島村楽器公式ブログ

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「脱!!感覚ドラマー」世界初の打楽器チューナー tune-bot 登場!

みなさんこんにちは!
商品開発のイシイです。

わたくし、最近ようやくスマホにしました。iPhone5。一ヶ月待ちましたよー。
それ以来、電車の中で見すぎて、目が完全に寄り目になっています。
会社に着くころは目が疲れてて大変です。

さてさて、今日のトピックは”tune-bot”!(チューンボット)

11月発売のドラムマガジンでも取り上げられました、世界初の打楽器専用チューナーです!

これまでの打楽器チューナーとの大きな違いとは?

今までドラムチューニングは感覚の世界。経験がものを言う。耳と肌で感じて、自分なりにやり方を見つけて、体で覚えろっ、の世界でした。

打楽器は音が伸びないものが多く、ギター/ベース/管楽器チューナーだと反応しないんですね。
だから今までのドラムチューナーは他の楽器チューナーと違い、ピッチを測るものではなく、ヘッドの張り具合やテンションボルトの締まり具合で測定するものでした。
・・・つまり楽器の「音」を検知するものはありませんでした。

そうした中、開発に2年間かけて、打楽器のピッチを測る専用のチューナーがOvertone Labs社より発売されたのです!

tune-botのおかげで、音程に弱い私みたいな人でも、正確に、スピーディーに、そして繰り返しチューニングができるようになったんです。
今までなんとなくだったドラムの音が「見える」ようになったんです。これは革新的です!

デジタルに弱いドラマーでもカンタンに使えます

まずはドラムへのセッティングです。
今回は14インチのスネアに取り付けてみました。



本体裏のクリップを使ってドラムフープにはさみつけて完了です。

  1. POWERを押してください。電源は直ぐに立ち上がります。
  2. 試しにドラムの中心を叩いてください。さっそくピッチが表示されます。音程を聴き取りやすくするために、スナッピーはOFFにしてください。
  3. 音の表示は2種類。「ピッチ表示」と「音程表示」です。「NOTE」ボタンで切り替えます。
ピッチ表示 音程表示

「NOTE」ボタンで切り替え

※写真ではディスプレイがやや青く見えますが、実際にはもう少し黒いです。実際の色合いは動画で確認してくださいね。


「ピッチ」と「音程」表示の違いについて

tune-botは外国人なので、音程表示は「ドレミファソレシド」じゃなくて「CDEFGAB」で表示します。
アルファベット表記の前の数字はオクターブです。tune-botでは1から4までオクターブとして表します。この表示で叩くと、「あ、スネアって3F〜G#だったんだ」なんて新しい発見がありますよ。

でもチューニングのときは音程よりも少し細かい値(Hz) で調整していきますので、ピッチ表示にします。表示については次のような感じで使い分ける、と考えてください。

ピッチ表示 ラグピッチなどチューニングの細かい作業
音程表示 ドラム全体の音の調整

なおチューナーと言えばマイクで音を拾うタイプと振動で拾うピエゾタイプとあります。tune-botは裏にマイクが内蔵されておりヘッドの音を検知します。ピエゾではないので、フープからの振動は検知しません。

ドラムのチューニング方法について

ここで一度、ドラムのチューニング方法ついて復習しましょう。

ドラムチューニングの簡単な流れ

  1. 裏ヘッド(チューニングしていないヘッド) を手、膝、またはタオルなどでミュートします。
  2. 各テンションボルト(以降ラグ) 付近を叩き、それぞれのピッチを合わせます。
  3. 裏ヘッドでも同じようにラグ付近の音を均等にします。
  4. 表と裏のバランスを整えながら、全体のピッチ調整を行います。(耳障りな共鳴音も調整します)

人によって若干異なると思いますが、ドラマーのみなさんがやることはこのような感じです。

ラグをまわす順番は?

ここでは10ラグのスネアの場合の順番を表してみます。かならず対角線上に締めていきましょう。時計回り、反時計回りは×です!


