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【洪栄龍の音故知新】Vol.5 知って得するリズムギターの極意

皆さんこんにちは、毎日ギターを弾いてますか?洪栄龍です。
今回はリズムギターの基本から応用までの練習アイディアを簡単に紹介したいと思います。

リズムギターはリードギターに比べ軽視されがちな面もありますが、実はジャンルやバンド編成によってさまざまな弾き方があり、あなどれません。
また、今後の音楽の発展の仕方によっては、これまでにないような奏法も生み出されるかも知れません。
そこで、もう一度リズムギターを見直そうということで、今回とりあげてみたいと思います。
リズムギターは、やはりまずやるべきことは基本形、そして発展形です。
難しい部分もあるかも知れませんが、どんな種類や弾き方があるのかを知ることも大事なことですので、ぜひご一読いただき参考にしていただければと思います。

リズムギターに大切なものとは?

一般にリズムギターの奏法は以下のようなものがあります。

  • ストローク奏法
  • カッティング奏法
  • アルペジオ奏法

実践では、こうした奏法を一つ一つ弾くのではなく、2種類の奏法を組み合わせたコンビネーションがよく使われます。

2つの奏法を組み合わせるということは、テンポが同じでも奏法によっては"ノリ"が変わる可能性があります。そこが一つの魅力ではあるのですが、極端に変わってしまうと曲のイメージに影響する場合があるので注意が必要です。また、それぞれの奏法で演奏する場合、リズムのビート感を把握しつつというのも大事なポイントです。

よって、リズムギターは曲のテンポに合わせて弾くだけではダメなのです。
コード感を出しつつも、リズムのグルーヴをリズム隊(ドラム&ベース)と一緒に創る!
という気持ちを忘れないようにすることが大事です。

それではさっそく実際の演奏パターンを紹介していきたいと思います。

R&B(リズム&ブルース)の代表的なリズムカッティング

まずは「C7コード」で8ビートでのカッティングを演奏してみます。動画では途中から同じ弾き方のまま16ビートで演奏し、さらに応用としてテンポアップしています。

弾き方は、6すべてを鳴らすのではなく、1と6をミュート(消音)して演奏します。6は親指、1は人差し指の腹を軽く触れてミュートします。こうした内側のを弾く方法をインサイドコードといいます。

3漣リズムのストロークとカッティング

3連には、大別して「1拍3連」と「2拍3連」があります。まずは基本的となる1拍3連をしっかりと弾けるようにしてください。そうすることで2拍3連のリズムも感覚的にとれるようになります。

練習の方法は、、、

  1. 3連符のストローク・・・1拍3連をすべてストロークします。
  2. 3連符のカッティング・・・2拍目と4拍目で音をカットします。
  3. ミュート(消音)を混ぜる・・・2拍目と4拍目のカッティング以外をミュートして弾きます。
    • 音の切り方(止め方)はコードの押さえ方でコントロールします。押の力をゆるめれば消音されます

練習のポイントは、3種類の弾き方の違いでリズムが崩れないようにすることです。
一見クールにも思えますが、基本的なリズムがとれることで将来的に熱い演奏ができるようになるのです。

8ビートカッティングのバリエーションとロッカバラード

8ビートカッティングのバリエーションを紹介します。ストローク(腕の振り)は、上から下に弾きおろすダウンストロークと逆のアップストロークを交互に行うのが基本です。

これまでは、2拍目と4拍目をダウンストロークで弾いた時に音をミュートしてカッティングしていましたが、ここではアップストローク時のカッティングを行っています。また、リズムにはオモテとウラがあり、アップストロークはウラにあたります。

動画の後半には、ロッカバラードのストローク奏法を紹介しています。リズムは3連ですが、比較的ゆったりとしたダウンストロークが基本となっています。

カッティングにベース音をミックス

8ビートのカッティングにベース音を組み合わせたパターンです。通常ベース音はコードのルート(根音)を使いますが、今回は別の音を使って動きを出しています。洪自身はウォーミングアップ程度によくやるパターンですが、世間一般的にはレアかも知れません。難しいと感じる場合は、はじめはカッティングとベース音を分けて練習すると良いでしょう。

動画の後半は、16ビートで同じ事をやっています。16ビートは8ビートよりも速いと感じるかも知れませんが、実際にはゆったり4分音符を感じるように弾くと大きなリズムのウネリを出すことができます。

コードの平行移動

コードを平行移動させて弾く方法は、ギターの構造を最大限に生かした奏法といえますのでぜひマスターしてください。こうしたギターならではの弾き方を使いこなすことも上達への近道になりますので色々トライしてみてください。
スリーコードといわれる3つのコードを使ったブルースの代表的なコード進行も、実は平行移動するだけで弾けてしまいます。これまでの弾き方を組み合わせた応用パターンではありますが、一番実践的といえると思います。

ブルースコード進行

|C7|F7|C7|C7|
|F7|F7|C7|C7|
|G7|F7|C7|C7|

(動画で確認してください)

アルペジオにベース音をミックス

最後は、スリーフィンガー風のアルペジオ奏法にベース音を組み合わせた弾き方です。これまでの奏法に比べ、より音の色彩感が出せると思います。ポイントは、ベース音があってもなくてもアルペジオのパターンを変えないことです。

また、リズムギターというのは、決まっているパターンを弾かなくては、、、と思っている方も多いかもしれませんが、実は曲の持つメロディを壊さず引き立てることができれば、カッティングやアルペジオなどを自由な発想で弾いて構わないのです。

おわりに・・・

今回は様々なリズムギターの弾き方をよりわかりやすくするために、C7コードのみを使って演奏方法を紹介してきました。しかしながら、ここでの弾き方はほんの一例でしかありません。実際の曲に応用していくには数多くの経験が必要です。一人でもバンドでも構いませんので、ぜひ色々な曲に果敢にチャレンジしてください。では、最後に演奏に関する考え方をお伝えして終わりにしたいと思います。

皆さんは、ギターで曲を演奏する時にはどこに注力しますか?
テンポ、曲のキー、拍子(8ビートなのか3連なのか)、曲想などなど、、、色々なポイントがあると思います。

洪がはじめに考えることは、その曲がどんなリズムなのかということです。そして、ドラムのパターンやベースのフレーズから組み立てられたリズムパターンや曲のテンポだけではない、グルーヴ感を掴み取るようにしています。

そうすることで自分らしい、オリジナリティのある演奏ができると思っています。教則的なものが決して良くないといっている訳ではなく、洪としてはもう一歩踏み込んだ演奏がしたいのです。皆さんも、曲を弾きはじめる前に、もう一度リズムに注力して曲を聴いてみてください。その後弾きはじめても決して遅くはありませんよ!


次回は、シタール、12ギター、ガムランなどのサウンドをエレキギターで再現!を予定しています。
この音故知新では、ある意味オキテ破りの奏法も紹介していきたいと思っています。
巷の教則本とは異なるアプローチを楽しく学べたらベストですね!
・・・お楽しみに~♪

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