島村楽器公式ブログ

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ルシアー駒木のギターよもやま話 その66「弾けば風が吹くギター 中編」

皆さまこんにちは!

スペイン料理を再現したくてスーパーに行くのですが、オリーブやオリーブオイルの「スペイン⇔日本」価格差に愕然とするしかない


ルシアー駒木です。

話題のスペインブログ、中編です。お待たせしました。
前編はこちら

blog.shimamura.co.jp

前編の最後でご紹介したとおり、ルシ駒以外は基本的に初めての日本人メンバー。

そこで滞在中に時間を頂き、ビクトー社長がファクトリーツアーをしてくれました。

本当は内緒の写真ばかりですけど、特別にお見せしちゃいましょう!

大きくは2棟あるのですが、そのうちの1棟を2Fから写したのがこの写真。
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ビクトー社長の解説付きツアーです。
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木材は角材の状態から製材し、適切な湿度管理をして保存され、必要に応じて機械乾燥をし、楽器へと姿を変えていきます。
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そういえば、木材乾燥や加工の中に、10年前にルシ駒と一緒に仕事をした時に提供した私の手法が(製造の秘密に関わるので詳細秘密ですけど)今も活用されておりました。嬉しかったあ。


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これらはまさに「スペイン式」と言われる製造工程がわかる写真ですね。ネック材と表板を先に一体となった形にし、そこに側板と裏板をつけていく手法です。
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昔からの手作業用具と、それが進化した機械と、両方使い分けできているのもレイモンドの良さと言えます。
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これ↓なんて、近代設備の最たるものです。レーザーの加工機。
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その一方で、手作業で1本づつ仕上げている部屋もあります。
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昔から変わらぬ工具たちがそこにはあります。
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ちなみにこの部屋の主はこの方。
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Mr.Gimeno Ramon!(ヒメノ・ラモン)

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実は前編でご紹介した「SUPREMA」「ESPECIAL S」はヒメノ・ラモンさんの手によるもの。

とっても優しい方でした。



製材をしていたのは、私が初めてここで仕事をした時からの顔なじみ、
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Cuesta Cesar(クエスタ・セザール)さん
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お互い歳をとりました(笑)

そうだ!折角なので、凄腕職人達を(全員とはいきませんが)ご紹介していきましょう!

指板接着面の加工をしているのは、
Gimeno Franjo(ヒメノ・フランコ)さん
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重要な仕込みをしていました、
Molina Joaguin(モリーナ・ホアキン)さん
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NC機器を操作していたのは、彼も昔からの顔なじみ、
Campos Emilio(カンポス・エミリオ)さん
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Fenandes Pepote(フェナンデス・ペポテ)さんも私をとても懐かしんでくれた一人。
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ヘッドの加工をしていたのは、
Navarro Antonio(ナヴァーロ・アントニオ)さん
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日本では殆ど見る事がありませんが、置いて塗装するのは、スペインでは良く見る手法です。
Gimenes Vicente(ヒメネス・ヴィセンテ)さん
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このヴィセンテが超お調子者のナイスガイ。私の初スペインの時から「こま~きい た~まごっちい~(←たぶん唯一知っている日本語)」と言いながら休憩に誘ってくれたりしました(笑)

今でも仲良し(笑)
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彼らも顔なじみの大ベテラン技術者、
Ramos Enrique(ラモス・エンリケ)さんとMartines Joan(マルティネス・ホアン)さん
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バフ掛けは仕上がりを左右する大切な作業。
Crespo Paco(クレスポ・パコ)さん。
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先ほどのヴィセンテとは双子の兄弟、
Gimenes Alberto(ヒメネス・アルベルト)さん。
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そして、最後の工程を担当していたのは、
Fernandes Arumand(フェルナンデス・アルマンド)さん。
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私は技術者として彼らをリスペクトしています。
勿論「ギターを生み出した国の人たち」ですし、当然その技法にはいつも学ぶことが沢山あります。

ですが凄いのは、その彼らの方から「日本人の技術を見たい」「どうやるのか」といった質問が多い事。彼らには学びたい気持ちがあるんですね。
しかも、私が彼らと違う方法を提示したり、「日本だとこの状態は好まれないんだよ」といったある意味彼らを否定しかねない内容を伝えても、決して「日本人が何を言っているの」みたいにならない。
だからいつでも一方通行にならず「技術交流」になる。

その人間性が何より素晴らしい、それがレイモンドという会社です。


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いかがですか?

私は同業者の中でも工房や工場を数多く見てきた方に間違いなく入ると思うのですが、ここまで「伝統の手法」と「近代の機械」とを併せ持ち、それぞれの良さを理解しているところは知りません。素晴らしい。



私たちは続々と仕上がってくる楽器を1本1本確認していきます。例えば「傷」などはスペイン人はそもそも気にしませんが、日本人は気にしますよね。技術力の上手い下手からくる問題ではなく、カルチャーの差からくるものを検品していく訳です。

ルシ駒の場合、日本に送った後の木材トラブルなども確認のポイントです。
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私自身も一緒に作業します。
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下写真手前はMedina Carlos(メディナ・カルロス)さん。
彼は十数年前から、私たちが行くたびに必ず検査場所のすぐ横で作業スペースを作り、私たちの要望にすぐその場で対応してくれます。
彼無しでは検査作業は成立しません。
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時にしっかりと演奏してみて「音」も検査します。
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特にテルイはこの今回の新レイモンドチーム事業全体をマネージメントする予定なので、念入りに「音」を確認しました。

すばらしきこの「チーム力」!

スペイン人も日本人も一体となって、良いギターを皆さんに届けたい!という想いで時間を共有します。

ランチも大切なコミュニケーション。
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とっても美味しいスペイン料理ですが、
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皆で食べると美味しさも倍増ですね!
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さて、中編はここまで。

次回は街にも少し出てみようと思います!

お楽しみに!

ルシアー駒木でした!!

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