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島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

ピアノ再生物語「ピアノはこうして生まれかわります」第13回「整調1 整調とは何か」

みなさん、こんにちは。7回目の登場となります、調律師のハラキです。
前回の記事はこちら

今回からは全8回にわたり「アップライトピアノ整調」についてご紹介させていただきます。
記念すべき1回目は、「整調とは何か」をご紹介します。

整調とは?

鍵盤やアクションなどピアノ内部の調整を行なう事です。具体的には、弾きやすいタッチをつくり88鍵(全鍵盤)を均等に揃える作業を行います。

1.ピアノの状態維持

ピアノには木材だけでなく、金属やフェルト・クロス・スキンなど材質の異なるパーツが多く使われています。


使用頻度やお部屋の環境にもよりますが、演奏を重ねていくとパーツのフェルトなどがこすれ形状が変化します。
そうすると、当初きっちり合わせてあった整調も変化し、各鍵盤の状態が均一でなくなってしまうのです。

また、ピアノは温度や湿度の変化に敏感です。

ピアノの適正温度と湿度
温度20℃前後 快適温度15℃〜25℃
湿度50%前後 快適湿度40%〜60%・許容湿度30%〜70%

使用していないときでも、ピアノの中の状態は常に変化しています。
日本は四季があることにより季節毎の湿度変化が大きいので、ピアノは影響を受けやすいのです。きちんと管理してあげることが大切です。

2.タッチづくり

また、整調によってタッチに変化をつけることが可能です。
練習しているうちに、曲調や作曲家の好みも分かれてくると思います。
「もう少しこういうタッチになったらいいな」というときにも整調は有効です。

調律と同様、定期的な整調によって状態を整えることでピアノの寿命も延び、より長く使用することができます。
整調は、調律や整音と並び重要な作業のひとつなのです。

タッチとは?

タッチとは、「弾き心地」のことです。鍵盤を押して音が出るまでの感触です。

ピアノは鍵盤を押せば音が鳴り、誰でも弾くことのできる楽器です。
しかしピアノの演奏方法には、指先だけを動かして弾く方法から、手首・腕・肘も動かして弾く方法など様々あるのです。
これらは演奏者が目指す音楽(この曲をこんな風に弾きたいな)を表現するためには、かかせないものです。
様々な演奏方法を使って演奏者の望む音を作るためには、演奏者の表現を直接ピアノに伝えるタッチの状態が大きく関わってきます。

タッチはピアノのメーカーや機種によっても様々ですが、整調によっても大きく変わってきます。
異なるメーカーのピアノを弾き比べてみると、よく分かると思います。
また同じ機種でも、異なる技術者がそれぞれ整調した場合、印象は大きく変わります。
タッチづくり(整調)はとても重要なのです。

工程の数

整調の工程は16前後あります。

※工程数の差は表現の違いによるものなので、基本は変わりません。
また、メーカーやピアノの使用頻度によって工程内容が異なる場合があります。

  • アクション調整
  • 鍵盤調整
  • ハンマー弦合わせ
  • ハンマーストローク調整(打弦距離調整)
  • ロストモーション調整(から直し)
  • 鍵盤ならし調整
  • 鍵盤あがき調整
  • ハンマーレットオフ調整(接近調整)
  • 働き調整(個々の鍵盤の運動量を4.から8.で確認)
  • ハンマーバックストップ調整
  • ジャックストップレール調整
  • ダンパー総上げ調整
  • ダンパー始動調整
  • ペダル調整
  • ブライドル調整
  • 総点検(全工程の確認)

な、長い。しかもカタカナが多い!これ全てピアノ1台1台に行なうなんて・・・と思ったでしょ?そうです。そうなのです。
ひとつの工程だけでみると、「なんだろう?」と思われる工程も中にはあるかもしれません。
しかし1〜16までが全て連動しているので、どの工程もなくてはならないのです。
この工程をひとつずつ行なうことで、そのピアノに合った状態・タッチを作っていきます。

スケールは必需品

メーカーごとに高さなどを示した基準となる数字があります。
それを元に整調を行なうことで、安定したタッチをつくります。
何十年と経験することで身につく“感覚”も大切ですが、熟練の調律師でも感覚だけでは作業は行なえません。
基準を図るスケール(定規)は調律師にとって必需品なのです。

また、調律師は作業がしやすいように工具を加工したり、自分で作ったりと工夫をして、それぞれ自慢の工具を持っています。
工具を紹介した記事がありますので、こちらをご覧下さい。

おしまい

いかがでしたでしょうか?
これだけの作業を工程ごとにしっかりと行なうことで、ピアノが弾ける状態になっているのです。
そして、調律師の定期的な調整と、使用しているみなさんの毎日のお手入れと管理、この両方が備わっていることが、ピアノにとってとても大切です。
ピアノの中身を見る機会は少ないかもしれませんが、鍵盤が動き出してから音が鳴るまでの流れを知ると、演奏するときの役にも立つのではないでしょうか?

次回ピアノ再生物語は、ハラキに代わって調律師カワイが整調2回「ネジ締め・鍵盤調整・ピン磨き」についてご紹介させていただきます。
鍵盤の動きに関わる重要な工程です。
次回から工程ずつに整調が解明されていきます。
では、また(・ω・)

島村楽器ピアノセレクションセンターについて

ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
フロアには、新品・中古ピアノ、アップライト・グランドピアノを合わせて常時100台以上を展示しております。また、専用工房ではピアノの調整・点検・修理を行い、アフターフォローにもお応え致します。

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