まず基本となるラグピッチを決めます。ここではラグピッチは316Hz前後に合わせます。叩く位置はラグから中央にかけて2cm。この位置が変わると音程も変わりますので、気をつけてくださいね。ラグひとつひとつ合わせていきますが、最後の調整ではラグをまわす範囲は1/4回り、またはそれ以下くらいで締めていきます。



tune-botをピッチ表示にして、ラグ付近の音を測ってみました。なお、こちらの動画では裏ヘッドのミュートは省いていますが、実際には裏ヘッドをミュートした方が音は分離します。

また裏ヘッドをミュートしなくても、軽くヘッドの中心に人差し指を置きながら叩くと共鳴音がミュートされますので、チューニングもやりやすくなります。ただ、指を強く押しすぎると音がベンドします(ピッチが変わります) ので、気をつけてくださいね。



指のポジション (軽く置いてください)

合わせる基準値は?

0.5〜3Hzくらいのズレは気にしないで進めてください。これ以上はヘッドの叩く位置、叩く強さを機械なみに均一にしないと難しいと思います。楽器のコンディションによっては細かい調整が難しい場合もありますので、注意してください。あくまでも目指すのは、「いい音」です!

ちなみにOvertoneLabs社からのアドバイスは、もし各ラグピッチ誤差を2Hz以内に収めることができれば、それはかなり上出来、とのことでした。性格上合わせないと気がすまない方、レコーディングで徹底的にこだわる方はぜひがんばってください!

しかしこうして測ってみると、一つのラグのテンションがいかにして全体のテンションに影響するのかがよく分かります。生ドラムって奥が深いですね!

ドラムセットの音の種類

さて、ここでは簡単に1台のドラムから出てくる音についてご説明します。ドラムからは実は色々な音が出てきています。ラグピッチとファンダメンタルピッチの違いについて説明します。

ラグピッチ ラグ付近を叩いた時の音。ヘッド個別のピッチです。
ファンダメンタル
ピッチ
表と裏ヘッド、そしてドラムシェル全体が共鳴して出す音です。ドラムの真ん中を叩いて聞こえる音、いわゆるドラムの音がファンダメンタルピッチです。


チューニングではこのラグピッチを合わせることからはじまり、最終的にファンダメンタルピッチを調整します。ちょっとややこしいですよね。でもやっていくうちに慣れますよ!

tune-botの便利な機能

デファレンスモード

tune-botにあらかじめ設定したピッチに対して、今の音がどれくらいズレているかを数値とメーターで表します。
ヘッドのテンションを均一にしたい時にとても便利です。

フィルタモード

アコースティック楽器は多かれ少なかれそうですが、電子楽器と違い一つの音が出ているわけではありません。生ドラムはファンダメンタルトーン以外にもいくつかの音が出ており、それが気持ちいいところでもあります。
ただチューニングをしている時はそれが邪魔になることもあります。
tune-botも時折それらの共鳴音 (または倍音と言います) を拾ってしまいます。
フィルタモードはそうしたチューニング上余分な音の検知を防ぎます。


デファレンスモード使用画面(高低を表す針、左上に設定したピッチ値が出ます)


フィルタモード使用画面(数字の横の*印が目印です)


こちらの映像では、デファレンスモードとフィルタモードを同時に使うやり方を紹介します。
2ヶ所のラグ付近を叩いた時の音を測ってみました。



フィルタモードは最初は慣れが必要かもしれません。
しかしこの感覚を覚えると早くなり、チューニングも楽になります。
共鳴音に惑わされて、ドラムも頭も混乱、なんてことは少なくなります。


デファレンスモード/フィルタモードの併用画面(針と*印が同時に出ています)

メモリ機能

せっかく発見した気持ちよくなるポイント、ここで忘れてしまうのはもったいないですよね。そんなときのためにtune-botにはメモリ機能があります。

スネア 9種類
タム 9種類
バスドラ 9種

それぞれヘッド情報を表・裏・オープンの3種類のフォルダに保存できます。

スネアの参考値

下の表をご覧ください。スネアの参考値です。表ヘッドよりも裏ヘッドをやや張り目にした方がスナッピーの反応が良く、音がまとまりやすいので、そのようなセッティングになっています。チューニングの参考にしてみてください。

スネアドラム (音程/ラグ付近のピッチ値)
ドラム種類 音程 ラグ付近のピッチ値(Hz)
スネアドラムA
(14インチ、ノーマルピッチ)
3G#(208 Hz) 表ヘッド 299 Hz
裏ヘッド 398 Hz
スネアドラムB
(14インチ、ローピッチ)
3F(175 Hz) 表ヘッド 240 Hz
裏ヘッド 359 Hz
スネアドラムC
(14インチ、ハイピッチ)
3A#(233 Hz) 表ヘッド 356 Hz
裏ヘッド 400 Hz
スネアドラムD
(13インチ、ノーマルピッチ)
3A#(233 Hz) 表ヘッド 356 Hz
裏ヘッド 400 Hz

