島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

調律師のとある1日 Vol.2「 あれ?音が出ない!その時ピアノの中では・・・」

みなさん、こんにちは。島村楽器ピアノセレクションセンター ピアノ調律スタッフのイイダです。

調律師の身の回りに起きている日常の出来事や、島村楽器の店頭で見つけた面白い話題、仕事先でお目にかかった「おおっ!」というピアノなどをご紹介しておりますこのシリーズ。
今はやりのゆるーいテンションで、まったりとお届けします。

第2回目となる今回は、先日お客様のお宅で出会ったピアノについてご紹介します。

長い間調律していなかったそうですが、いざ伺ってみると・・・

音が出ない!

「弾いても音の出ないところがあるのですが・・・」とお客様の不安そうな声&表情・・
そりゃあ大変です!さっそく外装を外して中を見てみたら・・・
なんと!ブライドルテープが切れてしまっているじゃありませんか!

「ブライドルテープ」とは、弦を叩いたハンマーを元の位置に引っぱりもどす役割があります。ですから、切れてしまうとハンマーが弦を叩きに行ったきり戻ってこなくなってしまうことがあります。音が出ない原因はこれだったのですね。

修理しましょう

ピアノの中に入っていた記録カードを見てみると、購入が30年くらい前で、前回調律は10数年前でした。
年月とともに、部品は劣化していきます。
もともとは白かったブライドルテープですが、茶色く変色してしまっています。
茶色くなってきたら、そろそろ切れてしまう合図です。お話によると、これからお子さんがピアノを始めるとのこと。

テープを交換したりその他手を入れてあげればまだまだお使い頂ける事をご説明し、お客様のご了解を得て、ピアノ内部の「アクション」と呼ばれる機械部分をPSCに持ち帰り、修理させて頂くことになりました。

手作業です

さて、修理です。
まずはアクションからハンマーをすべて外します。

そして、古くなったブライドルテープを切り取り、長さを測っておきます。
新しいブライドルテープを、貼ってあった古いものと同じ長さに切りそろえます。
それを一本ずつ張っていきます。
地味な作業ですが、貼る位置や角度など、すべてを均一にしなければなりません。
張り終わったら、ハンマーを取り付けます。

美しい!中身がきれいに揃わなければ、均一なタッチは得られなくなってしまいます。

次に、ハンマーフェルトです。

弦を叩くことにより、フェルトに溝がついていますね。
これをヤスリで削り、つるん、と丸い形に整形します。
溝がついたままだと、音がこもった感じになり、強弱もつけにくくなってしまいます。

といった具合に、劣化した部品や消耗品を交換、加工することにより、古くなったピアノもよみがえらせることができるのです。

しっかり整形作業をするとこのようにきれいに仕上がるんですよ(写真は別のピアノのものですゴメンナサイ)。

そして納品

修理したアクションを無事に納品し、取り付け。部品を交換・加工しているので、それに合わせた調整をします。
仕上げに調律をして作業は終了・・・といきたいところですが、なにせ10数年も調律されていなかったピアノは、弦がゆるゆるです。調律してもなかなか音が安定せず、狂いが出やすくなります。
ピアノにより個体差はありますが、安定するまでは年2回程度の調律が必要です。

このピアノは私イイダが責任を持って調律・調整して参りました。お客様も大変喜んでいただけて、イイダも含めた技術者にとっても喜びの瞬間です。半年後にもまたお伺いし、しっかり安定したか確認させて頂こうと思っています。

定期的な調律と調整を行いましょう!

ピアノはとても寿命が長い楽器ですが、定期的な調律や調整を行ってあげることでさらに寿命は長くなります。
人間と同じで、バランスの取れた食事(定期的な調律・調整⇒ピアノに栄養を!)と適度な運動(弾いてあげる事ですね!)が長生き(長持ち)の秘訣、という訳です。
ピアノも家族の一員として、いつも気にかけてあげてくださいね。

次回はイトウがお送りします。おたのしみに!

島村楽器ピアノセレクションセンターについて

ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。

フロアには、新品・中古ピアノ、アップライト・グランドピアノを合わせて常時100台以上を展示しております。また、専用工房ではピアノの調整・点検・修理を行い、アフターフォローにもお応え致します。

「調律師のとある1日」他の記事はこちら」

© Shimamura Music All rights reserved.