こんにちは(^-^)ピアノセレクションセンターのウチヤマです☆
はてなダイアリーでウチヤマが不定期連載をはじめた「調律師の必需品」も2回目に突入しました。今回は調律師のお仕事に直結した調律工具について大公開しちゃいます!!
前回の記事はこちら!!
調律って何?
調律工具についてお話する前に、調律について少しお話したいと思います。
学生さんや会社員の方たちは、指定の病院などで毎年健康診断を受けられていることと思います。これは健康を維持するために、病気を早期発見・早期治療する目的で行なわれています。それと同じように、ピアノも定期的な検診が必要です。
なぜ必要かといいますと、どんなに良いピアノでもどんなに高価なピアノでも、気温や湿度の変化、その他さまざまな環境の変化によって必ず音が変わってしまうものだからなんです。
音が狂った状態のピアノでは、当然のことながら演奏の上達にも悪影響を及ぼします。定期的に調律を行ない、良い音でピアノを弾いていただくことが、ピアノにとっても演奏者にとっても大切なことなんです。
音が変わる理由として、ピアノは木や羊毛など多くの天然素材からできていることが挙げられます。
部品点数として数えると、その数は8,000個!この天然素材でできたこれらの部品は、暑さや寒さにとても敏感です。
梅雨の湿気、冬の乾燥など、ピアノも人間と同じように、四季を感じています。
また、ピアノの弦は音程を保つために、一本あたり90kgの張力がかかっています。一台分として計算すると、20tもの力がかかっていることになります。
その強い力は時間が経つにつれて、少しずつ下がってきてしまいます。その下がってきた音を正しい音に合わせてあげることが「調律」なんです。
それでは、調律工具についてお話をしていきましょう。
調律工具 チューニングハンマー
ピアノの弦が巻きついているチューニングピンにさしてチューニングピンを回す工具で、チューニングハンマーと呼ばれています。
木の部分が持ちてになります。メーカーによってこの持ちての部分は多少ことなりますが、形状は変わりません。
調律工具 チップとレンチ
チップとは、チューニングピンに直接はまる部分で、チューニングハンマーの先端に取り付けて使用します。
チップはチューニングピンの大きさに合わせて交換します。交換する際に使用するのが、写真の右にある黒いクランク状の工具です。これをチップレンチと言います。
チップレンチをチップの口から差込み回すことで、チップを外すことができます。
調律では、チューニングピンの動きを見るのではなく、チューニングピンを動かすことで変化した音を耳で聞き、調整を行っています。
目では確認できないほどのわずかな調整幅で、音は変化します。
そのため調律師は、チューニングハンマーでチューニングピンを大きく動かすことはなく、コンマ何ミリというほとんど感覚的な動きで調律を行なっていきます。
調律工具 音叉
私は音叉を2種類持ち歩いています。ピアノの基音のA(ラの音)を取るための音叉です。
現在ピアノのピッチはA=440かA=442のどちらかになることが殆どです。
ついでではありますが、4月4日は「ピアノ調律の日」だということをみなさんはご存知でしたか?。4月4日が440Hzと数字の並びが同じだからなんです。
みなさんも是非、4月4日はおうちのピアノに調律を入れてあげてくださいね。
調律工具 ウェッジ、ミュートあれこれ
ウェッジ、ミュートとは音消しです。
左の長い木は木ウェッジ、下の赤いものはロングミュート、上の楔型のはウェッジと言い、素材はゴムとフェルトがあります。
ピアノの調律をする上でこれまた欠かせないのがこのウエッジ、ミュートです。これらはピアノの音を止めるためのものです。
「なぜ調律をしたいのに音を止めるのか?」疑問に思うところですが、調律には音を止めることがとても大切になってきます。
弦にミュートをつけた状態
ピアノの弦は1音に対して中音、高音部で3本の弦が張ってあります。その弦のなかで、聞きたい音だけを聞くためにミュートをつけていくのです。3本ある弦の中から1本、音の基準となる音を作り、その基準の音に残りの2本の弦の音を合わせていきます。
このようにして、ピアノの音を一つ一つチューニングハンマーで合わせていきます。
ミュートは音域や用途によって使い分けていきます。
木ウェッジ アップライトピアノの高音部に使用。黄色い部分は革を使用しています。
中音部や低音部に使用。たくさんの弦を止めることができます。
様々な調律工具を見て頂きましたが、機能や使用方法はとてもシンプルです。チューニングハンマーはチューニングピンに差し込むもの。音叉は基音を取るもの。ウェッジは音を止めるもの。これだけのものがあれば調律を行うことができます。
ですが、調律を行うために一番大切なものがあります。それは「音を聞き分けることができる耳」です。いくら調律工具をそろえたとしても、聞き分ける耳がなければ調律はできません。
調律工具にはそれぞれ大切な役割がありますが、それは調律師の手の中で発揮されるものなのです。調律師にとっては、音を聞く耳も調律工具もとても大切なものです。
ピアノセレクションセンターのメンバーはみな、ピアノを楽しむお客様のために、調律工具と音を聞く耳を持っていつも身の引き締める思いで調律にお伺いさせていただいています。
ピアノを弾く方にいつも整った音でピアノを弾いていただきたい・・・それが調律師の日ごろからの夢であり、務めだと私は思っています。
次回、ウチヤマのはてなダイアリーでは、調律工具の中からドライバーについてのお話をさせていただきます。お楽しみに☆
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ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
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