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島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

STEINWAY(スタインウェイ)の秘密 Vol.4 サウンドベルの秘密

みなさん、こんにちは。そして、おひさしぶりです。スタインウェイ萌え〜の調律師イシイです。
Vol.3から、かなりの時間がたってしまってごめんなさいm(_ _)m

さてさて、いきなり金色のかたまりがドド〜ンと出てきてしまい、ビックリされた方もいらっしゃることでしょう。
この物体は、今回のお話しに登場する「サウンドベル」です。ちょうど、真下から見た画像になります。



サウンドベルは、高音側リムの湾曲した部分に取付けられています。上の画像中央付近に、金のタマゴみたいに見える部分です。
「サウンドベル」は、スタインウェイ社が最初に発明、1886年に特許を取得。グランドピアノのA、B、C、Dの各モデルに取付けられています。

主に「音の響きを良くする」「5本目の支柱」というのが大きな役割です。

スタインウェイの「サウンドベル」は、スタインウェイのパーツの中でもトップクラスの知名度があります(特に技術者の間で)。
それだけに、中には、ヤマハの普及サイズのグランドピアノにサウンドベルを取付けてしまう、という大胆な改造をしている技術者の方もいるほど。これにはビックリですよね。

役割その1 「音の響きを良くする」

前回Vol.3でお話ししたのは、スタインウェイの「リム」についてでした。単なるケースではなく、響板の振動を瞬時に受け止め、リム全体も振動して、スタインウェイの音を産み出す役割を持っている、とお話ししましたが、みなさん覚えてますか?

サウンドベルは、その「リム」に取付けられています。下の画像で見ると良く分かりますね。


そして、上の画像上部の、響板に開けられた穴を通して、フレームにも固定されています。
スタインウェイのフレームは、他社のフレームと比べると非常に薄く作られていて、響板ほどではありませんが、弦振動を受けてフレームも振動しています。そしてそのフレームの振動をリムに伝えて、スタインウェイ独特の金属的な音の成分を鳴らしているのです。

役割その2 「5本目の支柱」


上の画像は、スタインウェイのグランドピアノの4本の支柱です。
支柱は、約20トンにもなる弦の張力を支える役割を担っています。
また、非常に強い弦の張力により、フレームには上方向に歪もうとする力が働きますが、それを防ぐ役割も担っています。
上の画像で、松の木のきれいな木目が通っている細長い支柱の右側に、お弁当箱みたいな四角い木がありますよね。この木の上部にフレームとつながっている頑丈なボルトが取付けられていて、フレームが上方向に歪まないようにしっかり固定されています。



そして上の画像、右側の支柱とサウンドベルが平行に並んでいますね。
サウンドベルが取付けられている高音部は、弦の張力が非常に強くなっていて、フレームが上方向に歪もうとする力が最大になっている部分でもあるんです。しかし、太くて頑丈な支柱を組み込むにはスペースが足りず、「さ〜て、どぉ〜しよぉ〜かなぁ〜」、と悩んだ末に考え出されたのが「サウンドベル」なんです。
「サウンドベル」は5本目の支柱の役割も担っているんですね。

サウンドベルは、ピアノの張弦をされる前は、ボルトがユルユルの状態で取付けられています。そして、弦を張って張力が段々と上がってフレームがゆがんでくるのに伴って、ゆるかったボルトが締まってきて、フレームの歪みをしっかり防いでくれます。



上の画像中央左、銀色のカップのようなものが支柱に固定されているボルト、右の六角ボルトがサウンドベルに固定されているボルトです。
お客様から、「サウンドベルのボルトを締めると音がよくなるんでしょ?」と聞かれることがよくあります。
諸説出回っているようですが、サウンドベルのボルトは決して締めてはイケマセンッ!
不用意に締めてしまうと、フレームにかかる張力のバランスがくずれて、調律が狂いやすくなったり、フレームの歪みがひどくなったり、最悪割れてしまうという恐ろしいことがおきる可能性もあるんです。
サウンドベルのボルトを締めてフレームが割れると、スタインウェイ社も保証してくれませんし、大変大掛かりな修理になってしまうので、絶対にやらないでくださいね。

さてさて、今回話題にしたサウンドベル。円錐の中は空洞になっています。


イシイはハンブルク工場で、ピアノに取付けられる前のサウンドベルがズラ〜ッと並んでいるのを見たことがあります。
そのとき「この頑丈な鉄のサウンドベルをキンキンに冷やして、ドイツビールを注いでクゥ〜ッと飲んだらおいしいだろうなぁ〜」っていう、とっても不謹慎な妄想を抱きながら工場見学をしていたのでした(汗)。

いかがでしたか?

前回Vol.3の最後で、「Vol.4では、サウンドベルとデュープレックススケールをお話しします」と書きましたが、デュープレックススケールは次回Vol.5でお話ししたいと思います。ゴメンナサイッ!

それでは、次回Vol.5「デュープレックススケールの秘密」まで、サヨ〜ナラ〜(ˆˆ)ノシ

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