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音楽力をアップする「耳コピのすゝめ 」第7回 コードのお話その2

みなさんこんにちは、秋も半袖サカウエです。

前回は耳コピに役立つ音楽の知識についてメジャーとマイナー・コードを紹介しました。
「三度音」が重要ということはご理解いただけましたでしょうか?

前回の記事はこちら。

今回はコードの基本をできるだけ体系的に説明してみたいと思います。

演歌と西洋音楽

サカウエの父親はいつも「演歌は日本人の心じゃー」といってカラオケを歌っておりますが、確かに「ヨナ抜き音階メロ」や独特の歌唱方法(こぶし等)、文学性表現技巧(漁師系、祭り系、雪国系、踊り系・・等々)といった点は独特のものです。

しかし実のところ演歌は西洋音楽の調性に基づいた語法で作られている音楽です。
(本人にはあえて知らせておりませんが「幸せ夫婦もの」というネーミングはなんとかしろと思います)

ところで、King Crimson(有名なプログレッシヴ・ロック・バンド)のStarlessという曲は妙に演歌っぽいです。

※イントロのストリングス(メロトロン)は2音しか使ってませんね。
3rd音の使い方が効果的です(前回の復習ですよー)

クリムゾンつながりでコレも・・こんな時代があったんですよ奥さん

いや、あのー・・歌詞すごいですね...

ザ・ピーナッツ」ご存知の方は40代以上だと思いますが、70年代「和製ポップス」の代名詞的存在です。

いまだったら KARA と AKB48 が一緒になってレディオヘッド歌っているくらいのミスマッチ度かなあと思います・・・すみませんこの場に適切な比喩がぜんぜん思いつきません(:_;)

ほとんどの曲が西洋音楽‥‥‥なんだけど‥‥

ということで、われわれが普段聞いている音楽(ロック、ポップ、ジャズ、ダンス、etc..)は(良し悪しではなく)ほとんどが「西洋音楽(ヨーロッパ音楽:中心は17-20世紀にかけて発展したもの)」が基本となっております(調性音楽というヤツですね)。

ところで西洋音楽の理論というのは、数百年(?)の歴史の中で、

「この音はみんなが気持ちヨイと感じたので O.K. でもその音はみんなが気持ち悪いと感じたからN.G.

‥‥といったいわば経験則の集大成みたいなものなんですね。
(周波数との関連性等、科学的な根拠もありますが)

したがってもしあなたが周りの人と全く異なる感受性を持っていても、それはそれ、あまり気にしなくてよいと思いますよ。

民族音楽とか、現代音楽はどうなん?」というご意見は、まことに恐縮ではございますがそれはまた別の機会に是非よろしくお願いいたします。

以上を踏まえて次に進みましょう。

調(キー)って何?

コードを理解する為には曲のキーを理解することが大事ですね。
以前も紹介した「起立>礼>着席」のコード進行を覚えてらっしゃいますか?

C(起立)– G(礼)– C(着席)


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Beatlesの「Let it Be」にも、CとGのコードは使われていましたね。
さて両者で共通することは、いずれも「C」(着席)のところでは、なんとなく安定した感じに聞こえるということです(終止感)。

そもそも調性音楽では1オクターブを12に分割して色々な音階(スケール)とかあるわけですが、ある曲のメロディーや和音は、中心となる音(主音、中心音)が決まっていて、それに関連して曲が構成されています。

この場合はC音が中心音ですので、この曲のキー(調)は、Cメジャー(ハ長調)ということですね。

ご存知のとおり、キーには長調(メジャー・キー)と短調(マイナー・キー)がありますが、

ピアノ協奏曲第294番「嬰イ短調」作品1332

という作品がもしあったとしたら「嬰イ短調(A#m)」というのがこの曲のキーです。

ちなみにA#mってのは「#」が7個も付くという「初心者お断り」みたいなキーですが、それよりもこの作曲者の多作さが気になるところです。

なお、いずれ紹介する「一時的転調」等によって、実際は1曲の中でキーはめまぐるしく変わる場合も多いですね。

ドミナント・モーション

ハ長調である「起立>礼>着席」や「Let it Be」では

  • [C] = トニック・コード(主和音)
  • [G] = ドミナント・コード(属和音)

