みなさんこんにちは!5回目の登場になります 島村楽器ピアノセレクションセンター ピアノ調律師のカワイです。
ピアノ修理のご紹介も、とうとう終盤に差し掛かってきております。
今回は「修理 白鍵上面の交換」をご紹介いたします!
以前第4回の記事で「鍵盤木口交換」をご紹介させて頂きました。
今回も同じく鍵盤の修理ではございますが、上面の交換でございます。演奏者が一番多く触れるこの場所を、美しく生まれ変わらせていきましょう!
まずは修理に必要な道具のご紹介です♪下写真をご覧下さい。
主な道具は・・・
- バケツ
- タオル
- アイロン(家庭用)
- 薄刃(うすば)
- 筆
- 専用接着剤
- 交換用の新しい白鍵
- 鑢(やすり)
バケツ・タオル・アイロン・薄刃は古い鍵盤を剥がすのに使用し、筆・専用接着剤・白鍵・鑢(やすり)は新しい鍵盤を貼り付けるのに使用します。
道具も揃いましたので準備完了です。さっそく交換をしていきましょう♪
上写真をご覧下さい。
鍵盤の上に載っているのが新しく交換する白鍵盤上面のパーツです。
鍵盤は木に貼り付けてあるだけなので、白鍵盤上面自体は薄いですね。
今回の修理は、これを剥がして新しい白鍵を接着すれば完了となります。
ではまず接着されている鍵盤を剥がしていきましょう。
バケツに水を入れ、濡らしたタオルをほど良く絞って・・・
鍵盤の上に濡らしたタオルをのせて、その上からアイロンを当てて蒸気と熱で剥がしていきます。
「ジュー!」と気持ちよい音と共に蒸気がモクモクと上がります。
次に鍵盤が熱くなった状態で、下写真のように鍵盤上面と木部の間に薄刃を入れていきます。
少し中に入りましたね。徐々に剥がしていきましょう。
古いピアノは場合によって接着剤が硬く固まってしまって、この剥がす作業がうまくいかず白鍵がバキバキッ!と割れたり木がボロボロになってしまうなど大惨事になることも・・・(><;)
どれだけ熱を加えてどのタイミングで剥がすと綺麗にいくかは、技術者の腕にかかっております!
続いて剥がした面を鑢(やすり)で整えます。力加減で平面をキッチリと出すことが大切です。
次に貼り付ける白鍵の裏面にも鑢をかけておきます。これは接着力を上げる為です。
ここで専用接着剤の登場です♪左側が接着剤で右側が筆洗い用のビンです。
白鍵を溶かしたものなので白鍵と溶け合って固まり、接着力は強力です。
筆ですばやく接着剤を塗っていきます。
一度貼り付けたら剥がれないのでやり直しはききません。
緊張の瞬間ですが、平面をしっかり出せばピッタリと綺麗に接着することができます。
貼り付けたらずれないように固定して接着剤が乾くのを待ちます。
乾いたものが上写真です。ギュッと固定するので横から接着剤がはみ出ていますね。
次にこの横にはみ出た接着剤を鑢でまっすぐ削っていきます。
ここで鑢をかけすぎると鍵盤がどんどん細くなって、ピアノに組み込んだときに鍵盤同士の間隔が直線にならず美しくありません。力加減が大切になります。
上写真のように横から見ても隙間が無く、ピッタリくっついていれば合格です。接着剤の量が少なすぎても隙間ができてしまうので注意が必要です。
以上で完成です!!
一連の作業を動画でも撮影してみましたのでぜひご覧下さい♪
ピアノ一台分の鍵盤上面交換は約1日〜2日かけて丁寧に美しく仕上げます。皆さんのピアノの鍵盤も真っ白にすることができますよ(^^)修理・調律のご相談はぜひ島村楽器ピアノセレクションまでどうぞ♪♪
次回は私に変わりまして調律師のハラキが「バカネジ・埋め木修理」についてご紹介致します!バカネジとは一体何なのでしょうか・・・(注意※悪口ではありません(笑))お楽しみに♪
ピアノ再生物語「ピアノはこうして生まれ変わります」シリーズはこちら
- 第16回「キャプスタンボタン調整・ならし・あがき」
- 第15回「整調3 打弦距離・ハンマー調整・ウイッペン調整」
- 第14回「整調2 ネジ締め・鍵盤整調・ピン磨き」
- 第13回「整調1 整調とは何か」
- 第12回「修理10 ダンパーフェルト交換」
- 第11回「修理9 ネジ穴不具合・埋め木修理」
- 第10回「修理8 白鍵盤上面交換」
- 第9回「修理7 ハンマーファイリング」
- 第8回「修理6 張弦」
- 第7回「修理5 センターピン交換」
- 第6回「修理4 ハンマー膠切れ」
- 第5回「修理3 フレンジコード・ブライドルテープ交換」
- 第4回「修理2 鍵盤木口交換」
- 第3回「修理1 ブッシングクロス交換」
- 第2回「中古の魅力大公開!ピアノクリーニングと中学生職業体験」
- 第1回「バフがけ!!」
島村楽器ピアノセレクションセンターについて
ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
フロアには、新品・中古ピアノ、アップライト・グランドピアノを合わせて常時100台以上を展示しております。また、専用工房ではピアノの調整・点検・修理を行い、アフターフォローにもお応え致します。