島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

映画化記念「BECK」サウンドを機材から分析!

こんにちは。バイヤー タナカです。

連日の猛暑の中、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

健康のため(本当は電気代節約のため)自宅でのクーラー使用を固く禁じているタナカは案の定、寝苦しい夜を過ごしています。
寝付けない夜にはハードディスクに録り溜めておいたテレビ番組をひたすらザッピング。
思わずぼーっと見ながら夜更かししてしまうことも。
そんなわけですっかりテレビっ子になってしまいました。

そういえば最近テレビを見ていると気になる映画のCMが流れていますよね。
そう、その映画とは・・・

2010年9月4日(土)劇場公開 映画「BECK」

www.youtube.com

ふふふ・・・実は、タナカは先日この映画「BECK」の試写会に招待されまして
みなさんよりひと足はやく、熱いライブを堪能させていただきました!
詳しい映画の内容は残念ながらお伝えすることはできません。
是非、劇場にて体感していただければと思います。
ひとことだけ言わせてもらえば、とにかく夏の暑さが気にならないほど熱い!
そんな熱いシーンが満載の映画に、タナカは大満足でした。

そんなわけで今回は「BECK」にスポットを当てて
そのサウンドの秘密を使用機材の特徴から探ってみたいと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、念のため。

「BECK」とは・・・

1999年から2008年まで月刊少年マガジン(講談社)にて連載されていた作者ハロルド作石による漫画作品。全34巻、好評発売中です。

原作は、概念を打ち破る臨場感!!

音楽を題材とした漫画といえば、
実写映画化やTVアニメ化されたことですっかり市民権を得た「のだめカンタービレ」、「NANA」、「けいおん!」、「ソラニン」など多数ありますが、BECK連載当初の音楽漫画の可能性はまだまだ未知の分野でした。

音楽マンガというジャンルに果敢に挑戦した作品はもちろんBECK以前にいくつもあったのですがどれも大きなヒットには結びつきませんでした。
ヒットしなかった一番の原因はやはり絵だけでは、肝心な音が読者に伝わらなかったこと。
そんなことから、音楽マンガはヒットしないというのが漫画業界の暗黙のルールと言っても過言ではありませんでした。

しかし、BECKのライブシーンは今までの概念を打ち破るがごとくとにかく読んでいて興奮!ライブ前の緊張感、ステージに上がったときのオーディエンスの歓声、実際に目の前で演奏しているかのような描写は今までの音楽マンガにはない迫力があるんです!

タナカの個人的な意見になりますが多数存在する音楽マンガの中で、演奏シーンの迫力はやはりBECKが一番ではないでしょうか?
演奏シーンにかけるページ数も多く、作者の並々ならないこだわりが伝わってきます。

BECKの連載開始当初は、タナカ自身も高校生から大学生にかけて一番バンドに燃えていた時期。
親近感のようなものもあり、非常に楽しみにしていたマンガのひとつでした。バンドマン必読ですね!

サウンドの秘密と使用機材の特徴

そしてBECKを読んでいて気になるのはやはり音!読者はだれしもがBECKサウンドを頭の中で想像していたことと思います。
コユキの声はどんな声だろうか、竜介のギターはどんなに迫力があるのか、そして平君のベースはどんなにファンキーなんだと。
タナカもこんな感じの声だ、あんな感じのギターだと実在のミュージシャンに例えてバンド仲間と議論したことがありました。

その想像していた音をより具体的にするために、今回は使用機材の紹介とともにそのサウンドの秘密に迫ってみたいと思います。
ちなみに映画は原作コミックスの第1巻から第10巻までの内容ですので、その中で登場した機材の中でBECKメンバーが使用したものを中心にお届けいたします。
(ここで紹介する楽器は原作をベースとさせていただきます。)

コユキ編

BECK原作の主人公であり、映画では佐藤健さんが演じております。
通称コユキこと田中幸雄がギタリスト竜介と出会うことをきっかけにギターをはじめ、そしてボーカリストとしての才能を発揮していくことで物語は進んでいきます。
コユキは連載開始当初は完全な初心者のため、日々の練習シーンはギタリストならば誰しもが共感できましたね。

そんなコユキの代名詞とも言えるギターがこちら


フェンダーUSA テレキャスター

このギターを手に入れるためにコユキはアルバイトを頑張っていましたね。
手に入れるための苦労があればあるほど自分の楽器を手にしたときの喜びも強くなりますよね。
ちなみに画像のテレキャスターは「'52テレキャスター」というモデルです。実際に漫画の中でコユキが使用していたモデルはボディカラーが黄色く、ピックガードはホワイトのものを使用していました。

テレキャスターの特徴はなんといってもシングルコイル・ピックアップを活かした澄んだ高音域。
音質が硬くはっきりとした音で独特のアタック音が大きな特徴です。

そして物語当初コユキが最初に手にした本格的なエレキギターがこちら

グレッチ ホワイトファルコン

コユキがアルバイトをしている「斉藤紙業」の経営者斉藤さんから貸してもらったギターです。
斉藤さんはBECKの登場人物の中で個人的にかなり印象深い良いキャラクター。
映画ではカンニング竹山さんが見事に好演しております。

ホワイトファルコンは世界一美しいギターとの呼び声も高い機種です。
初心者だったコユキが最初に持つエレキギターとしてはかなり立派。斉藤さんかなり太っ腹ですね。

一言でホワイトファルコンといってもボディの形やアームの種類が異なる機種が多数発売されております。
ちなみにこちらのモデルは「G7594 White Falcon II」。斉藤さん使用モデルとは若干ノブの位置やスイッチ部分が異なりますが現在手に入るモデルの中ではスペックや外見が1番近いと思われます。
ちなみにこのモデルも既に生産終了しており在庫分のみとなっておりますのでお探しの方はお早めに!

