するのに余分な力が必要となりストレスを感じたり、弦を押さえる指に上手く力が入らずビビリが出てしまったりします。
溝が高すぎる分には削ることで改善できることも多いですが、低く削れてしまったものを戻す事は出来ないので、調整を含めたナット交換のご案内をしています。図解でわかる!~ナット交換編~ - ギターリペアブログ - 島村楽器のリペアまとめ
私たち技術者は押弦のしやすさと出音のバランスを取りながら、楽器の状態、プレイヤーの奏法に合わせたナット溝の微調整を行っています。
もちろん、ご要望頂いた数値に合わせてセッティングすることも可能ですので、ちょっと演奏しづらいな、開放音にビビリが混ざりやすい気がするな、等
少しでも気になる所があったらお気軽にご相談ください!
この記事を書いた人
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