ただし、ひとつ注意です。

楽器はひとつひとつ気持ちよく鳴るポイントは違います。
またドラムに使われている材質、ヘッドの種類/状態、ラグの状態、そしてプレーヤーの好みで大きく変わってくるので、上の表はあくまでも参考値として扱ってくださいね。


レコーディングで使う方、スネアやタムを曲のキーに合わせるようにお願いされることがありますよね。
tune-botを使うとスネア、タム、バスドラ、全て音程が測れます。
タムで音階を作る方、ノーミュートのバスドラにこだわる方、ぜひ試してみてください。

tune-botで合わせる楽しさを体感してみてください!

「今まで感覚でやっていて不自由なかったんだから、これからも大丈夫!」
確かにラグピッチを整えて、音程を測るのは、ドラムチューニングの一面で、最終的にはいい音は自分の耳が判断します。
でも!、 でもでも、 ぜひ一度はお店で試してみてください。

tune-botを使うと同じことを、より正確に、さらにスピーディー出来てしかもいい音のセッティングを記録できます。
電源落としても、電池外しても覚えているんです。忘れないんです。

私みたいな音程に自信がない方には特におすすめします。
私は自分の好みのピッチが3G#だったなんて知りませんでした。
たまにスタジオのドラムとかでラグのテンション上げすぎているのかどうか分からないことってありますよね?
測る音程が分かるとまだ行ける、とかもう限界だな、とかがだいたい分かるようになりますよ。

実はドラム以外にも使えるんです!

tune-botはドラムだけのものではありません。
ティンパニ、コンガ、ティンバレスなど30Hz (1C) から400Hz (4G#) の打楽器の音は大抵検知してくれます。
ブラスバンドの皆様、ティンパニのチューニングがより早く、確実にできますので、ぜひぜひお試しください。

プロもおすすめ

最後に普段からお世話になっておりますプロパーカッショニスト/ドラマーの岡部量平(りゃんぺい)さんからtune-botについてコメントをいただきましたので、ご紹介します。

tune-botを使い始めてから今までなんとなくだった各楽器達(ドラムセット、ラテンパーカッション類)のチューニングの好みが把握出来ました。
今までも某メーカーのクリップ式のチューナーを用いてはかることはあったものの、打楽器の減衰の早い音はたいがいうまくひろうことが出来ず、またひろえても一打ごとに違う値が表示されてしまったり(おそらく倍音に反応してしまう)していました。tune-botは圧倒的に感度がいいです!!ポンてたたいてポンてその音を表示してくれる。チューニングの時間が短縮出来たし楽しみになりました。
個人的にDIFFERENCE MODEが助かりました。サンバチームのバテリア(打楽器隊)のパートごとのチューニングをそろえるときに効果覿面でしたね。基準になる人の音をはかってそのピッチにみんながあわせるという場面で大活躍でした。まだ何度もやれたわけではないですが、繰り返す事によって打楽器(この場合一般的に音程のないとされるもの)しかやったことのない人の耳を鍛えること、きちんとチューニングをそろえる事の大切さに目覚めることにもつながるのではないかと思います。
打楽器一つから、そして何種類も使用する人、また何人も打楽器演奏者がいるような場面などtune-botの守備範囲はとても広いと思います!!

岡部量平(りゃんぺい)プロフィール


小学生の時にみたラテンのバンドのお兄さんたちの演奏に感化され打楽器を志す。日本大学芸術学部を卒業後、バンドやサンバチームでの活動、またディズニーリゾートなどでの演奏を経験。
廃品打楽器奏者の山口とも氏に師事して以来、叩いて音の出るものには目がないごった煮打楽器奏者である。
モダ―ン今夜、YAPANI!、大筒小筒、カンタス村田とサンバマシーンズ、THE CUBES、パイナップルダンディ、BAQUEBA、鼓和など各ユニットで活躍中。

りゃんぺいさん、どうもありがとうございます!

それではまた次の機会に!

イシイでした!

今回紹介した”tune-bot”は全国の島村楽器島村楽器オンラインストアで好評発売中です!

島村楽器は、みなさんのご来店を心よりお待ちしております。

またAmazonでも購入可能です。

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