特徴としては、まず滑らかなダブル・カッタウェイが目を惹きます。
ボディがアコースティックギターのように空洞になっているホロー・ボディーに2個のハイ・センシティブ・フィルタートロンピックアップを搭載しています。
電気的な雑音をシャットアウトしながらも温かみのあるトーンや高出力で非常に伸びのあるサステインが気持ちいいですね。

竜介編

コユキがギターをはじめるきっかけを作った人物であり、物語のキーパーソンでもある南竜介。
このエントリを書くために漫画「BECK」を読み直してびっくりしたのですが、竜介って初登場時16歳だったんですね。
16歳とは思えないほどギターがうまく、そして音楽に関しては人一倍真剣で情熱的。
映画では竜介が主役を務め水嶋ヒロさんが演じております。
そんな竜介の使用ギターといえばこれ。

ギブソン レスポール

ストーリーの中でも竜介は様々なタイプのレスポールを弾いていました。
レスポールの基本的なデザインはハイフレット部が弾きやすいようにボディが削られたシングル・カッタウェイシェイプ。
ピックアップにはフロントとリアにふたつのハムバッカータイプを搭載しています。甘く太いずっしりとした気持ちよい低音が特徴です。
画像はギブソンレスポールですが、現在は様々なメーカーからレスポールタイプのギターが発売されており、カラーやスペック違いのものまで選択肢が充実しております。

また、竜介が持っているレスポールの中で物語でも重要な役割を担うギターが「ルシール」。ボディに拳銃で撃たれた7つの弾痕がある1本。フロント・ピックアップは壊れて音が出ていない状態なのにすさまじい音がするといういわくつきのギターです。

「ルシール」という名前の由来はブルースギタリスト・BBキングが使用していたギターからでしょうか。有名な話ですが、BBキングは使用ギター全てに「ルシール」と名づけています。

なぜ、BECKにでてくるレスポール「ルシール」はボディに穴があいていて、フロント・ピックアップの音が出ないのに良い音がするのか?
残念ながら理論上は有り得ません。
ボディに穴が開いてしまうと、音はもちろん悪くなってしまいます。
当たり前ですが良い子は真似しないように(笑)

平君編

平君は「君」付けにしないとやっぱりしっくりこないですね(笑)。
メンバーの中で一番年上ということもありバンドのまとめ役。冷静な性格ながら日本人離れした一流のベースプレイが印象的です。映画では向井理さんが演じております。
平君の使用楽器といえばやっぱりこれ!

ミュージックマン スティングレイ


「日本人のくせになんてファンキーなんだ」でおなじみの平君。
「ペキペキボンボン」とマンガ上では音を表現しておりますが、実際にでる音もまさにペキペキボンボンサウンドです。スティングレイの特徴は、他のベースに比べ音が硬く、メリハリのついているサウンドなのでバンドの中でも非常に目立ちます。パンチのあるサウンドで、ロックやファンクに向いており、特にスラップ奏法に威力を発揮するベースです。

漫画からは初となるシグネイチャーモデル発売中!

ここまで使用楽器を中心に紹介してまいりましたが、なんとBECKキャラクター使用楽器を再現したモデルも好評発売中です。

コユキ シグネイチャーモデル

フェンダー・ジャパンからコユキのシグネイチャーモデルのギターが現在2本発売されています。漫画のキャラクターのシグネイチャーモデルが発売されるのはBECKが初めてのこと。改めて人気の漫画なんだと実感させられますね。

FenderJapan TL68-BECK

FenderJapan MG69-BECK/CO


コユキおなじみのテレキャスターに加え、物語後半で手にすることになるムスタングの2種類が発売中です。両機種ともに原作のカラーを再現。特にテレキャスターのカラーは他のモデルにはないカラーリングなので原作ファンでなくてもそそられますね。
そしてヘッドの裏にはこんなロゴまで!

両モデル共通の特徴でヘッド裏にこのロゴが入っています。バンド名BECKの由来でもある犬「ベック」がロゴに組み込まれており、アクセントになっています。

気になる価格は・・・

TL68-BECK ¥75,800(税込)
MG69-BECK/CO ¥86,100(税込)

となっております。

平君が使用するモデルを再現したモデル

映画公開に先駆けてこの夏、平君が使用していたミュージックマン・スティングレイをもとに
スターリンから再現モデルが発売されました。

サウンドは本家スティングレイゆずりの音楽を支える重厚なボトムエンドをもった鋭く存在感のあるトーン。このベースでファンキーに弾けば気分はすっかり平君です!

こちらの価格は・・・

RAY34/R WH ¥92,400(税込)

となっております。

まとめ

BECKには様々な魅力的なキャラクターが登場します。そして彼らが使用している楽器達もそれぞれ違ったサウンドキャラクターを持っています。

今回はBECKメンバーの使用モデルを中心にお届けしましたが物語にはここでは紹介しきれないほどの楽器や機材が登場します。実在する楽器が使用されているのでキャラクターとともに使用楽器にも注目してみてはいかがでしょう。よりBECKの世界観を楽しむことができると思いますよ。

BECKの劇場公開は2010年9月4日(土曜日)。
また、機会があればBECKメンバー以外の機材にも注目して紹介してみたいと思います。

BECK 全34巻完結セット (KCデラックス)

BECK 全34巻完結セット (KCデラックス)

それではまた来週!

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