島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

2014年秋 弦楽器イタリア買い付け日記 9月24日号 その1

皆様Buongiorno!!
島村楽器楽器アドバイザーの糸山です。

今日も朝7時にミラノ中央駅を出発、一行はクレモナへ向かいます。
昨夜から間藤が合流し、今日から買い付けは3人で回ります。
気合入れて頑張ります!押忍!

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ミラノ郊外の朝焼け。宿泊先のホテルから。

…とここで、ハプニング発生。
なんと、乗る電車を間違えて正反対の方向へ行ってしまいました。

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モンツァ駅から引き返す一行。

予定よりも1時間遅れでクレモナ入り。そこからマエストロの車で北へ向かうこと20分。

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車窓より。すっかり巨匠をお待たせしてしまいました。。

カザルブッターノという閑静な街に到着です。

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街の中心。Il Comune Di Casalbuttano

それでは、本日のマエストロをご紹介します。
マエストロ・ニコラ・ラザーリ氏です!
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ラザーリ氏と間藤、念願のツーショット。

ラザーリ氏はクレモナ国際バイオリン製作学校卒業後、ジオ・バッタ・モラッシーのもとで10年間務めます。1985年のトリエンナーレでのビオラ部門金賞受賞をはじめとする数々の栄光に輝き、現代クレモナの重要人物の一人として、日本でも大変お馴染みかと思います。

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若くて綺麗なマエストロの奥様と。彼女も非常に優秀な製作家です。

いつも私達の買い付けは10日間で3〜4カ国回るスケジュールのため、クレモナに来ても見本市でのスケジュールに忙殺されてしまい、なかなか憧れのラザーリ氏の元へ足を運ぶことができませんでした。

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製作途中のマエストロの作品を拝見するマイスター茂木。

ラザーリ氏は、一連の製作に機械は全く使用せず、特に木材の製材においては、この昔ながらの伝統的な刃物を使用しております。日本の鋸と刃の向きが逆で、鋸を押して切っていくのが特徴です。

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ラザーリ氏愛用の鋸。

ストラディヴァリウスの型は勿論、オルナティやガリンベルティなどモダンイタリーの素晴らしい先人達のモデルも製作。ある程度決まった制約の中で、ペルソナーレ(自分らしさ)をどう表現するか、やり過ぎず行き過ぎずに表現するのがクレモネーゼの粋。

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ずらりと並んだモルドは、筆者の最近のマイブーム(笑)

昨日セットアップしたばかりの作品を弾かせて頂きました。

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真剣な表情で試奏をするマイスター茂木。

明るくブリリアントな響きと表情豊かなトーン。ラザーリ氏は、弾いてもらうことでもっともっと良くなるよ!…と確信を持って熱く語ってらっしゃったのが印象的でした。

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熱弁をふるうラザーリ氏。

透き通るような美しいニスの仕上がり。大事なのはニスのレシピではなく、その人の塗りの技術だという。同じ材料、配合であってもこのようにはならない。

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間藤も美しいラザーリ氏のバイオリンに釘付け。

今回、我々はラザーリ氏のバイオリンを製材前の木材から選定して、オーダーを出すことにしました!

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表板を選定するマイスター茂木。

表板はこのように、木材の真ん中付近をコンコンと叩いて判断します。これがまた、いい音を出すのが簡単そうに見えて難しい。

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木材の上の方を左手の親指と人差し指で軽く持ち、右手に持った対の木材の角の部分でコンコンと軽く叩く。

こちらは裏板のメープル材を選定している様子。

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材料を吟味するマイスター茂木。

マエストロも選定を一緒に手伝って下さりました。

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材料の選び方についてアドバイスをするラザーリ氏。

裏から出して頂いた極上のメープル材を発見!

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材料を指先でコンコン叩いて吟味するマイスター茂木。

裏板には、こちらのメープル材に決めたようです!バルカン半島で採れた10年物の極上メープル。マエストロより、全身全霊をかけて製作して頂くとの熱いお約束をして頂きました!!

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選んだ材料に名前を記入するマイスター茂木。

完成は2年後の9月。仕上がった作品は、購入前に試奏して確認することに。このスタイルが我々のポリシーですので、クオリティの確認には余念がありません。
何はともあれ、2年後の完成が本当に楽しみです♪

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マエストロとマイスター、選んだ材料と記念撮影。

お昼はマエストロご推薦のリストランテにて、本日のおすすめのリゾットをば。

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フォルマッジョのリゾット。

それでは、今回はこの辺で。
Ciao!!

今回イタリアで買い付けた楽器は、楽器フェスタでお披露目します

今回マイスター茂木と糸山が買い付けを行った楽器は、11月〜12月各地(大阪・川崎・横浜みなとみらい・札幌・新宿・南船橋・福岡・奈良)の島村楽器で開催される、島村楽器楽器フェスタにて展示・お試しいただくことが出来ます。
日程等決まり次第順次情報を公開致しますので、楽器フェスタページもあわせてご覧ください。

2014年秋 楽器イタリア買い付け日記はこちら













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