皆様Buongiorno‼︎
島村楽器グランフロント大阪店店長、弦楽器アドバイザーの古西です。
フィレンツェ編、続いては3代に渡りバイオリンの製作の伝統を継承し続けている弦楽器製作名門家系のPaolo Vettori & Sons 工房を訪問しました。
長男Dario Vettoriとマイスター茂木
出迎えていただいたのは、Paolo Vettoriの長男Dario Vettoriと次男のLapo Vettori。
基本オーダーである為本日は弾ける楽器はありませんでしたが、製作中のガルネリモデルのバイオリンを見せて頂きました。
また地下の工房にも入れていただき、彼の伝統の製作方法と貴重な材料について説明してもらったところ、マイスター茂木は興味深々。怒涛の質問責めに合うベットーリ兄弟。早口で英語が飛び交い全くついていけていない筆者ですが、
何と‼︎200年以上古い木材をふんだんに使用しているようです!
こんな最高級の木材をどうやって手に入れているか聞いてみると、ルネサンス時代からフィレンツェという町の歴史上、地震など災害もなく、建物がずっと古く残っている為そこからバイオリンに最適な木材を確保できるとのことです。
これは流石のクレモナの製作家でも真似ができません。
彼らが使っている楽器の型はビジャッキ・スデルチなどのオリジナルのストラド、ガルネリからとった型を受け継いで使っています。
流石3代に渡り継承してきたならではの伝統製作です。
後日クレモナモンドムジカで弟のLapo Vettoriのバイオリンを弾くことができました。全体的に非常にパワフルな音量感と200年前の最高級の木材を使用していることもあり音がすでに弾き込まれた深い音色がします。新作にも関わらず最高の逸品でありました。堪らずオーダーしてまいりました。春に一度仕上がりを確認です。皆さまお楽しみに!
今回はベットーリファミリーとも関係が深い、フィレンツェの名工達のバイオリンを吟味することが出来ました。
フィレンツェには個性豊かな素晴らしい製作家が多数います。クレモナでは製作家の紹介の本は無数に存在しますが、クレモナ以外の地域のものはほとんどありません。しかしここフィレンツェでは、日本にはまだまだ知られていない、隠れた名工がたくさんおられ、フィレンツェだけで製作家が紹介された本が出ています。
その中でも衝撃を受けたバイオリンがこちらです。
Luigi Ercori,2016,PISTOIA(Firenze近郊)
フィレンツェの製作者の本に紹介されています。
エルコリ氏は1956年生まれで、若い頃はクラシックギターの製作家でありました。1992年にGuido Maravigriaに弟子入りしバイオリンの製作を始めます。そして2000年に独立しクラシックギター製作のノウハウも活かした、非常に素晴らしいバイオリンを製作しています。
マイスター茂木も非常に気に入りなかなか離しません。
このバイオリンの特徴は、すでに弾きこまれた様な成熟された音色がします。イタリアバイオリンの華やかで明るい印象も残しつつ、落ち着きがあり、しっかり芯のある音が出るもののどこか柔らかい非常に癒されるバイオリンです。
そして2本目はこちら。
Stefano Marzi,2016,Bibiana(Firenze近郊)
家具職人であったマルツィ氏は、パオロ・ベットーリに弟子入りしバイオリン製作を始めます。3代に渡り製作の伝統を継承し続けるベットーリの製作技術の元、現在は独立。非常に素晴らしいバイオリンを製作されています。
ベットーリファミリーと撮影。前列右側がマルツィ氏
非常にパワフルな音量感で、すごい弾きやすい!!また、音も落ち着きがあり非常に魅力的なバイオリンです。
ベットーリファミリーとの製作談議から吟味に吟味を重ね選定を繰り返し、あっという間の4時間でありました。
ちょうど選定が終わった後に、マイスター茂木と駆け付けたパオロ氏とダリオ氏とで買い付けたバイオリンを片手にパシャリ!!
フィレンツェで素晴らしい製作家と楽器に出会うことが出来ました!
この後、ダリオ氏がフィレンツェを案内してくれるとのことで市内を観光。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会
ルネサンス時代よりアルベルティが手がけ、その後500年の月日をかけて造られてきた歴史ある教会。見た瞬間圧倒されてしまいました。
またイタリア、ベレツィアの歴史に浸りたいと思います。
それでは次はジェノバ編でお会いしましょう!