皆様こんにちは!島村楽器みなとみらい店 弦楽器アドバイザーの石井と申します。この春、弊社マイスター茂木顕、島村楽器シマムラストリングス秋葉原 リペアマン鍵主有三と3人で、皆様にご紹介する楽器を買い付けて参りました。今回は、プラハ、パリ、ブリュッセル、フランクフルト、そしてクレモナと各所を訪れ、たくさんの楽器・弓・人と出会うことが出来ましたので、報告させていただきます!
今回買い付けてきた楽器は、4月29日から秋葉原店を皮切りに全国をまわる弦楽器フェスタにてご紹介させていただきますので、どうぞご覧ください。
パリに拠点を構えつつ、日帰りでベルギー=ブリュッセルへの買い付けに旅立ちます。
今回は高速列車タリスを利用。1時間半ほどで到着しました。
空港到着後、タクシーをピックアップして、まずは弓造りの巨匠でありディーラーでもあるPierre Guillaume(ピエール・ギヨーム)氏の工房に向かうことにしました。
親日家で日本のゲーム大好きというタクシードライバーに送ってもらい、無事に到着。
今回も丁寧に調整され美しく仕上げられたオールド弓をたくさんご用意いただきました。
ひとつひとつ入念にチェック・・・しようと思ったら松脂が塗っていなかったので、ギヨーム氏に松脂を借りようとしたら、何やら怪しいビンを差し出されました。
じつはこちら、松脂をアルコールで溶かしたもので、これをハケで塗ると、すばやくしっかりと松脂をのせられるそうです。
試奏に使わせてもらった楽器がまた素晴らしい!特にこちらのチェロ。オールドイタリーの巨匠David Tecchler の作品。選定そっちのけで、ずっと弾いてしまいそうになるほど良かった!こういう楽器を、持ち帰りたいのですが力及ばず、、もう少し時間がかかりそうです。
良質なオールドフレンチ、オールドジャーマンを何本か購入することが出来ました。中でも一押しはこちら!
Joseph Arthur Vigneron, France - Paris, 1880ca
強弓で知られるヴィネロンですが、こちらも、たぶんにもれずコシのある弓。ギヨーム氏が用意してくれたモダンイタリーが、こちらの弓だとまったく違う表情を見せてくれました。状態も完璧!文句なしの名弓です。
弓の買い付けも終わり、ギヨーム氏と奥様がお昼をご一緒してくださることになりました。
工房近くのレストラン。オペラハウスをモチーフにしたという趣のあるお店でした。
料理もとても美味しかったのですが、なんといってもこちらのデザートが抜群でした!アイスクリームに温かいベルギーチョコをかけて食べるこちらは、このお店の名物だそうです。
このようにかけて食べます。思わずニヤリ。今回の買い付けのベストスイーツに選ばれました。
帰り際、少しだけ町を案内してくださるということで、広場まで送っていただきました。
そこらじゅうにチョコレートのお店が。日本にもたくさん来ていますが、まだ進出していないお店もたくさんあるそうです。
美しすぎる街並みに、とにかく驚かされました。クリンネスも行き届いていて、静かで、神秘的な街という印象でした。日帰りなので、ベルギービールを堪能できないのが残念。
ギヨーム氏いわく、夜のビールを飲まないと、ベルギーは語れないそうです。次は泊りがけで来るようにと、ご指示いただきました。そうします。
日本にはないというこちらの店で、ちゃっかりお土産をゲット!
続いてギヨーム氏の工房で学び、独立した若手製作家のVictor Bernard(ヴィクトール・ベルナール)氏の工房にも足を運びました。
新作の製作をされていて、この日はすでに売約済みという弓をいくつか見せてもらいましたがどれも素晴らしい!フロッグや半月といったパーツもすべて手作りで行っているそうです。確かにどこの部分の仕上がりを見ても、イタリアの高級車のような美しいラインで見ていて飽きが来ない、といった印象です。
今回のフェスタでは事前にオーダーしていた弓が入荷します!
Victor Bernard Bruxelles 2015 Violin Bow
ベルナール氏は、2014年に難関とされるドイツ=ミッテンヴァルドのコンペティションでヴィオラ弓でゴールドメダル、チェロ弓でブロンズメダルをダブルで受賞。その他にも数々のコンペティションで受賞しており、その高い製作技術と類まれなるセンスが、急速に世に広まりつつあります。
若手製作家の中で、今もっとも注目すべき人物ではないかと思います。今後の活躍が楽しみです。
こだわり抜いた新旧の名弓が、今回のフェスタでもご用意出来そうです。是非お試しください。
選び抜かれた弦楽器が一堂に会する祭典「第20回 弦楽器フェスタ」10店舗で開催!
テーマは「Paganini & his Guarineri “ Canone “ パガニーニのカノンガルネリ」
19世紀最大のバイオリニスト、パガニーニが愛用したバイオリンがガルネリでした。その強烈な個性でついたあだ名が「カノン砲(大砲の意味)」。今回そのガルネリモデルを、現代イタリアの名工が見事に再現した名品をご紹介します。同時に現地で選りすぐった様々な個性のモダン~新作の楽器と弓もご用意して、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
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