島村楽器公式ブログ

全国展開している総合楽器店のスタッフが、音楽や楽器の楽しさや、楽器店にまつわるお話をお伝えします。

2016年秋弦楽器ヨーロッパ買付レポート ジェノバ班 其の1

皆様Buongiorno‼
島村楽器グランフロント大阪店店長、楽器アドバイザーの古西です。
初日の買い付けから神経を研ぎ澄まし、フィレンツェの名工のバイオリンと出会えたことに興奮状態で2日目突入です。

2日目はジェノバ。街並み、建物はフィレンツェとはまた違い、こちらは少し都会でショッピングが楽しめ活気があります。

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今回マイスター茂木と共にジェノバを訪れたのは、現在‘Musei di Strada Nuova - Palazzo Tursi`に展示されている‘Guaruneri 1743 “Il Cannone” 管理者であり、ジェノバの名工 ”アルベルト・ジョルダーノ”氏にお会いするためです。
駅に着き足早にジョルダーノ氏の工房へ!

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私達の訪問に日本茶で出迎えていただき、工房を一通り見させていただきました。ジョルダーノ氏はジェノバの出身であり、あの超絶技巧として名高い伝説のバイオリニスト ”ニコロ・パガニーニ”もジェノバの出身で、彼が愛用していたバイオリンが上記の‘Guaruneri 1743 “Il Cannone”です。ジョルダーノ氏のインスピレーションの主な供給源はこの‘Guaruneri 1743 “Il Cannone”からきており、こういったアンティークバイオリンのコピーを製作するスペシャリストであります。
是非ともお目にかかりたいと尋ねたところ、すべてオーダーとのことで現在製作途中のカノンモデルを拝見させていただきました。

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本物から模ったモルドを使用し、正確かつ「完璧」なモデルを製作されます。


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様々なモデルのヘッドのモルドがずらり!特にガルネリモデルはヘッドのスクロールの歪な部分、凸凹した仕上げもすべて再現されています。

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一通りジョルダーノ氏の製作方法をマイスター茂木と共にレクチャーを受けてから、奥の部屋へ!素晴らしい空間に案内され、早速ご本人のバイオリンとモダンイタリーを試奏。

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非常に気になるモダンイタリーがずらりとありましたが、、、、少々お高めの為ここでは見合わせ、次はジョルダーノ氏本人のバイオリンをマイスター茂木とともに試奏。

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こちらのモデルはG.B.Guadagnini 1774 "Salabue - Berta"のコピーモデルです。ガダニーニ初期から中期までの作品はややハイアーチで、なで肩で洋ナシ型のスタイル、ニスは少し不透明の褐色や黄色のものが多い作風でしたが、このモデルはトリノ時代に良く研究するようになったストラディバリウスの影響を受け大変完成の度の高い楽器として有名です。
世界的なバイオリン専門誌`Strad`にジョルダーノ氏が詳細の記事をトピックスとして掲載したほどこの楽器に精通しており、試奏した音のインプレッションは、マイスター茂木もしばらく弾き込んでしまうほど完成度が高くしばし見惚れてしまうほどの作品です。
なかなか離さないマイスター茂木、今回は私もしびれを切らして一言「そろそろご感想を!」

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マイスター茂木「これいいね‼」


2日目早速のいいね!いただきました!!!!私も納得の逸品です!
それでは画像で紹介いたします。

Alberto Giordano, Italy - Genova 2016,G.B.Guadagnini 1774 “Salabue - Berta”

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ガルネリの魅力である低音の迫力ある音量感、ストラドの中高音の華やかさで伸びのある音色の両方を合わせ持ったガダニーニバイオリンを見事に再現されており、またある程度弾き込んだかのような深みのある音色、ダイナミックレンジの広さとすべてにおいて完成度の高い楽器であります。昨今ストラド、ガルネリモデルが常に注目される中、あえてガダニーニモデルを選ばれる演奏家は後を絶ちません。
アンティークのイミテーションモデル製作のスペシャリストであるジョルダーノ氏の驚愕の逸品を是非一度手に取っていだければと思います。

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私は何て素晴らしいバイオリンに出会えたのかとお腹がいっぱいになっていたところ、なんと!ジョルダーノ氏のチェロがあるとのことで早速弾かせていただきました。このチェロはイタリアのプロのチェリストが長年使用されておられ、現在ジョルダーノ氏の手元に。1998年製作のこのチェロは、プロが使用されていたことでジョルダーノ氏の逸品が、モダンイタリーのような音色へと向かっている様に、興奮を抑えきれず日本に持ち帰ることを筆者は決意。本日2本目の驚愕の逸品をご紹介。

Alberto Giordano, Italy - Genova 1998, Guarneri

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注意:こちらの写真は、1998年製作時の写真です。

また、棚に輝くゴールドを発見!無知な筆者はどういうものか尋ねてみると、ジョルダーノ氏は様々な分野で活躍する最も優れたイタリアの伝統工芸職人の一人として、楽器製作者の中では唯一Cologni財団 Fondazione Cologni Mestieriより「Maestoro d’Arte」を受賞されているとのことでありました。素晴らしい。
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長時間滞在させていただき、この後はジョルダーノ氏とGuaruneri 1743 “Il Cannone”を拝見し博物館へ。貴重な瞬間のレポートは次号で。Ciao‼

選び抜かれた楽器が一堂に会する祭典「第21回 楽器フェスタ」7店舗で開催!

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