こんにちは♪
はてなダイアリーですっかりお馴染み(といっても2回目ですが‥‥)の、島村楽器ピアノセレクションセンターのウチヤマです♪
今年は急に寒くなりましたね。
毎年猛暑で有名な埼玉県ですが、冬は冬で毎年風がとても冷たいのです(-д-;)お客様のお宅へ調律に伺う際に電車を利用している私にとって、駅から訪問宅までの手袋は冬の必須アイテムになります。
私は寒さがとても苦手なので、冬は動物や虫のように冬眠してしまいたいのですが、なかなか出来ないことですもんね(^-^;)
多くの虫は冬になると冬眠したり死んでしまったりしますが、冬眠しない虫もいますよね。クモとかムカデとか。また部屋の中に住みついている虫だと、暖房でぬくぬくと過ごしていたりもします。ピアノの中に潜んでいる虫もまた、ひっそりと、そして精力的に、活動を続けていることがあります。
今回は、私が毎日接しているピアノの中にいる虫についてお話していきます。
虫の被害情報
アップライトピアノの内部をご覧になったことはありますか?
ピアノには外見からは想像もできないほど多くの木材や、フェルト・皮が使用されています。その内ピアノの音を出すために必要不可欠な「ハンマー」にはフェルトが使われています。鍵盤を弾くとアクションが動いて、キツツキのように弦を叩きます。白くて丸いこれですね。
そのハンマーが虫に食べられていたらどんなことになるか‥‥
ハンマーが虫に食べられてしまうと、音がはっきり発音しなくなることがあります。とくに、弦に接触している部分が虫の餌食になってしまうと、そのダメージは大きいです。弦を上手く叩けず、はっきりと発音できなくなります。ピアノにとって正しく発音されないことは致命傷ですね。
フェルト材は、ハンマーだけではなく他にも様々な箇所で使用されており、それぞれ重要な役割を持っています。それだけに、フェルトが虫に食べられてしまうと様々な症状が出ます。
例えば、雑音防止のためのフェルトが虫に食べられてしまうと、木と金属が直接触れてしまうようになり、カタカタといった異音が発生してしまいます。そうなってしまったピアノは、「不快な音を発する楽器」以外のなにものでもありません。
姫丸鰹節虫=ヒメマルカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシは絹織物や、毛織物、羽毛などの衣料繊維などを餌にしています。弦を叩いているハンマーは羊の毛でできていることから、ピアノの中はヒメマルカツオブシムシにとって食材の宝庫=居心地のよい空間なんです。
ヒメマルカツオブシムシの発生時期は主に春〜秋といわれ、成虫になると花の蜜に集まります。ところが成虫になるまでには長い期間があり、その幼虫期に害をもたらします。また、一度発生すると駆除はなかなか難しいと言われています。
ヒメマルカツオブシムシが発生しないようにするには?
ヒメマルカツオブシムシの幼虫は、暗く風通しが悪く汚れているところを好みます。ですので、これらの発生を防ぐためにはピアノの中を明るく風通しがよくきれいな環境に整えてあげることで、発生率を抑えることができます。
定期的に調律にお伺いさせていただいているお宅のピアノは、調律時に外装を外して換気や掃除を行ないます。このことが、虫の発生率抑制にもつながります。
換気や掃除にあわせて強い味方になるのが、ピアノ用の防虫剤です。
手軽に設置することができますし、効果も絶大!
大切なピアノを虫から守るために、ぜひオススメです。
効果は半年〜1年ほど持続します。
交換については、半年〜1年に1度の定期調律時に担当調律師の方へご相談ください。
ピアノの点検をしましょう
定期調律を半年〜1年に1度行なうことをおすすめしている理由には、このように、調律師というのは音程を合わせる「調律」作業だけではなく、悪い虫が巣食っていないかなどの「点検」作業も行なっているからなのです。
それでも、うちのピアノは大丈夫!などと考えるのは禁物ですよ。
ピアノの中で起きている様々な変化・現象・問題に気付くことができるのはやはり調律師です。
ピアノの中の虫も、身体の病気も、早期発見・早期治療が一番。
大切なピアノを長くお使いいただけるためにも定期的な調律をオススメします。
次回、「ピアノがもっと好きになる簡単メンテナンス」シリーズVOL.3では、「ピアノの設置環境について」のお話をお伝えする予定です。
ぜひお楽しみに!
調律師のウチヤマでした!!
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島村楽器ピアノセレクションセンターについて
ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
フロアには、新品・中古ピアノ、アップライト・グランドピアノを合わせて常時100台以上を展示しております。また、専用工房ではピアノの調整・点検・修理を行い、アフターフォローにもお応え致します。