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ルシアー駒木のギターよもやま話 その17「珍しい箇所のネック折れ その3 ついに完成!!」

みなさまこんにちは!

先日、突然にNAMMの会場にいるアメリカ人の友人(ミュージシャン)から電話があり一言
「今日パーティーだからちょっと来いよ」、、、

「いやいや今日本だしちょっと行くのは無理だよ」と私。

すると「じゃあ今から向かえば?」と普通のトーンで言われ、

うーむ、きっとこの感覚でなきゃ人生ロックじゃないんだな・・・

と思った、ルシアー駒木(コマキ)です


さて、通常ありえない箇所が折れてしまった大手術ですが、仕上がりまでお見せしたいと思います。
大ボリュームで一気にお届けします!!
前回・前々回の大手術についてはこちらをご覧ください。



クランプを外して、


指板を確認してみると、あれだけあった段差がすでにほぼ無くなっています。

うまくいきました。


はみ出した接着剤を取り除いて、


剥がしたバインディングもここで再接着しておきましょう。


うまく接着できたとは言え、このままでは強度が心配。
補強材を入れる事にします。
まずは補強材用の溝を掘っていきましょう。


楽器を固定して、機械で掘っていきます。


こんな感じ


続いて補強材を溝に合わせて作ります。
強度が増す向きに木目が入るように意識して、ネックと同じメイプル材を切り出します。


機械を使って荒削りして、


最終的には手作業でピッタリの形に仕上げていきます。

ルシアー駒木、職人なんです


いい感じです


接着したら、はみ出した部分を削り取って、


見て下さい、この隙間の無さ!!まさにピッタリ!


さーて、いよいよ塗装に入っていきます。
少し広めに塗料を剥がしていき、


サンドペーパーで下地を仕上げていきます。


余計な部分に塗装がのってしまわないようマスキングをして、


塗装!!


一気に黒くなった様に見えますが(笑)
実際には、

ヤニ止め⇒中塗り⇒着色⇒上塗り

更に各工程間でサンディング(ヤスリがけ)と、かなりの工程と日数を要しています。


早く乾けー


綺麗に出来ています。


吹きつけで出来る微細な凹凸を取る為に、更に細かなサンドペーパーで磨き上げます。


バフがけして仕上げます。


修理の過程でフレットを抜いていますので、フレットを打ち直さなくてはいけません。
元のフレットと同サイズのものを用意して、まずは指板面を仕上げていきます。

ルシアーの高速テクニックにカメラが追いついていませんね


1本1本打ち込んでいきます。


マスキングをして、


すり合わせをして仕上げます。


いよいよ組み込み
パーツを組んで、配線を施し、各部を調整していきます。



完成!!!

どうですか?
ちょっとピンボケですが(笑)修理箇所がどこなのかというより、そもそも折れた事自体全く分かりません。



しっかり修理出来ましたので、折れる前よりも強度は増しています。更には強度が増す事でネックの剛性があがり、サスティーンが非常に良いギターに仕上がりました。配線引き直し等も行なった事で、サウンド的にもグレードアップ!

一気に仕上がりまでの大ボリュームでお届けしましたが、いかがだったでしょう。

お客様の方で「これはさすがに直らないんじゃないかなあ」・・・とご判断され、修理を諦めてしまう事もあるようですが、

諦める前に是非一度お近くの島村楽器までお持ち下さいね!

ルシアー駒木でした

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