といい、またドミナントからトニックに進む進行を「ドミナント・モーション」と呼びます。G - C がそれです。

ドミナント・モーション」というのは非常に安定した感のあるコード進行で、ほとんど必ずと言ってよいほど調性音楽の多くの楽曲で使われています。

モチロン世の名には例外がたくさんあって、ドミナント・モーションどころか、調性すら無い曲(無調音楽)もいっぱいありますが、そーゆーややこしい系は今のところスルーしておきましょう。

なおこの手の話に興味のある方はこのあたりなどご覧になってみるのもよろしいかと思います。

なおドミナント・コードは、7度の音を付加した7thコードとして使われる場合が多いですね。

G7

ドミナント・モーションはなぜ安定感があるのか?

さて多くの方は

[C] 起立(安定)>[G7] 礼(不安定・・ザワザワ)>[C] 着席(安定)

といった印象をもったと思います。モチロン、そう思わない人もいるかもしれません。「AKB48最高!」という人もいれば「やっぱ乃木坂46だろう」という方もおられるように「G7」のところで安定感と快感を持つことは個人の自由ですね。

で、なんで多くの方がG7を不安定に感じるかというと、G7にはトライトーン(三全音)という音程が含まれているからというのが定説です。

トライトーン

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「シ」と「ファ」がトライトーンの関係ですが、それぞれの音はG7における3rd(シ)と7th(ファ)になりますね。
全音ということは、半音で6個離れている音程です。

さて、かの西洋音楽では伝統的にこの響きが忌み嫌われておりまして中には「悪魔の音」なんて申す輩もおったようです。そこで村人はトライトーンの「死」と「葉」を、それぞれ [怒] と [美] に移し替えることでようやく安堵を得、みなが平穏の日々を過ごしておった・・・という感じらしいです。

「シ→ド」、「ファ→ミ」への移行には二種類の方向がありますね

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まこと古き言い伝えは誠であった・・というわけで、ドミナント・モーションが安定している理屈は「不安定」から「安定」へという共有感覚が理由とされています。

[ 今日の豆知識 ]
実際には7thコードだけでなく、すべての音が倍音(※)のせいで、トライトーンを密かに含有しています。したがって、どの音も4度上(=五度下)に移行すると「安定(帰省感)」の印象を与えるという性質があります。

コードのローマ字表記

ちなみにここまではCメジャー・キーで説明してまいりましたが、トニックとドミナントの関係はどのキーになっても共通しています。よくコード理論の本などでは、コードの機能を説明する場合、

V7 – I(Im)

※Im=マイナーキー場合のトニック・マイナー・コード

といったローマ数字で表したりしますが、これは楽曲のキーとコード機能の関係を体系的に把握するためには便利な表記方法ですね。

で「起立>礼>着席」をローマ字表記で表すと、

I – V7 – I

となりますが、メジャー・キーは12種類ありますので「起立>礼>着席」も12種類のキーで弾くことができますね。

CとDbキーを連続して演奏してみましょう。


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移調

よくバンドのボーカリストが「私のキーはEなのよ」とかおっしゃいます。たとえばCのキーで書かれた曲だとメロディーが低すぎて声が出ない場合は「移調」してキーを変更したりします。

その場合、オリジナル・キーと移調後のキーでは、コードネームはもちろん変わりますが、コードとコードの相対関係は変わりませんね。

仮にこのようなコード進行があったとして

Key:C
Cmaj7 – Am7 – Dm7 – G7

Eに移調します

Key : E
Emaj7 – C#m7 – F#m7 – B7

どちらもコードとコードとの相互関係はかわっていませんからローマ数字表記では

Imaj7 – VIm7 – IIm7 – V7

といったように表すことが出来ます。

ちなみにこのコード進行は俗に「イチロクニーゴー」と呼ばれる超定番コード進行です。
山下達郎さんの曲にはコレ多いんですが、全部名曲というあたりがサスガですね。

ではCとEのキーで連続で演奏してみましょう。

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ということで今回はコード理論の基礎知識をご紹介いたしました。次回はダイアトニック・コードを紹介してみたいと思います。

おまけ

山下達郎 / 土曜日の恋人 

(0:19-)あたりからのAメロの出だし4小節が

I-VI-II-V → F#maj7(9)-D#m7(9)-G#m7(9)-C#7(9)

となっています。
以降、おいしい一時的転調が満載ですね。

それではまた。

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